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あるアンティークウォッチを探している。気になっていたトアウエストのヴィンテージショップ「JeJe」へ。暖色照明が、よりタイムトリップ感に拍車をかける。上品な女性2人の先客。おそらく親子だろう。店の主人らしき女性(こちらも上品)に「カメレオン」=(ヴィンテージ・ロレックス)の修理の依頼しているようだった。残念ながら僕の探している時計はなかった。物色していると、もうひとりの店員が気さくに話しかけてくれた(もちろん上品)。とても知識豊富、聡明で柔和、そして接客が素晴らしかった。まるでよく手入れさせたアンティーク・ジュエリーのよう。70年代のものはもちろんのこと、50年代、40年代のものもあった。中でも驚いたのは30年代のオメガ。約90年前に製造されたもの。存命していたら母方の祖父と同い年だ。文字盤が日焼けして、元々その色ではなかったのかと疑う程のアメ色。あれはもはや時計ではなくアートだと思った。アンティークやヴィンテージものの魅力は見つけたその瞬間に購入しないと、十中八九もう二度と同じものを見つけられないところ。「出会い」なのだ。人と人の出会いもそうであるように、その奇跡のような儚い「ご縁」も魅力のひとつ。
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トアウエストも随分様変わりしていて、僕が10代の頃は古着屋の激戦区だったのに、今はハイセレクトショップが軒を連ねていた。トアロードを南に下っていくと「高架下」、さらに南に行くと居留地…。トアロードを歩くだけでも貴族的、庶民的、また貴族的と街は表情を変える。その両者が入り混じっていても何故かあまり違和感なく、その日の気分次第でどちらでも愉しめる神戸は不思議な魅力がある街だなと、あらためて感じた。
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「高架下」横にドライフラワー専門店ができている…と思ってお邪魔すると、反対側は生花店だった。「Idea Is Win」とはこういうことか…と妙に納得した。南から吹く潮風が花の香りと入り混じって、6月とは思えないオリエンタルでオクシデンタルな清々しい気分になった。

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仕事でトラブルが起こった。原因や起因は明らかだけど、それは会社のやり方(顧客満足度向上手段)なので、一朝一夕では変えられない。変えられるのは自分のロジックだけだ。不便は便利を生み、その代償に不便と犠牲をはらう。一体、何が正解で不正解なのか判別し難い時代。造幣局や銀行員が紙幣や硬貨を「金」と認識していても、どういうプロセスでそれが発生し、何故それが自分の賃金になるのか解らなくなるように、何故自分が綺麗な装いができ、好物を食べれ、リゾートに行けるのか解らない時代・世代が「仕事」ではなく「業務」を遂行している。「多様化」が叫ばれている昨今。サラリーマンという認識も多様でいいのだろうか。僕は「一様」でなければならないと思う。容赦なく照りつける太陽のもと、営業がスーツにネクタイ、鉛が入っているかのようなブリーフケースの取っ手を握りしめ、獲得してきた1を内勤が0、ひいてはマイナスにしてしまうのは言語道断。疲れ切った人を労うために精魂という名の調味料をふんだん使ってこしらえた夕食をひっくり返すことと同一だ。…と、暑苦しいくらい僕は思うのだけど…そこも多様化しているのですか…?冷めているのですか?様々な生き方、暮らし方、働き方、楽しみ方…あっていいのです。そうあって然るべきなのです。ただ、そうであるなら、せめて何が必要で不要なのか取捨選択することにも冷めていて(冷静と情熱を持っていて)欲しい。

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篠山「蕎麦 一真坊」へ。静謐という言葉が1ミリもズレずに合致する佇まい。青い紅葉も趣きがあった。間取り、インテリア、生け花、器、溜め息が出るほど全てが美しい。
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紅葉の見える窓際の座敷に通してもらった。玉葱がたくさん吊るしてあって、時々、ゴロンと落ちた。そしてこれも時々、目の前を鴨が通る。流石に鴨南蛮はオーダーできなかった。机の漢書は丹波の焼き物で、行燈のようなものもそうだった。蝋燭の灯りがなんとも情緒深い。
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「裁ち切り」と言われる蕎麦の切り方があるようで、一本一本が締まっていて弾力があり、少量でも食べ応えがあった。返しは鰹ベースで少し甘め。薬味の葱と山葵がそれによく馴染んだ。
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鴨飯はオーダーしてしまった。餅米を鴨の出し汁で炊き込みご飯風に仕上げてあり、出汁で米がツヤツヤしているのに決してしつこくない。個人的には蕎麦よりこちらが好み。
以前も書いたけれど、都会の空気ばかり吸っていたら気が急いてばかりいて、たまにこういう寧静な気持ちに浸りたくなる。国道を南へ戻っていると、陽が夏の表情を浮かべていた。
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