人生に岐路はつきものだが

 出版界がまだ元気だった頃

業界新聞社勤めの後輩が

 出版社2社から誘われた。

 1社は新興の出版社

 ヒット作を連発して

 何しろ給料がいい

 ボーナスを合わせると

 今いる業界新聞社の2倍近い。
 
 もう1社は創業20年ながら

 社員数数名の小出版社。

 実業書を地道に出版している。

 給料は今までのところより少しいいが

 事情通に訊くと

 編集で入っても

 営業も雑用もやらされる。

 深夜までの残業も多く

 そのくせ編集部所属は

 残業費はつかないという。

 今で言うブラック企業だな。

 どう思うか訊かれたので

 きみはどうなんだ

 と訊き返した。

 天国と地獄ほどの差がありますが

 地獄を選びます

 と爽やかに答えた。

 僕もそれが正解だと思う

 と言った。

 新興のところでね

 その業界の常識に反した

 待遇をするところは

 もう頂点にきていて

 急な下り坂が待っているか

 疚しいことをやっている。

 案の定

 その出版社は

 それから間もなくして潰れた。

 後輩が入ったところは

 出版不況が始まっても

 地道に業績をあげて

 50人規模の出版社になり

 待遇や

 労働環境も格段に改善された。

 ITバブルの時代にも

 天国のような条件で

 求人していたところは

 ITバブルが弾けてみんな弾けた。

 生き残っているのは

 地道にやってきたところだ。


 岐路の一方が天国のようだったら

 気をつけろ

 地獄が待ってる。

 地獄のような条件のところが

 しぶとく成長して

 すべてに改善されていく

 傾向が見られる。