解るんだよ
指折り数えているよな
後7日 6日 5日ってさ
段々
憂鬱になってさ
憂がなくなってさ
鬱だけに心が支配されていく
夏休み明けが1日近づくと
鬱が1個
確実に増えていくだろ
串に団子を1個ずつ刺していくみたいにさ
食欲もなくなり
部屋に閉じこもり
ロープの輪が脳裏に浮かぶかな

親は解ってくれねえだろ
宿題ためて焦ってんなとか
遊び疲れだろとか
あっちを向いたことを考えてな
そろそろ学校だろ
グダグダしてんじゃねえって

クソヤロー
ウゼエんだよ〜
テメー
テメーのガキの気持ちの
かけらも解んねえのか

虚しいよな
本当にロープの輪に
首入れって吊ってやるか

でも
できねえだろ
親が悲しみ親に迷惑かけるだけだから
あいつもこいつも
なんだ
あいつ死にやがって
と思うだけか

バカバカしくて死ねねえよな

その理性が残ってるんなら
大丈夫だぜ

俺の話を聞けよ
今より
学校生活は悠長だったぜ
クラスの悪ガキどものいじめにゃ
限度があってな
今みてえに陰湿じゃねえのよ
学年には番長グループもいたけれど
他校との喧嘩に忙しくってな
自校の弱いものいじめなんか
する余裕がなかったぜ

その間隙を縫って
底意地の悪いやつにいじめられた
いつも青タン赤タンだらけでな
悪ガキにいじめられていたんだな
その腹いせを俺にやりやがった
トイレで待ち構えて
アサガオという通商の
男子のションベン用便器に
俺の顔を押しつけたりな
学校帰りに後ろから
石蹴りをやりやがんの
石が背中へ飛んでくんだぜ
痛いのなんのって

いじめは夏休みの
2週間ほど前に始まったんだよ
夏休みが待ち遠しくってな
非常に切実に待ち遠しくってな

夏休みは楽園だったぜ
明けが近づくまではな
だんだん近づいてきて
追いつめられてさ
あいつんちに火ぃつけてやるかって
そんな騒ぎになりゃ
いじめどころじゃねえだろ
暗くなるのを待って
マッチに古新聞持って行ったんだよ
あいつんちは今で言えば
造園業さ
当時は鳶職って言ったな

暗い庭で
あいつが父親に殴られ蹴飛ばされていた
あいつ必死に耐えて
叫ばねえのよ
泣かねえのよ

俺の中で何かが終わったぜ

勇気が出たんだ
学期始めに
あいつと目が会うなり言ったんだ

お父さんに殴られたんか
青タン赤タンだらけだぜ

もしも夏休み明けに
どうしても行きたくなかったら
不登校やんな
親も担任も泡を食うだろ
ほんとのことを言ってやれよ
きみが開き直れば
大きく事態は動くぜ

今は方法がいっぱいあるだろう
ここには書けねえけどな

勇気を出しゃ
かたがつくぜ

出せ

いいか