——今、私はライブハウスで誰もいないステージを見つめている。ふと目を配ると、いろんな大人が機材を片付けたり、装飾を外したり、空になった缶やコップなんかを袋にまとめている。まるで何事もなかったかのように、元のあった場所へ机や椅子が並べられていく。「ああ、元々はこうなってたのか」ほんの数十分前まで大勢の人の笑い声や泣き声が聞こえて、ステージで女の子たちが歌っていたあの光景が嘘のようだ……。どうして私がここにいるのか、カレンダーを2ヶ月前に戻してみる——。

2018年7月某日。クイックジャパンの企画で、はちみつロケットのメンバーに取材をした。内容は8月8日にリリースされた3rdシングル『花火と漫画とチョコと雨』について。話を聞き終わった後、スチール撮影をする7人。スタジオの隅で撮影の様子を見ていると、1人の男性から話しかけられた。「いろいろと調べていただいてありがとうございます」それがチーフマネージャー・長谷川ミネヒコさんとの出会いだった。取材・撮影が終わり、スタジオを出ようとした時に「9月23日にワンマンライブをするんですけど、ライプレポートを書いてもらえません?」と長谷川さんに誘われた。「……ただ、普通のライブレポートじゃ面白くないと思ってて。できたら読み物として書いてほしいんです」「……読み物ですか?」「なんだったら、何を歌ったのかも書かなくていいと思ってるんです。とにかく普通の記事じゃないものを」長谷川さんの要望がとても刺激的で、すぐに快諾した。こういうルールを壊そうとする人が支えているグループだから、“はちみつロケット”に惹かれたのかもしれない。

そして9月23日、その日はやってきた……。私は開場時間の30分前にライブが行われるSOUND MUSEUM VISIONに到着。場内に長谷川さんを見つけると、メンバーがいる楽屋へ通してもらった。差し入れの唐揚げやお菓子を頬張る7人。さぞかし張り詰めた雰囲気かと思ったら、意外にもリラックスしてるように見えた。長居をしても悪いので、軽く挨拶だけ済ませてフロアへ。スタッフの「お客さん入れまーす!」という声とともに、会場にどんどんお客さんが入ってきて15分後には満員となった。アイドルのライブだから、男性ファンが多いかと思いきや、特別に設けられた女性レーンも人でいっぱい。ライブを今か今かと待っていると、ステージ上のスクリーンにメンバーのインタビュー映像が流れた。質問内容は「渋谷にはよく行きますか?」とか「あなたにとって、はちロケとは?」的な感じだったと思う。

チャイムの音が鳴り、制服姿でステージに現れた7人。オープニングは『放課後リフレイン』から始まった。<止まらない放課後リフレイン/何度も繰り返してく/恋とは知らず駆け出したキモチ>80年代歌謡曲を彷彿とさせるような甘酸っぱい歌詞に、いつかの学生時代を思い出してトキめいた。そして曲数を重ねるごとに熱気を帯びていく会場。彼女たちのパフォーマンスに引っ張られるように、ペンライトが1本、また1本と上がりフロアは黄色に染まっていく。MCでは笑いを誘い、『お願いメテロティス』『夜空にきらめく花』など切ないバラードで魅了し、ラストは『MOTTO MOTTO!!』で第1部を締めくくった。

ライブが終了すると7人はステージから降りて、出入り口で横1列に並んで観客1人1人に挨拶を交わした。数百人を相手にすごいファンサービスだ。楽屋へ戻ってから数分後、ジャージ姿の森青葉がステージに出てきて、振付担当のREIさんとダンスの反省会を始めた。どうやら新曲『かまわないさ』で満足いくパフォーマンスができなかったらしい。長谷川さんが私を呼んで「こういう場面も全然書いてもらって良いので」と言った。つくづく面白い人だ。その後、ぞろぞろと他の6人もジャージ姿でステージに現れて、休む間も無く第2部のリハーサルが始まった。長谷川さんに「休憩はしないんですか?」と聞くと「お見送りしたらリハの時間がなくなっちゃって」と説明された。先ほどのライブとは違って、誰もいないフロアに7人の声が響いていた——。普段の和気藹々とした彼女たちとは違い、リハーサルは緊張感のある雰囲気を醸していてプロ意識の高さを見せつけられた。

私はいてもたってもいらず、会場から抜け出した。リハで一生懸命歌うメンバーの姿を見て、ただ突っ立ってライブを眺めるだけじゃなく、自分も汗をかかなければいけないと思ったからだーー(後半へ続く)

ライター:真貝聡


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