遠い記憶を遡ったのか
一瞬
そう思ったのなら正しい直感だ
神殿などによく見られる切妻の屋根
と高床は
日本の古代で
南方系の民の集落特有の形式だ
貴方は遠い記憶を歩いている
山の端の上に
月が出て煌々と輝いている
夜の帳が下りて
まだまもなくだろう
きねでもみをついている
荷車を押す人もいる
川を下る舟人も見える
でも
あと半刻もしたら
輝く月を除いて
すべてが寝静まる
川の水さえ流れを止めて
疲れを癒す
貴方は独り橋を渡り
いずこかへ帰る
ある人の面影を抱いて
寂しかった
とても
だから
普通の優しさに
普通の愛にすがった
貴方は本気だった
いっとき
本物の優しさが
本物の愛が
伝わってきたように感じた
これが幸せか って
いつまで続くものか解らないけれど
今が今であればいい
そして 今は
寝静まる気配のように
普通にすぎていった
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