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しっかりと
1人1人のポーズと
視線を定めて配置している

凄まじいほどの様式美に圧倒される
しばらく眺めている間に
これはかたちではないな
と 深いため息が出た

顔に絵の具を入れ
ド派手な衣装で登場し
大見栄を切り終えたときに感じる
歌舞伎の様式美は
つまり かたちが行き着いた末の
凄みだろう

同じ土俵で比較できないことながら
ヨシダナギさんの写真に
横溢する様式美は
生を謳歌している
姿の一瞬を捉えている
いのちの輝きと叫びが
鑑賞するものの心を打つ

そして
背景には彼らの生活の
喜怒哀楽が広がっている

こんな様式美を
まだ年若い彼女がなぜ会得できたのか

これまで多くの先住民や
未開部族の写真を観てきた

その生活に立ち入り
人間関係を築いて撮る
伝統の風俗習慣の中で垣間見られる
生活の1コマや
人となりの素顔を捉える

そんな写真が多かった
それで観る者も満足した

でも
被写体側から言わせれば
お客様に撮らせてあげた写真なのだ

ヨシダナギに見られる様式美は
お客様では絶対に撮り得ない

部族に同化し
その喜怒哀楽を共有しなければ
あのようも自在に演出された
様式美は撮れるものではない

彼女は裸族であれば
自分も裸になって同化した
その本気が充分伝わった
だからこその
生命力に溢れた様式美が
写真の限界を超えて
誕生できたのである

ヨシダナギという人の情動の激しさ
飽くなき吸収力が可能にした
写真の新しい価値の創出に
惜しみなく拍手する

其れに
この人はまだみずからの
方向性が定まっていない
写真に限らず
創出のマグマを溜めている

今後
目を離せない
真摯で魔性の魅力に富んでいる