結局その後5kmほど漕いだところで
最後の1目盛りが消えて
「あとは自分の力で進むんだぞ!」
と電アシの神様が去った。

「電アシさん、僕一人じゃ無理だよ
 もっと後ろから押してくれよう」
と、パパに自転車の乗り方を教わったばかりの少年のように
甘えてみたが、返事はなし。
急に重くなったペダルを渋々踏む。

ここまで、甘やかされて育った僕が
すぐに自立できるわけもなく
自力で進んだのは5kmくらいものもの。

最寄りの駅の駐輪場に
ノーアシスト人力クソ重自転車を置くことに
明日チャージ済みのバッテリーを持って
取りに来ることにする。

さて、ここからどうしよう。
単に電車で帰ってもつまらないので
スマホのアプリ「ナビタイム」でバス検索

最寄りのバス停から都バスを二本乗り継ぐと
自宅の直ぐ側の停留所に付くらしい。
知らないバスにのるのが嫌いじゃない僕だ。

ところが途中、急にバスが混雑してきた。

僕が降りれば3人くらい乗れるし
僕にはこれといって目的がないし
まだ日も落ちてないし
ちょうど、その場所が熊野前と言う、
僕が少年時代によく遊んだ街だったし
おならしたいし。

等の理由で下車した。

ああ、ここのボウリング場ってとっくに無いんだ。
僕がはじめて入ったセブン-イレブンはまだある。
とか思いつつ、長い商店街を歩くことに。

なあに、ナビタイムがあれば
すぐにバスは見つかる。

のっしのっしプープー商店街を闊歩する。

ここのおでん屋さんまだあるのか
ここのおもちゃ屋さん看板だけ残ってる
この空き地はなんだっけ
このスーパーの二階が映画館で
「マジンガーZ対デビルマン」を見に来たっけ

この店はもともといかがわしい貸ビデオ屋で
高校生の時にxxx
xxxの学生証をxxx
変装してxxx小田かおるのxxx

熊野前商店街の北端から南端までほぼ1kmを
ノスタルジックな気持ちで歩き終えて
ナビタイム。
僕の家のそばまで行くバスを見つけて乗り込む。

そこで、僕の前に座ったおばあさんとおじさんが
僕が表紙の冊子を偶然読んでいるという
プチ奇跡もありまして。
無事帰宅。

明日、自転車取りに行くの面倒くせえなあ。