『神様はじめました』、一昨日の3月29日に、全ステージ無事に終わりました。
ご来場いただきました皆様! 本当にありがとうございました。
いつも舞台は自分主宰の「秦組」ばかりなので、
「雇われ演出家(プロデューサー・チェックあり)」
「原作あり(原作者チェックあり)」
「はじめましてのキャスト陣(しかもほとんどが20代の若い役者ばかり)」
と、今回はとてもスリリングでチャレンジのしがいのあるお仕事でした。
そのうえ、初ミュージカル。
しかも、脚本打ち合わせが全く無いまま別進行でキャラクター・ソングが作られていて、
「秦くん、このキャラソンは全部劇中で使ってね」
詞が既にかっちり出来上がっている歌ばかりだったので、それを矛盾なく戯曲に取り込む作業は、それはもう大変でした(笑)
それらすべてひっくるめて、この年齢で、初めてにチャレンジ出来る仕事をいただけること、とても幸せだなと思いました。
戯曲執筆、オーディション、美術打ち合わせ、アンサンブル先行稽古、本稽古、そして本番。
延べ5ヶ月、存分に楽しませていただきました。
打ち上げの席で、主催会社の代表の方から「次も必ずやる」というお言葉が。
ので、『神様はじめました・ミュージカル』はまだ続きます。
今から、「次」が楽しみです。

千秋楽。満員で、みんなで感激。

ありがとう、舞台。この舞台セット、大好きでした。ビニールの袖幕とかも最高だったなあ。
最後に、有料パンフレットに掲載予定だった幻の秦の挨拶文を載っけておきます。せっかく書いたので勿体無いので(笑)
× × ×
(脚本・演出 秦建日子 ご挨拶)
ギャンビットの久保社長と会ってみませんかと声をかけて下さったのは、恩師・つかこうへい先生の秘書を長くされていた浦田さんだった。
久保社長は、古くからのつか先生のご友人とのことだった。
ぜひとお願いし、数日後、築地のお寿司屋さんでお目にかかることになった。
少し遅れて到着された久保さんを見た瞬間、ぼくは驚愕し、背筋は伸び、足は即座に正座に組み直された。
久保さんの放つオーラが、かつて先生が身にまとっていたオーラととても似ていたのだ。
それから数カ月後。
久保さんから直接電話をいただいた。
「秦くん、突然なんだけどさ。ミュージカルの演出やってみない?」
ぼくはずっと、つか先生から何か言われたら必ず「やります。やらせてください」と即答することにしていた。
本当に出来るのかとか、そういうことは考えない。先生からやるか?と聞かれたら即答で「やります」。
久保さんから電話を貰った時、その感覚がパッと甦った。
「やります。ぜひ、やらせてください」
時期未定。劇場未定。原作未読。ミュージカルの演出経験ゼロ。
でも、だからこそチャンスなのだと思った。
「OK。じゃ、『神様はじめました』っていう少女マンガなんでよろしく」
久保さんは明るい声で仰った。
「え? 少女マンガ、ですか?」
「おう。女子高校生とキツネが恋をしてキュンキュン♪キュンキュン♪って話だから」
「キツネと恋してキュンキュン?」
秦建日子と言えば、オファーの大半はサスペンスである。連続殺人だったり猟奇殺人だったりである。そんな人間に、女子高校生とキツネのラブコメ! さすが師匠の古くからのご友人だけあって、度胸は満点である。ぼくは早速書店で全巻購入し、キツネにキュンキュンする女の子心の勉強に入ったのだった。
ミュージカル初演出の人間を信じて集まってくれた、すべてのキャストとスタッフに感謝します。
素晴らしい原作を提供してくださった鈴木ジュリエッタ先生に感謝します。
そして、ご来場いただいたお客様。本当にありがとうございます。
『神様はじめました』、最後までごゆっくりお楽しみください。