友達なんか

 初めからいないんだ

 って思ったね。

 潮の引くように離れていく。

 そっかって気づいたけどね。

 
 俺が調子いいときに寄ってきた奴は

 とっくに去っていた。

 難破する船から

 ネズミが逃げだすようにね。

 
 どん底に落ちてから去る連中は

 考えてみたら

 何かんときは役に立つだろう

 って俺のほうから近づいたんだって。

 だから

  他人事のような顔されたって

 しょうがねえやな。

 それでも残った連中をね

 訪ねていくと

 貧乏神にでもこられたような

 顔になるのさ。

 そりゃそうだろ

 助けを求めに行ったんだから。

 
 1人だけ普段と変わらぬ奴がいてね

 こっちはどうでもいい感じで

 つきあっていたんだけど

 そいつがゼロからやり直したら

 と

 タクシー会社に紹介してくれた。

 それがやり直しになったよ。

 偶然

 調子よくやっていたときの

 得意先を乗せてね

 うちでしばらくやってみないかって。

 それが本当の立ち直りになったね。

 3年で独立させてくれた。

 
 最後まで俺から離れなかった奴は

 相変わらずだよ。

 滅多に会うことがないけどね。

俺が立ち直ったのを知って

頼ってきた奴もいるけれど

ご馳走はしたがカネは貸さなかったよ。