現在はライター業をメインにしてる自分だが、ふとこれまでの人生を振り返ると、いわゆる受注生産の現場に居たことが多い。
例えば印刷の営業の仕事。これも顧客の受注があって初めて仕事になる。ライター業も、半分くらいの人は、この手の仕事に属していると思われる。
受注生産の現場では「学ぶ」ということに対して、大きく分けて2タイプの人間がいる。
一方は自ら学ぶタイプで、もう一方は必要が無ければ学ばないタイプだ。
どちらのタイプであっても、顧客の発注が無ければ仕事にはならない。また、顧客の意向に出来るだけ沿った形で納品することも変わりはない。
この手の仕事に就いたことが無い人にはイメージが湧きづらい話かもしれないが、例えばスーパーの現場において、レジ打ちの仕事も同じ仕組みだ。
レジ打ちは、顧客がカゴに商品を詰めてレジに来ることで、自分の仕事が成立する。正確な商品の打ち込み(とは言っても、今はバーコードで読み込むだけだが……)、正しい値引きの処理、カゴに移し替える際の適切な配置、正確な会計など。そのどの業務も、顧客が来て初めて成立する。
店内にいる顧客に突然「レジ打ちいかがですか?今ならすぐ会計できますよ!」と言って回るのは、中々想像できないだろう。
スーパーのレジ打ちにおいても、先ほど説明した「学ぶ」において、2種類のタイプがいる。
レジ打ちなんて、来た顧客を淡々とこなすだけでは?と考える人は、おそらく必要が無ければ学ばないタイプだ。他の仕事であっても、同様の考えになるだろう。
しかし、スーパーのレジ打ちも、自ら学びにいくべきことは山ほどある。
その日の特売品が何であるかにはじまり、カゴに入れる際はどの順番で入れるのが良いのか、商品が店内のどこに置かれているか、新商品と廃盤商品の把握、より効率の良いレジ打ちの仕方、他店のレジシステムなど……挙げるとキリがない。そのどれもが、わずかなことのようで、業務を円滑にする。
しかしそうは言っても、スーパーのレジ打ちは、自ら学びに行かなくても、仕事としては成立する。そう、成立するのだ。
ここが問題なのだ。
自ら学ばないタイプの人間は、仕事が来てしまえば、それを請けて最低限をこなして納品する。一見、とても効率の良いように思えるが、そのタイプは来た仕事以上のことを学べない。やがて、学べることが頭打ちになる。
一方、自ら学ぶタイプの人間は、来た仕事の中で新たな学びを得ようとするだけでなく、それに関連する新たな情報や知識も事前に学ぶため、今来ている仕事以外にも新たな仕事が得られやすい。
人間の能力は、平行線をキープするのは難しい。
特にテクノロジーが発達した現代では、自分が持つ情報や技術は、明日には使い物にならないこともある。そのため、学ばない人間は、なだらかな下降線を描いていく。平行線をキープしているつもりでも、そうではないのだ。
パソコンに拒否反応を示し、自ら学ばなかった、一部のステレオタイプを例に挙げれば、わかりやすいだろうか。
話があっちにいったり、こっちにいったりでわかりづらくなってしまったが、もう少し脱線しよう。
営業の仕事では、遥か昔から、これからの時代は丁稚タイプではなく、提案型の攻めの営業が必要だと言われてきた。
来た仕事を淡々とこなすのではなく、自ら新しい商材を顧客に提案し、新たな需要を喚起することが、大事といった意味合いだ。
ライター業も似たようなものだ。
例えばラーメンの専門ライターだとして、新店舗に足を運ぶだけでなく、例えば製麺の仕組みや、小麦をはじめとした材料について、ラーメン以外の食はもちろん、ラーメン屋の経営について、飲食業界全体について、ちょっと飛び出すとラーメン店でよく見かける券売機など、自ら学びに行くべきものは多くある。
これをやらないタイプのライターは、食べログのレビュワーよりもある意味価値が低い。
そして、これらをやっていれば、その他の食の仕事以外にも、経営・一次産業・機械工業など、新たなジャンルでの執筆の機会も得られる可能性がある。
さて、話を戻そう。
いや、その必要は無いか。もし自ら学ぶタイプの人なら、言われなくても分かっていることばかりだし、必要無ければ学ばないタイプの人は、最後まで読まず離脱しているだろうから。
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