「アニメマーケティング白書2020」によれば
昨年1年間で放送された
地上波アニメ番組約200タイトルの
アニメ満足度ランキングで
「鬼滅の刃」が第1位を占めた
ちなみに
第2位は「進撃の巨人 Season3」
「進撃の巨人」は飛び飛びながら
アニメで見ていたし
「鬼滅の刃」はコミックで楽しんでいる
「鬼滅の刃」が第1位になったのは
アニメコミックのおもな視聴層である
20代30代40代からの支持が高かった
ためではないか
「鬼滅の刃」は大正時代が舞台だ
人気の鍵はこの大正時代にある
大正時代(1912年9月~1926年12月)は
正味で15年に満たず
大変短かい時代だった
20代~40代の人にとって
大正の前の明治も後の昭和も
歴史の域に入ったか
入ろうとしている時代には違いないが
共に長かったせいか
おおまかながら
時代の雰囲気を把握できる
ところが
大正時代のこととなると
その時代の雰囲気がつかみづらい
しかし
この時代ほど変化が急で
事象に特異性があり
大変魅力に富んだ時代は他に見あたらない
第1次世界大戦 米騒動 関東大震災など
日本の政治社会を揺るがす
大きな出来事も頻発したが
抑え込まれていた社会の底流が
一気に表層へ躍り出たような
多様な変化こそが
この時代を雄弁に物語る
明治憲法は制定されたものの
藩閥政府は憲法よりも
自分達の利を優先させた
それに対する民衆の怒りが
護憲運動の高まりを呼び
それは大正に入ってすぐに実を結んだ
藩閥政治の権化のような桂太郎内閣に代わり
原敬内閣が誕生し
日本初の政党政治のスタートした
在野では吉野作造が民本主義を訴え
美濃部達吉は天皇機関説を唱えた
普通選挙法制定の胎動も強まり
平塚らいてうが興した青鞜社の活動によって
女性の社会進出もダイナミックなものになった
女性の医師 教師 事務員などへの
門戸が大きく開かれて
女性の地位向上へつながっていった
大正へ入っての社会に起きた変革の数々は
必然的に大正デモクラシーを呼び寄せた
ファッション 食生活 にも
大波が寄せるように変化が訪れ
洋装が普通になり
家庭の食卓にカレーライス
コロッケなどが並ぶようになった
子供にはキャラメルが嬉しい間食になった
文学 芸術の分野は多様性を持って大きく拓けた
そのことに触れていたらきりがない
あえて象徴的なことを挙げれば
児童雑誌の「赤い鳥」が人気を博した
レコードが登場し
「ゴンドラの唄」が大ヒットした
都会では消費生活が定着し
大正末期に関東大震災が発生するまでは
大正バブルと言っていい景気だった
都会の繁華街は深夜までにぎわった
しかし
1歩地方に踏み入れば
そこは淫獣姑息な気配が息づく
明治時代のままで
いや
江戸時代とあまり変わらぬ
生活が残っていた
東京では赤襟で黒いツーピースのバスガールが
職業婦人として破格の給料をもらっていたのに
子だくさんの小作農は
どうやって口減らしをするかで頭を悩ませていた
継ぎはぎのぼろ着物をまとった
少女が都会へ働きに出ると言えば
それは遊郭へ売られることを意味した
山間の集落では
まだ電気水道がきていないところが多かった
夜は闇の世界になる
東京などの大都会では絶滅した
魑魅魍魎が生き残っていた
そんな山間の地でも
大正という時代の波は
一部に寄せてきていた
「鬼滅の刃」の舞台は
まさにそんな土地柄だ
そして今
続々版を重ねている「煙と蜜」第1は
東京ほどモダンな文化の大波をかぶっていないが
淫獣姑息な土壌を洗われ出して
その変化に戸惑う名古屋が舞台だ
市内を走る市電を
お城の金のしゃちほこが
びっくりして見下ろしている。
30歳の青年将校土屋文治
その許嫁で12歳の良家の娘花塚姫子
この2人が演じる
うーむ
まだ第1巻なので読んでみてくれ
きっと
「鬼滅の刃」と「煙と蜜」は
大正ものコミックの双璧になる
コメント一覧