常に2番手を目指すって

 まだ若いのに珍しいね。

 褒めているんだよ。

 普通はその力もないのに

 トップを目指すだろう。

 そうか

 お父さんの影響か。

 お父さんは中堅の会社に入って

 トップに成り上がったんだ。

 しかし

 腹心の幹部に裏切られて

 失脚した。

 その後にトップに立ったのは

 社歴はお父さんより古い人で

 2番手でいいよ

 が口癖の副社長だったんだね。

 敵がいなかったから

 結果的に10年も社長をやった。

 お父さんが

 野心家になるな

 常に2番手を目指せ

 ときみに口癖のように言ったわけは
 
 野心を持って早くにトップに立った

 自分が舐めた辛酸を

 きみに舐めさせたくなかったんだよ。

 2番手というのはね

 表に対する裏ということで

 目立たないが

 大切なものがあるところなんだ。

 帝がいらっしゃるところを

 内裏と言ったし

 奥まったところだから

 当然 大事なものが存在する。

 江戸城の大奥もそうだしね。

 何かの 緊急時には

 必要なものは裏から出てくる。

表通りより裏通りに

格式高い老舗が残っているしね。

裏 つまり2番手は

 ここぞというときに出番がくる。

 お父さんはきみの将来に期待して

 2番手を目指せ

 とはっぱをかけたんだと思うよ。