1歳にはなっていたのかな。

 当時、

 「よい子に読み聞かせ隊」が

 出版社のポプラ社の後援を得て、

 毎月第3水曜日に同社のホールで

 読み聞かせイベントを開いていた。

 
 福くんは邦楽の名門の血を引いている。

 福くんの祖父は都山流尺八の名手で、

 祖母も生田流正派箏曲の教授をしている。

 最初、

 お祖母ちゃんがポプラ社ホールでのイベントで

 箏(琴)を演奏してくれたことで、

 福くんのお母さんや、叔父さん、叔母さんなど、

 一門の人たちが応援してくれて、
 
 いつも大いに盛り上がった。

 福くん、

 1歳ちょっとのときだと思うから、

 覚えていないと思う。

 お母さんの十七絃の演奏に乗せて、

 僕は自作の童話「ぞうのこどもがみたゆめ」を語った。

 福くん、


 きみはそのときお母さんの背中におぶわれていたんだよ。


 気持ちよくなって、


 途中で眠りだした。


 琴を弾くため、


 やや前屈みになったお母さんと逆に、


 福くんは後ろへのけぞって寝ていた。


 物語りを語りながら、


 横目で見ると、


 お母さんと福くんは、


 V字形を描いていた。


 その後、毎月のように、

 お母さんに連れられてきてくれた。

 3つぐらいの頃は、


 仲良しになったお客さんの子どもたちと、


 会場を走り回っていた。


 歌も歌い、


 僕とステージの端に腰をかけてスピーチもしてくれた。


 会場を笑いで包んだ。


 後の大活躍の片鱗を見せて、

 才能だなあ、
と思ったものだよ。

 
 気がついたときは、

 人気子役として引っ張りだこになっていた。

 やはりな、

 と出演のドラマを見て僕はうなずいた。


 絵本の読み聞かせをする、

 と知ったときは嬉しかったなあ。

 ちゃんとお母さんにおぶわれながら、

 「ぞうのこどもがみたゆめ」を聞いていてくれたんだ。

 無意識で意味もわからないで聞いて、

 しっかり感受性にとりこんでいる。

 0歳1歳で読み聞かせにふれることは、

 そういう意味で大事なことなんだと思う。

 
 福くん、

 最近、バラエティー番組できみを見たよ。

 飾らないで優しい人間性を滲ませていたなあ。

 打てば響く感性も伝わってきた。

 BSで勝小吉のドラマでの麟太郎役も見た。

 これは中学生時代の出演のものだと思うが、

 さりげない表情の演技が心地よかった。

 岡村さんを身長で抜いたって?

 1度抜けばまだ成長ざかりだから、

 ぐんぐん差をつけられるだろう。

 岡村さんのことは、

 ナイナイがデビュー間もなくの頃から知っているし、

 僕の事務所にロケにきてトイレへ入り、

 小柄にしては特大の異物を残していったこともある。

 ネタじゃなかったよ。

 いい根性している。

 今や押しも押されぬ存在になった。

 見習うといいよ。

 オムニバス映画「半径1メートルの君へ~上を向いて歩こう~」

 を觀てごらん。

 1人娘を亡くした父親役でいい味の演技をしている。

 福くん、

 きみの未来は十二分に拓けるぞ。

 今は勉強も頑張っておけよ。

 それに健康第一だよ。