乗合船恵方萬歳

新春浅草歌舞伎の二部で乗合船恵方萬歳がかかっています。
もう残す所あと二日!
今月は常磐津が三番も演目があって、命からがらで勤めております。
もっと早くこのブログを書くべきでした。家に帰るとクタクタで。。。
今夜はえいや!と力を振り絞って書いてます。

さて、その乗合船恵方萬歳の歌詞で気になるところ、わかりにくいところを解説しましょう。

演目のおよその筋はプログラムに書いてありますから割愛。

最初の白酒売の歌詞から。
白酒屋さんが「そもそも白酒の始まりは」という台詞の後に歌が始まります。

〽︎富士の白雪や朝日で解ける 〽︎解けたがどうしたえ 〽︎娘島田は口説の半ばでさ寝て解ける 〽︎やれよいよい 〽︎良い評判で売りかける

白酒の由来かと思ったら、なんか違う。。。
はやし言葉を抜いて現代語に訳してみると
「富士山のてっぺんの白い雪は朝日が当たって溶けます 娘さんの島田髷は(恋人と)口説(いちゃいちゃした会話)の途中で寝て(もっといちゃいちゃして)解けてしまいます」
色っぽい話でした^^ どこにも白酒の由来が入ってませんね。どうしたのかしら?と思ったあなた、そうです。この歌詞は色っぽいことを意味が違うふたつの「とける」という言葉にかけて表現しただけのものでした。

お次は大工さんの件り。
〽︎そも番匠のはじまりは 叩き大工のこっとらが 聞いても上の空仕事 嘘を突き鑿 差し金と使い慣れたる友達と
〽︎すぐに裏釘返して後は本に辛気な溝鉋
〽︎互いに二世と墨さして誓文くさび離れぬ仲を
〽︎このごろは 聞けばお前はしん手斧 また新店に回し挽き 憎や節木の性悪と

大工さんが使う道具と曲輪の色事を掛詞にしてあります。
「気心の知れた友達と廓に遊びに行って気に入った女郎さんに会い、すぐに裏を返す(二度目に遊びに行くこと)。女郎は本当に辛い身(ぞかんな)なのですよ。
お互いに二世を誓って(夫婦になろうと約束して)刺青をして(大工さんは墨壺で線を引くこと)起請誓紙をとりかわしてくさびを打たれても離れない仲になったはずが この頃は聞けばお前はよその新しい店に回っているとは なんて憎らしい節穴の空いた木のように性悪な人!」(このごろは〜の部分は今回上演しておりません)

というわけです。
廓に遊びに行くという習慣が最近はありません。風俗遊びのようなものですが今よりもっと上等で、真剣な恋愛もあったということです。歌舞伎の題材ににはよくありますね!^^

さて、全部訳していると、今の価値観とはかなり違うというか、消滅している常識もあったりするので、学術的に研究する向きは他の先生方にお譲りするとして、ざっとこんな感じの洒落て色っぽい雰囲気を楽しんでいただければと思います。

ここまでお読みいただきましてありがとうございました。

兼太夫 拝