「手を洗えな。
お水あったかいのにしといたから」

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その日
おじいちゃんがその時を迎えた瞬間には
母と妹が立ち会って居ました
母もみたことがなかったおじいちゃんの
涙が 一筋頬を零れたと聞きました
急いで向かい触れたおじいちゃんの手は
まだ温かくて 不思議な気持ちになったのです

送り出すために
おじいちゃんの身体を拭く時
殆どの方が手を真っ先に拭くのでした
おじいちゃんの口ぐせを
思い出しているのかな と思いました

雨が嫌いなおじいちゃんのお葬式は
晴天でした
病院に横になっている時も
いつも帰りの心配をしてくれて
晴れた日でも
「雨が降るから早く帰れな。」
と もう声が殆ど出ていないかすれ声で
にか と笑って言うのでした

おじいちゃんの部屋をみていると
今迄の沢山のスケジュール帳が出てきました
そこには 誰から電話がきたこと
おばあちゃんがつくった
ごはんのおかげで体調が良いこと
小さい現象が
事細かに書いてあり
挟んであるメモは
スケジュール帳に
清書する前の乱筆なのでした

四十九日の今日は台風も近付く雨でした

お葬式の時に涙はただただ流れるものの
未だに実感が湧かないまま
今日を迎えました

本当にあっ という間に帰る頃になり
わたしを含めた孫たちみんなに
おばあちゃんからお手紙が渡されました

「これは
おじいちゃんからの手紙だからね」と

お家に帰りお昼寝をし
それからお手紙を広げてみると

『きれいでいい娘になったなァ
学校も大変な様だけど
大丈夫
今迄ありがとう
おじいちゃん』

と書いてあるのでした

特殊な学科に行くのを
ずっと反対していた
おじいちゃんからのお手紙でした

そのお手紙は
おばあちゃんが おじいちゃんの
気持ちを 言葉を
思い描きながらの代筆でした

おばあちゃんは
最近では手が震えていたので
きっと書くのも
とても大変だったとおもうのです

もっとおばあちゃん家へ行って
沢山お話しようと思いました
ただただ そう思ったのです

大きいお休みにおばあちゃん家で
夜ごはんを食べてる様な
この気持ちを忘れたくないなあ と

よく分からない心地いいあたたかさを
もち続けていたいと思いました

自分でも分からない
この気持ちは
今日
ただ書き留めておきたかったのです

明日もどうかその手のあたたかさに
触れられます様に