お知らせ

「そうなの、ルーちゃんが…大きくなったのね」

鏡越しの会話、店と通りが映る。

「まだ幼いと思っていたけど、考えているなら、
応援したいわ」

「皆の応援と、期待があるから、ルーちゃん、
きっと大丈夫です」

「ありがとう。あの街は、風光明媚なところよ。
とても懐かしいわ…」


少しの寂しさは、今だけ。
切り揃った襟髪、ドロップヘアに、ふと目を遣る。

仕上がった色も、お気に入り。
店を後にして、マルシェに向かう。

街に住む懐かしい友人に、手紙を書いておくわ。
力になってくれるから、頼ってね。

あなたが、何処にいてもいいけれど、

わたしはいつも、あなたを思っているから。

応援するわ、ルーチェ。

私の思うこと、やりたいこと、

パパ、ママ、アンジュに、お手紙で伝えてみた。

そしたら、応援してくれる事になって…

なんだか、大人っぽくなったな、って、

パパは、笑ってた。ママは、目が潤んでた…。

絵と、声楽の学校に行く事を許してくれた。

願書は取り寄せていたから、分かってたのかな。

春には、わたしは、この街を越して行くわ。

だけど、大丈夫。

アンジュも、一緒に来てくれる事になったから。

春からは、新しい暮らしが、始まる。
楽しみだなあ。

彼女の名前は、ソフィア。

巷のバルや劇場で、ソフィーと呼ばれ、

愛嬌と艶の両方を合わせ持つ、有名ダンサー。

彼女の放つオーラは、観るものに伝わり、

パッションを、心の底から突き動かす。

ステージの後、拍手が鳴り、私は感激の余り、
彼女を見つめていた。

すると、ソフィーが、私に気付いて、

「初めて見たの?」と声を掛けてきてくれた。

「間近で観たのは初めて…」と、素直に答えると、

手を引いて、名前は?と、聴いた。

私はすぐ、名前を彼女に教えた。

「アンジェラね、友達になりましょ」

拍手が鳴り止まない、ステージに上げてくれた。

私も踊りや歌は好きだったから、小さい頃や、
学校では、踊っていた。

当然、彼女には、敵わないけれど…。

夢の中のような気持ちで、舞台で踊ったわ。

彼女とは、それから、とっても仲良くなって、

家族や、故郷の事や、夢を語り合う仲になれた。






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