障害を持っている人を見ると

ささやかながら同志を見る心地になるのは

自分が立つことさえおぼつかない体になり

車椅子ユーザーになったせいだろうか


外出は2ヶ月に1回強ぐらいで

目的は通院か 美容室に限られる


予約したリフト付き介護タクシーに

車椅子ごと乗り込み

家人も介助のため同乗する


外の歩道を障害の人が通りかかると

目があったわけでもないのに

思わず目礼をしている


これから書くことは

車椅子のユーザーになる前の話である


ある地下鉄駅の幅の狭いホームに下りて

階段へ歩いているときに

僕の股ぐらを抜けて白杖が前へ突き出された

「危ないですよ」

白杖が引っ込められたのを見て振り返ると

中年の男性だった

すみませんと謝るなり

彼はすぐにほんの少し向きを変えて

白杖の先を忙しく左右に泳がせて

急ぎ足に近い感じで階段の上り口へ向かった


危ないなあ

と見送りながら僕は

少し視える人かもしれないと思った


JR中央線の駅の改札を出たところで

視覚障害者用の点字ブロックに

白杖の人が斜めに踏み入れた

まだ年若い女性で

その方面の学校に通う学生のようだった


そのまま斜めに進むのを見て

「危ない」と声をかけた

足はまだ点字ブロックの上だが

白杖はその外側を探っている

そのまま進めば

段差のある路面に降りることになる

足を止めた年若い女性に近寄り

「点字ブロックが続く方向はこっちです」

と方向を修正する手助けをした


同じくJR中央線の特快と

快速電車が停車する駅でのこと

その駅の改札を出て上り方向を見て左方に行くと

タクシー乗り場がある

それを左に見て少し歩くと

地下鉄南北線に降りる階段がある

降りきるとエスカレーターと

階段が併設されたところが待っている

更に下りて

改札口や 券売機のところへ出る


あるとき

そのコーナーで

盲導犬を連れた人がウロウロしていた

突き当りは壁で

盲導犬が足を止めるので折り返すが

改札口を通る様子はない

盲導犬も途方に暮れている

「どこをお探しですか?」

声をかけると

「タクシー乗り場です」

と50年配と思われる盲導犬のユーザーは

待っていたように答えた


僕は彼と仕事をミスったらしい

盲導犬を案内して地上へ戻り

タクシー乗り場の列まで案内した


健常な目の持ち主から見れば

白杖を使う人には

大丈夫かと思うことがあるし

よく訓練された盲導犬も精密機械ではない


たまたま周りにいて危なげだったり

困っている様子に気づいたら

どんどん声をかけてあげるといいのではないか


駅のホームには防犯カメラ?

が多く設置されている

白杖を使う人や

担当の駅員は

盲導犬を連れた人にはすぐ気づくはず

適切なアナウンスをしてあげると

ホームから転落する事故は

かなり防げるのではないか


ホームドアを設置工事中の駅で起きた

白杖の人の転落事故死を思い起こして

僕は知らず深い溜め息をついていた