_var_mobile_Media_DCIM_103APPLE_IMG_3285.JPG
Ken ちゃん
しばらく前のことだけど
Kenちゃんのライブに行った
女性の友達がいるんだよ

自虐ネタも披露して
トークも楽しかったって

弾き語りでは
いい感じで
しんみりさせられたって

その友達は
僕とKenちゃんが
いっとき
一緒に飲み歩いていた
ことは知らない
僕はただ黙って聞いていただけ

嬉しかったなあ
元気にやってる と知ってさ

あれはもう34、5年前になるか
僕が原作のヤクザ映画の撮影が始まって
太秦撮影所に陣中見舞いにいった
ときだったかな

身のこなしがキビキビして
見るからに率直な印象で
でも
内面にナイーブなものを包み込んだ
若い人に挨拶をされた

それがKenちゃんだった
芸能界に疎い僕は
Ken ちゃんのことを知らなかった
でも
大ブレイクし失恋ソングは知っていたぜ
歌詞もよかったが
甘い声なのに
心にドシッと響くんだ

ああ このKenちゃんの
内面のナイーブが歌ってんだ
と 納得したな

あのときのKenちゃんて
アイドル的存在だったんだ

それから8、9年経ってからだったかなあ
当時のKenちゃんの
マネージメントをしていた社長の企画で
東北を旅したよね
Kenちゃんをよく知る旅になった

とても楽しかったけれど
Kenちゃんは
家庭の問題を抱えていたんだ
ナイーブな面を顔中に溢れさせて
悩みを語るKenちゃんは
自分で自分に傷ついていたぜ

そんなKenちゃんは
自分の純粋さを
持て余しているようだった

それからだったよね
いっとき
何度かだったけど
飲み歩いた

いつもKenちゃんは
Kenちゃんのままだった
僕のほうが大分年上だったけど
自分と向き合うと
脇目も振らないところがある
Ken ちゃんに教えられたなあ

短いつきあいだったけど
僕には濃かった

疎遠になってからの出来事は
すべて報道で知った
あのナイーブさが裏目に出てのことかなあ

Kenちゃんの内面を襲っている
何かの正体を
あれこれ考えて見たこともあったよ
答えは出なかったけれど

立ち直ってVシネの世界で
人気を博したよね
表参道のファッショナブルな会場で
Kenちゃんを囲む会が開かれた

出席して久々に再会して
抱きあって喜んだなあ

でも
それからまた報道でKenちゃんを見て
胸を塞がれたよ

それからしばらくは
Kenちゃんの動静は伝わってこなかった

それがいきなり
友達の口から
Kenちゃんの名が飛び出したんだ

嬉しかったよ
ただ 嬉しかったよ

いつかふらりとライブに行くよ
体調をもっと整えてね

そのとき
僕のほうが
車椅子にサヨウナラができていたら
もう言うことないなあ

写真は夕日を浴びて飛ぶコウノトリだ
不死鳥伝説を築きつつある大型鳥だが
Kenちゃんと重なる

Kenちゃんよ
これからだぜ 翔べよ