新幹線に揺られ広島に帰っている。今年もあとわずか。年末年始に帰省をすることが毎年の恒例行事になっているが、本当は少し恥ずかしいというか、本来は休みたくない。売れっ子は年末年始の休みなんて無いからだ。紅白をはじめ、様々な番組やイベントに出演しているはず。僕も早くそうなりたいと思いながら、毎年実家で曲作りをしたりして自分の気を紛らわせている。

さて、みんなにとって今年はどんな年だっただろうか。僕にとっては本当に長い一年だった。歳を重ねるごとに時間の流れが早く感じるとよく言うが、そんなことは度外視で今年は本当に長かった。もしかしたら人生で一番長い一年だったかもしれない。なぜそんなに長く感じたのか。喜怒哀楽の激しい一年だったからだ。とにかく感情の振れ幅がすごかった。こんなに喜んだことはないし、こんなに怒ったこともないし、こんなに哀しんだこともなければ、楽しんだこともない。そういった意味では青春だったかもしれない。そんな一年。悩んだ。正直こんなはずじゃなかった、こんな時間を過ごすために上京したわけじゃないと苛立ちで眠れない日も多くあった。音楽以外のことで悩みすぎた。考えすぎた。しかしこの経験が僕を強くしたと思う。おかげで今は軽い。心身が軽い。もう何でもできる気がしている。何も怖くないし何があっても折れない。

僕たちを応援してくれるみんなも様々な感情を抱いただろうし悩んだはずだ。そもそもエンターテイメントというものは無くても生きていける。生物として生きるという意味ではただ食べて、ただ寝て、次の代に受け継ぐだけで良いはずだ。だが人間は他の動物と比べると特殊だ。人生は特殊だ。楽しむという要素を求める。人生の少しの余白を楽しむためにエンタメが存在している。だがエンタメは時に楽しいという感情以外も運んでくる。怒りや哀しみ。本来の意味とは異なるエンタメ。そんなエンタメでもついてきてくれたみんなには心から感謝しています。一緒に悩み、哀しみ、怒ってくれてありがとう。難しい時を一緒に過ごしたからこそ生まれた絆もあるはず。そう思うのはこの一年でよりみんなのことが大好きになったからだ。どうしようもなく落ち込む日や心が折れそうになる瞬間も踏ん張ることができたのは、ファンのみんなの存在があったからだ。お世辞でも何でもなく特に今年の原動力はそれでしかない。よく「僕たちの歌に救われています」などと言ってくれるがそれは僕たちも同じでみんなの笑顔や言葉に救われている。これからもそうだ。どんなに理不尽なことがあっても、もう無理だと思う瞬間があっても、みんなが応援してくれる限り僕は何度でも立ち上がる。

とはいえネガティヴなだけの一年では無かった。楽しかったし嬉しかった瞬間も多かった。アーティストとしては何歩か前に進めたと思っている。その歩幅は小さいかもしれないし歩数は少ないかもしれないが、武道館という目標に向かって着実に進んだ。これからも僕たちと一緒に前に進んでくれたら嬉しい。みんなの笑顔のために僕は音楽を作り続けるし歌い続けたい。2024年は音楽に悩み、音楽で楽しむ。そんな最高な一年になったら。