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相談したいことがあったので、1年振りに元同僚に時間をもらった。付かず離れず、足かけ15年ほどの付き合いになる。彼の髪には白いものが混じり、僕は額が後退してきた。お互い歳をとった。「歳を重ねた」が聞こえがいい。彼は僕より二つ下だが、博学で好奇心旺盛。何事にも前向きで、マイナスなことを全く言わない。ただ、ちょっと粗忽なところがたまに傷。会う度にどこかに傷を増やしている。最近では、終電を逃し、車で30分以上かかる場所から酩酊したまま歩いて帰り、どこかでコケて瞼がパックリ切れいたそう。顔面血まみれのまま布団で寝ていて奥さんにこっぴどく叱られたようだ。奥さんからは「子どもが4人いる」と思われているとのこと。プレハブのような店内は8席程の椅子とテーブルしかなく、5人の大学生と思わしき男女がオモニと一緒に飲んでいた。大学生達が帰り、店内は僕達二人とオモニとアボジだけになった。オモニが僕達のテーブルにコーヒーを持って腰かけた。自然と日韓の政治の話に。個人個人は数時間でこんなにも仲良くなれるのに国対国はどうしていつまでも蝶々結びをできず、糸を複雑にもつれさせているんだろうというのが、三人の解だった。退店の際、オモニがほとんど口をつけられなかったマッコリを瓶に入れて持ち帰らせてくれた。この店の名前は「チング」。韓国語で「仲のいい友達」。この日を象徴したような言葉だった。
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「広告をつくることを一生の仕事にしたい」と思ったのは、17才の夏だった。無理を言ってそれを学べる大学に行かせてもらった。卒業の頃、時代は超のつく就職氷河期に変わっていたが、広告制作の仕事に就きたいという気持ちは変わっていなかった。しかし、当然志望度の高い代理店や制作会社から内定はもらえなかった。広告業界を目指す講座やセミナーに顔を出し、寝食を惜しまず、書いて描いて書いて描いて書き続けた。やっとのことで大阪の小さなプロダクションから内定をもらえたとき、大学卒業から10ヶ月が経っていた。しかし、プロダクションの仕事は激務の極みで、朝9時から深夜3時が定時のような勤務シフトで、2日や3日の徹夜は当然のように訪れた。心より先に体が悲鳴を上げた。「夢は叶えられた瞬間、失われる」というコピーが心と体と現実に合致した瞬間だった。詳細に書くことは遠慮しておくが、それでもその後、10年以上にわたって、広く浅く薄く広告制作の仕事に携われているのは、ありがたいし、楽しい。どちらかわからないけれど、広告の神様か仏様はいるんだろうなと思う。インスタグラムでサブアカウントを作成し、ポートフォリオとした。自分の生きた証(書いた)証を残しておくために。

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篠山の「一休堂」と骨董品屋を目指して北上したのに「一休庵」という蕎麦屋に到着した。ま、いっか。腹ごしらえしてからでも、と思い入店した。小雨が散らついていて、寒い。温かい天そばをオーダーした。待っている間に続々と人がなだれ込んできた。天そばがテーブルに運ばれて来た頃には、6席のテーブル、2間の座敷は満席に。どうやらここは篠山以外からも人が集まる人気の蕎麦屋だったよう。開店と同時に入れて逆にラッキーだった。十割蕎麦に揚げたての天ぷら。海老、茄子、南瓜、薩摩芋、烏賊、獅子唐。特に湯葉の天ぷらが美味だった。蕎麦屋の紅白の梅の花が小雨に濡れて趣きがあって「日本人でよかった」と何故か思った。一方で、本来の目的地だった「一休堂」はいくら探しても見つからない。痺れを切らし、電話してみると「買い付けのため店を閉めています」とのこと。どうやらシャッターを閉めていたあのひなびた建物だと推測できた。多分。次回にしようと思い、蕎麦屋近くの陶芸ギャラリーにお邪魔した。陶芸もさることながら、庭が綺麗に手入れされていて、気持ちが落ち着く。「慌てない慌てない。ひと休みひと休み」と言い聞かせてくれているようだった。
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