調子がいいときは豪速球をビシビシ決める。
スライダーも大きくスライドし、
カーブも懸河のように落ちる。
ピッチャーが好調のときは、
捕手の返球も、
それでいいんだよ、
といった気持ちで球を返している。
投手には伝わるんだよ。
気をよくして絶好調の投球を見せる。

逆転の長打を放たれたり、
四球を連発し暴投も加わって
1死満塁のピンチを招けば、
少しぐらい取られたっていいじゃないか、
心配するなよ、
大丈夫だよ、
などと投手を落ち着かせる
返球を行なっている。
伝わるんだよ。
優秀なバッテリーには、
野手には窺えない思いが球にこもる。
だから、
ピンチでも最小限の失点で乗り切れる。

これが気持ちを球にこめられない
捕手だったらどうなるか。
四球を連発してピンチを迎えた
投手に頭にきて、
(サインと違う球をなぜ投げるんだ、
  この野郎!)
という内心の怒りが球に乗って伝わる。
投手も、
(テメーのサインがずれてんだろ!)
という怒りで投げるから甘い球になり、
3点ホームランを浴びて逆転される。

投手の思いを受け入れる捕手はね、
やがて、
投手の心の深部にある辛さまでが
手に取るように解ってくる。

実際に手に捕ってるんだもの。