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「ハミ子」こと
えりは、特段
このあだなが 好きでも
いやなわけでもないが

あまりにも 本当の名前
「えり」と 違うため

人に聞かれたときに
いちいち説明するのが
面倒くさかった。

なので もう小学校三年生に
もなると
…「忘れた」というのが
一番簡単な方法だ。

「れい」が
近づいてきた。

「フフフ。昨日はたくさん
しゃべったね。
えりちゃん…がいい?
それとも…」

『えりちゃんでいいよ!』

即答してる自分がいた。

やはり友達からは あの
あだなは嫌だ。

「れい」には
本当の理由を言いたくないのもあった。

「子どもまつりどこで待ち合わせする?」
「あそこのさ、道曲がるところにミラーあるじゃん」
『うん』
「あそこに5時は?」
『早くない?6時からだよ』
「始まる前に遊ぼうよ!」
『そうだね!うん!』

なんか、ひみつ会議をしてるようでワクワクした。

れいの事が 少し大人びて
みえた。



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『ハミ子~❗』

同級生が 呼ぶ。

わたし「えり」のあだなは
『ハミ子』だ。


幼い頃からわたしは、他人とすこしずれていた。

幼稚園のときに
校庭で 運動会の練習をしていて 列を作るのだけれど

どうしても列からはみ出してしまう。

「年長さんだから
みんなのお手本になるように頑張りましょう!」と

先生は言うけど、私にはとても難しくて
列からすこし「はみ出して」しまう。

すると
怖い顔をした先生が
わたしの所へ走ってきて

「まっすぐ並びなさい!」
っていう。

まっすぐにしてるのに

また先生が来て
「こうだよ!ここ❗」と

怒りながらいうから
緊張してきて
分からなくなってきて

固まってしまう。

毎回 ずれる。

そのたんびに
先生が走ってきて
また怖い顔で言うから 
体がカチカチになって
動けなくなって…

いつも そうだから
うんざりするみんなの顔も
恐くて …

今度は
先生が わたしの両肩を
『がしっ』
と、持って 「こ、こ❗」

という。

だから わたしはいつも
前の人の靴をずっとみて
「ずれていないか」
確認する。

……ある日 幼稚園の
男の子が 「おまえ、いっつも先生に言われてんな。」
「列からはみ出しの『ハミ子』な❗」

周りにいた子が
クスッて笑った。

その日からずっと
わたしは「えり」ではなく
『ハミ子』
だ。


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始めてと
言っていいのかも
しれない。

『一緒に帰ろ❗』


『うん。いいよ。』

えりは そんな事を考える
間もなく れいに走り寄った

『こっちなの?』
「そうだよ!」

「こども会 いく?」
『いくいく!ケーキ食べられるもん(笑)』

どんどん言葉が出てきて
どんどん会話が弾んで
二人ともにこにこして…

一気にしゃべりだしたのだった。

『ただいまー❗』

いつもより元気に言ってる
自分が可笑しかった。

ばあちゃんは、いつも通りに
…「お帰り。」と言ってくれた

なんだか
ずっと ウキウキした気分で
明日の学校が
楽しみで
鼻歌をうたいながら
ランドセルをおき 麦茶を
注いだ。

「今日、ピアノだからね!」
という 母の念押しの言葉にも
『はーい!』
と元気に返事をして
お道具セットの準備をした。

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