ヒカシュー新録@EASTSIDE SOUND, NYC part 1 on 15 May, 2011



午前10時より録音開始と聞いていたので、たぶんセッティングとか、サウンドチェックとかで文字通りの録音開始は午後2時くらいからだろうと高をくくっていたのだが、2時にスタジオに到着にすると、ヒカシューのメンバーは今ランチに行ってるよ、とスタッフから聞かされてしばしロビーで待つことに。
10分後にメンバーとエンジニアのマルク・ウーセリがスタジオに戻ってきた。マルクにスタジオ内を紹介してもらう。もう、ほぼ完璧ともいえる音響装置、ブース、機材(詳しく書くと長くなるので割愛)。ランチ前に既にインプロの6曲を録り終えているとのことで、それだけで既にCD一曲分になるらしい。
さて午後いちで録音を開始したのは三田フリーマン作曲・巻上公一作詞の「うらごえ」(仮)。世が世ならシングル・カットされるべき楽曲。ひとまずベイシックな録音を終え、全員でそれを聴き意見を出し合いつつ肉付け(オーヴァーダブ)をして行くというとても民主主義的な方法をとっている。そのことにより曲はどんどん変態性を増幅させて行く。三田フリーマンの特質ここに極まれり。
そういう作業をしている最中に、ジョン・ゾーン、本田ゆか、ネルス・クラインなどがスタジオに遊びに来た。いいよね、そういうのって。皆でわいわいとオーバーダブの演奏を聴いてあーだーこーだと言い合っていいものが生まれてゆく感じ。
楽曲を録音し終えて今度は坂出雅海のコンセプトによるインプロをガーっと一気に録音。あの、ヒカシューの、聴いてると「なんか変、妙な感じ」という感想と対局にある、エラくカッコいい演奏。ファンキーだ。でもこれもまたヒカシューだ。


ヒカシュー新録@EASTSIDE SOUND, NYC part 1 on 16 May, 2011
午前11時に録音開始。坂出雅海作曲・巻上公一作詞「事態は絶対 夕方のイエス 朝方のノー」(仮)3テイクを録音。以下現場からの私のリアルタイム・ツイート・コピペ。
「坂出雅海作曲・巻上公一作詞の新曲。いま録音前のまとめリハ中。どんどん完成度高くなってきます。こういう現場に居ることができるのは幸せだなあ。」
「みんなでランチ後、本日の二曲目のハードな楽曲の録音に突入。」
録音終了の音を聴く時、佐藤さん、ものすごく真剣。さすがにリズムのひとですね、

楽曲の二曲目「ひとり崩壊」(仮)は巻上公一作曲作詞によるもの。タイトル通り崩壊感満載のハードな楽曲。全員激しく暴れまくる演奏で、終了後マルクも「強烈で良かった。ヘヴィーメタルだ。オレ好き」と。以下現場からの私のリアルタイム・ツイート・コピペ。
「サクっと録音終了。ワンテイク。エンジニアのマルクが「ヘヴィーメタル!オレ好き!」と感想を。全員暴れまくりのグルーヴ感。」

「生まれたての花」(作詞作曲:巻上公一)の録音。これに関しては、ちょっと特別な感慨があり、現場てツイートしたもの、及びその後の感慨のツイート全てコピペしようと思います。
<現場篇>
「今度は打って変わって静かな楽曲を録音。いいメロディ。録音までのインストリハ中巻上さんが「こんなうた」と、ミキシングルームでオレの横で歌ってくれた。素晴らしい。このアンビだけでも録音したい気分。」
「すごく優しい歌。また「311以降の感覚」をどうしても意識してしまう。どうしても言葉を頭の中で結びつけてしまう…泣きそう。」
「録音最後まで付き合いたいのだが、これから打ち合わせがある。そろそろ出なきゃいかん…」
<その晩の感慨篇>
「残念ながら昨日と今日、NYCは雨です。しかし半ば仕事で来ているとはいえ、ひとたび原発関連のことが頭をかすめるとNYCの風景が全然違ったものに見えてきます。昨日のヒカシューの新曲「生まれたての花」はそういった現状というよりも未来の希望を感じさせるもので(続く)」
「聴いてて何度も泣きそうになりました。巻上さんは全く別の意図でその歌詞を作っていると思われますが、受け手(つまり私)というのは実に勝手な思い入れをするもので、私の今の心境ではそういう風に感じざるを得なかった。3テイク録音した直後に用事でスタジオを出ざるを得なかったのだけれど(続く)」
「どのテイクが採用されどのようにオーバーダブされどのようにミックスされるのか、完成がとても待ち遠しい。最後に清水さんと「これはセレクトが難しい」ということで合意したのですが、必ずやベストな完成形になってアルバムに収録されるであろうと思います。乞うご期待です!(終了)」

ヒカシューの、ジャパン・ソサエティでのものすごく盛り上がったライブ、その翌日と翌々日にEastside Soundで新録が敢行されたのですが、普段は東京での録音現場に数多く立ち合っている私も、とても新鮮な気分を味わいました。その新鮮さはもちろんNYCの録音現場であることも大いにあるのですが、ヒカシューの堂に入った変態さ加減とか、一人一芸軍団とも言えるヒカシューのメンバー各々の個性とか、新曲の素晴らしさとか、そういったものの総体として、ものすごく新鮮に私の心に響いた、ということです。必ずや素晴らしいアルバムになることが、もはや私の中では決定しております。いま、全ての楽曲をミックス中であるということですが、発売はいつになるのでしょうか。いつであれ、この音楽はなにか普遍的なモノを内包しているようにも思いますので、納得いくまでミックスとマスタリングの作業を行っていただきたいと思っています。フツーはここまでくると(ヒカシューは結成33年!)伝統芸能化するものですが、ヒカシューは全然伝統芸能じゃない。いや、もちろん伝統芸能が悪いと言ってるんじゃないんです。聴いてる人がいつの時代にも「おやっ?」と首をかしげる。伝統芸能にこれは許されません。でもヒカシューはそれがないとヒカシューじゃない、と私は勝手に思っているのですが。そういうこと勝手に言うとヒカシューファンからお叱りが来そうですね。お叱りが来ないうちにこの文章を終わらせたいと思いますが、最後にひと言。「スゴいアルバムが世に出ることは必至! 心して待たれよ!」