僕の寝室


関節リウマチを抱えて

車椅子ユーザーになってからは

体を休めるために

昼間でもよくベッドに寝転ぶので

兼病室と言っておこうか


その部屋に

ハエトリグモが1匹棲んでいる


リビングでも別のハエトリグモを見るし

どうやら

3匹前後は生息し

縄張りを持って棲み分けているらしい


ときどき

見かけてたまに心配になる

密閉型の今風住宅で

獲物にありつけるのか と


コバエと通称される

ショウジョウバエは生息しているが

1匹ぐらいでは小さすぎて

あまり腹の足しになるまい


ゴキブリは

成虫だったら逆に餌食にされるだろう

幼虫だったら餌食にできるかな


いずれにしても

豊かさを欠いた猟場だろう


あまりの猛暑のせいか

僕は今年になってまだゴキブリを目撃していない

僕より早く家人が発見して

ゴキブリ退治の噴霧器で掃討しているのかな


それは成虫で

ハエトリグモにとっては

天敵退治になる


どこかに残された小さな幼虫を

ハエトリグモは捕食しているのかしら


僕の寝室に出没するハエトリグモは

ほぼ真っ白な天井をよく這い回っている


掃除のとき

家人はガラス戸を開放する


そのときに迷い込んだ羽虫が

ガラス戸を締め切られて

天井に体をぶつけて飛び回る


あれなら数日分の食料になりそうだ

と思うけれど

そういうときに

彼(彼女?)が現れて狩りをするところに

僕はまだ居合わせたことがない


この前

彼がどえらいパフォーマンスをやってのけた


天井を這っていた彼が

突然

落下した


ように見えたが

糸を引いていた


そのまま

ゆったり床に着地したが

彼が引いていた糸の長さは

その体長の7,80倍ぐらいで

天井からはすでに離れていた


つまり

彼は体長の7,80倍の糸を

パラシュートにして落下したのだ


糸は粘着性があって

床にひっつき

彼は身軽になって床を歩いていた


僕は感動した

そうして

とても愉快で素晴らしい幻想に襲われた



人間もお尻から糸を引けたらいいなあ

それも糞を半透明の白い糸に変えてさ

いい匂いのな


トイレで排便する面倒臭さもなくなるし


芳しい香りに包まれた糸で

高山の谷間へ落下してみたい

100メートルも糸を引けば

そよ風に乗って麓の草原の上空へ行ける



自分が紡ぎ出す糸で

好きに旅してみたいなあ


好きに


行きたいところへ