岩手県で暮らしていた幼い頃の7月。

じいちゃんは何かをかつぎ山から下りてきた。

それは竹だった。

じいちゃんは、俺と妹の為に七夕の竹を山から切ってもってきてくれたのだ。

じいちゃんは
「ほれ!ひげ君!●●ちゃん!短冊さー願い事書けざ!!」

俺と妹は短冊に願い事を書いたんだ。

【アニメのビデオほしーーーー。】

【りかちゃん人形ほちーーー。】

すると、どうだろ、七夕の日に茶の間に、アニメのビデオとりかちゃん人形が置いてあった。

今思うとね、じいちゃんとばあちゃんが買ってくれたんだよね。

ありがとう。

8月になり、俺はじいちゃんとばあちゃんと別れなければなかった。

妹と二人で車の中で泣きながら、岩手の家族とお別れをした。

妹は車の中で泣きながらりかちゃん人形を握りしめていた。

そう、俺達家族は親父が出稼ぎで働いていた神奈川に引っ越したのだ。

じいちゃん、ばあちゃん、ひいばあさんを岩手に残し。

神奈川で暮らし始めて…次の年の七夕がやってきた。
小学校で皆で短冊に願いを書いたんだ。
皆は
【ガンダムほしい。】
【サッカー選手になる!】
【お金ほしい】
様々な願いを書いていた。


だけど、俺はこう書いたんだ。

【早く夏休みになってほしい。じいちゃんばあちゃん、ひいばあさんに会いたい。】

クラスメートは俺の願いを見て

「ねえ!ひげ君!夏休みは必ずくるよぉ!」

「ええっ!何その願い事!!」

色々と言われた。

担任の先生も

「ひげ君?夏休みに岩手に帰るんでしょ?」

と聞いてきた。

わかってたよ。

夏休みが来ることも

岩手に帰省することも

でも、俺の一番の願い事は

おもちゃが欲しいでもない

何かになりたいでもない

【早く夏休みになってほしい。じいちゃんばあちゃん、ひいばあさんに会いたい。】

これだった。


そして8月、俺と妹は岩手に帰省したんだ。

元気よく岩手の実家の玄関を開けて

「ただいまーー!!!!」

って言うと

じいちゃんばあちゃんが

くしゃくしゃの笑顔で

「おかえりなさいっ!!」

って言ってくれたんだ。

短冊の願い事が叶った瞬間だった。

叶うとわかっていても

俺はそれを願っていた。

それが、俺の一番の願い事だったから。

ふと、気づくと玄関に

小さな竹があったんだ。

短冊が二枚ついていて

短冊を読むと

【ひげ君、●●ちゃん早ぐこいっ!】

って書いてあった。

じいちゃんばあちゃんは

俺と妹が岩手に帰省するまで飾っておきたかったんだって。


これを今思い出しても

胸が締め付けられるような暖かさを感じてしまう。

これから毎年


俺と妹は1年に1度必ず

じいちゃんとばあちゃん、ひいばあさんに会いに帰省した。

形は違えど、まるで1年に1度しか会えない織姫と彦星みたいだった。







今、俺も34才になったけどさ

今年も願うよ。

【早くじいちゃんばあちゃんに会いたい。それと親父。】

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って。



笑顔!!
STA!!
HIGESTADIARY
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なぁ、親父。
ばあちゃんもうちょいで会えるぞ!