空白を作ってしまう癖がある。
意図せずに生まれるそれは、当然ながら期間も様々だ。

季節は秋から冬へと移り変わろうとしている。
街並みが落ち着いた色合いと長袖に染まり始めるこの頃、親愛なる11月。

今日に至るまでには様々なことがあった。

9月に30歳の誕生日を迎えた。
新しい作品を発表した。
リリースに伴う主催企画も行った。
10月に引っ越した。
そしてまた主催企画を打った。

30歳を機に、新しい生活を始めた。
意図した部分と意図しなかった部分と。

17号沿いでは無いものの、幹線道路沿いの落ち着いたマンションに引っ越した。
一番最初に住んだ部屋より明らかにグレードは上がったものの、そこに孕まれる空気は、どこかあの部屋に似ていた。
大きく違う点としては、陽当たりがとても良いこと。
そういえば今まで、全然気にして来なかった。
南向きの部屋ははじめてだ。
太陽が眩しくて目覚める、なんてことも叶わなくもない。
カーテンさえ開けておけば。

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新作「femme fatale」のアートワーク、採用したのは上の方で下はイメージを固める前の試作。

込めたものは全く同じだけれど、切り取り方と重ね方が違う。

「変わる」とか「変わらない」とか、常に僕たちは留まることを恐れて、決断できない自分を焦らせたり、何かに没頭している時は「これでいいんだ」と言い聞かせたりする。

気付いたのは「この繰り返し」で、僕らの生活が構成されていること。
焦る、決める、動く、悔やむ、また焦る。
ひとり輪廻とも言わんばかり、喜怒哀楽なんていうカテゴリーで「分けられた」感情、そこに付随する思考を延々と繰り返していく。

「運命」なんていう便利な言葉を使えば、きっとなんだって正当化できる。
この繰り返しの中でしか生きられないのなら、何かしら受け入れる為の口実があった方が幾分楽になるから。

「今まで本当に苦しかったけれど、あなたに出会えたから私は救われた。この出会いはきっと運命。私の苦しみは、ここに至るまでの試練みたいなものだったのよ。」

常套句、都合の良い考えで華やかになる日々。
沢山の笑顔、優しい時間、改竄される記憶、映える生活への甘い期待。

マイノリティを語るマジョリティは笑いながら自傷するし、承認欲求が腐るところまで行かなくて、ただただ垂れ流しの安くて汚い(彼らにとっては美しい)言葉を吐く。
運命なんてくだらねえと言わんばかりに現状を嘆き、悲しみ、それを発信する様は、どこか幼くて、せつなくて、でもわからなくもなくて。

「本当の運命の相手っていうのはね、この人と幸せになりたい、じゃなくて、この人とだったら地獄に堕ちてもいい、って、思える相手のことを云うの。」

その昔、何気無い瞬間にこんなことを教えてくれた人がいた。
今まで聞いてきた「運命」のソレとは違う、冷たくて儚くて愛おしい響き、堕ちるその先で笑い/嗤い合う、そんな「運命」なら。
なんだか悪くない気がした。

ファム・ファタール、沢山の作品で描かれるその存在。
僕にとってのソレは、今まで見てきた女性たちをレイヤーの如く重ねた先に、最後に生まれる存在なのだと思う。

そして、その在り方こそ、自分が自分に求めていたものなのだと知った。
堕ちていく間にどれだけのあなたを巻き込めるのか。
どれだけのあなたに堕とされるのか。

わたしはあなたにとってのファムファタールでありたい。

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femme fatale

運命に囚われた僕には
何も無いから 叶わないから
窮屈な浴槽に隠れて
近付いてくるサイレン、怯えている

本当に変わらないモノなど
何も無いから 嘘になるから
最低な劣情に駆られて
戻らない時の中、夢を視てる

記憶、焼き付いた 君のフレーズ

誘惑に飲み込まれた夜は
奪いたいから 手を汚したな
代償は灰になったアイ
最高だったよ 君は

呼吸を忘れる程に綺麗だった

I've fallen
鮮やかな日々を繋いで 繋いで 思い出して
過ちは君を壊して 壊して 赤く滴る

天国に近付いた僕らは
眠れないから 求め合うのさ

I've fallen
鮮やかな日々を繋いで 繋いで 思い出して
過ちは君を壊して 壊して 終わりを告げる

冷たい月が嗤う 最後の夜のフタリ
目を開けたまま眠る 赤く染められた君

震える指でなぞる 罪に塗られた未来
刹那の中で消える 裸の君は綺麗

覚めない夢を視てる 逃げ出すこともせずに
残酷な程、深く 愛した君に捧ぐ この歌を

運命に囚われた僕には
何も無いから 叶わないから
窮屈な浴槽に隠れて
君も罪も 忘れないから























ここから数日間、僕はまた空白を過ごすことにしました。
布施達暁の深層に真相があるのは間違いないので。
今の僕には彼の思惑がわかる気がするのです。
新しい日々の中でも夢の中に籠城する以上は、きっと僕自身が布施達暁として成立していなければならず、ここから先は何処までも、彼を肯定することでしか作品が生まれないとも思うので。

最新作「femme fatale」は最新であり原点、「気が触れた3月」からはじまった、ヨルニトケルという演目の中で大きな意味を持ちます。
「tokyonize」の終着点は、残念ながら此処でした。
2年前は少なくともこんなことしようなんて思ってもなかった。綺麗に終わらせてあげたかった。
それでも、気付いてしまったから。

黒い天国も白い嘘も、全ては都会に染まる為の術ではなく、その先に待つ運命、魔性の日々の為の序章に過ぎなかったということ。

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長々と朝から綴ってしまいました。
とりあえず最新作「femme fatale」を含む、販売中の旧譜は全てこちらからお買い求めいただけます。

面白くなってきました。
楽しんでいただけたら何よりです。
本当に。























fusetatsuaki

お盆だから帰省する、という訳では無いのだけれど、青森へ帰省している。
お盆はそもそも人が多くなるのであまり得意では無い。
いつもは少し早めだったり遅めだったり、お盆という時期を意識して帰省するのだけれど、タイミング的に今年はしっかりお盆に帰ってきてしまった。

雨模様が続いていたのでそんなに色々な所には行けなかった。でも、そもそも月イチ目標で地元には帰ってきているので然程気にはしない。

ここに来るとチューニングが整う感じがする。
自分のモノが限りなく減った故に、物置きとなった為雑多な自室から、今夜もテーマトークをお届けします。

「エ」から始まるアレコレ、今回は「映画」と「エヴァンゲリオン」について。

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【映画】

もっぱら邦画ばかり見る。
ドラマの延長の劇場版は勿論、話題作から単館上映モノまで、邦画が好きだ。

その昔、池袋にテアトルダイヤという映画館があって、アルバイトの面接を受けに行ったことがあった。
スタッフは無料で映画が見れるとのことだったし、テアトル系列で働くのは何だか粋に思えたから。
そのくらいには、映画が好きだ。
(今でこそテアトルダイヤ跡地はユニクロになってしまった。さみしい。)

「一番好きな映画は何ですか?」
と、聞かれると少し難しい。
そもそも「一番」という概念にあまり執着が無いので、「好きなものは好き」で終えてしまうからだ。

・インスタント沼
・ゆれる
・害虫
・CASSHERN
・アカルイミライ
・メゾンドヒミコ
・パビリオン山椒魚
・空気人形
・溺れる魚
・愛のむきだし
・冷たい熱帯魚
・シン・ゴジラ

この辺りだろうか。パッと出てくる好きな邦画は。ベタといえばそうだ。
勿論、テレビシリーズの延長である堤幸彦監督の「TRICK」「ケイゾク」「SPEC」や、アニメとはいえ庵野秀明監督の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」などは当然に好きだけれど、あくまでテレビありきのものは省いた。

そして、同世代の邦画好きの方ならば、今から10年前くらいに直撃したであろう現象があるので紹介したいと思う。

「どの映画見てもオダギリジョーが出てる」

これだ。意図せずオダギリジョーにエンカウントしてしまうのだ。
当時の彼の売れっ子ぶりがわかる現象であり、映画ならではの質感にぴったりな彼の存在感は、本当に惹きつけられるモノがあった。(日曜朝に仮面ライダークウガを見ていた子供時代も今も、僕は彼に夢中だ。)

自分が映画に求めるのは非日常というよりも、日常に良く似たフィクションなのかもしれない。
明らかに「エンタメ!!」となっている洋画よりは、ボケながら展開するヒューマンドラマや、低いテンションで終始続いていくサスペンスとか、「邦画ならでは」な映画の方が好きだ。そして可能な限り、ひとりで見たい。

話題の洋画やわかりやすく流行りの邦画も勿論見るし嫌いではない。実際上に挙げた邦画だって「流行りの映画」も沢山ある。(ガチの映画ファンの方からしたらニワカが何言ってんだーと思われるでしょうが)

1時間半から2時間の間、大きなスクリーンを前にして、ひとつの作品に没頭する。
その空間が好きだし、自分のことではないのに自分の記憶になっていくのが面白いなあって。
アーティストのワンマンライブにも、同じことが言えますよね。

最近見た映画だと、話題作ですけど「カメラを止めるな!」が面白かったです。
そもそも単館モノだったのに全国展開していった、という経緯も熱い。

映画館の雰囲気と映画そのものの質感と、不思議な魅力がありますよね。
オススメの映画があれば教えて下さい。

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【エヴァンゲリオン】

言わずと知れた庵野秀明監督の国民的アニメ。
背景に特撮の影響が見えるのも面白いし、ボーイミーツガール的なストーリーでありながら病み過ぎた描写、劇場版で最終話を作り直す始末、更には新劇場版の始動などなど、未だに僕らの心を掴んで離さない作品である。

僕がエヴァンゲリオンに出会ったのは10年程前、「新劇場版:破」の公開が決まる少し前のことだった。

「絶対好きでしょ」
「むしろ何で見てないの?」
「エヴァに毒された青春とか送ってそうなのに意外」
「レイちゃん派でしょ?」
「笑えば良いと思うよ」

などなど沢山の周りの勧めもあったので、帰省のタイミングで、テレビシリーズ+旧劇場版+新劇場版:序を地元のレンタル屋から借りて一昼夜ぶっ通しで見たのが始まりだった。

周りの言う通り、僕はまんまとエヴァンゲリオンにハマってしまった。
秒でハマった。見れば見るほどハマっていった。
未だに考察サイトを暇な時に見たりするくらいには。

しかしながらレイちゃん派ではなくアスカ派だった。
これだけは周りの予想に反していた。

地軸がズレたのでずっと夏、パイロットは14歳、エヴァはロボットではなく人造人間、これら全ての設定が意味する秘密などなど、作品としての完成度は相当なモノだ。

ファンを公言する方が多いのも納得であり、あらすじくらいならばアニメを見ていないのに言える人さえいる。
何よりも作品名を言えば知らない人はまず、いない。

僕のブログを読んで、僕の音楽を好きだと思ってくれるあなたならば、多分ハマると思う。
是非ともアニメシリーズから順に見て欲しいし、2020年を楽しみに待つ仲間になってくれたら嬉しい。

物事に触れるには「キッカケ」が大切だと思う。
名作と言われていたって触れる気にならなければ知ることは無いし、時間が経ったって触れて素晴らしさに気付けさえすれば、それは経験として蓄積される。

僕の好きなもの/影響を受けたものに、僕を介して触れて貰えるのは嬉しい。
知らないことは沢山あるけれど、自分がキッカケになって何かが他人に広まるならば、本望でしかない。

そんな風に、自分の作品や存在も広がったら良いなあと思います。

ちなみに賛否両論ありますが、僕はエヴァQ結構好きです。
劇場に3回観に行ったのはこの映画が初めて。

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家族とのご飯タイムを挟み、お風呂でこのブログを書き終えました。

次回のテーマトークは「オ」からはじまるアレコレ。
TwitterのDMにて、テーマのご希望あればお送り下さい。

明日東京へ戻ります。
9/11発売の新音源「femme fatale」もあとはミックスのみで完成。
8/27のスリーマンも、9/11当日のレコ発(&僕のバースデー前夜)企画も、是非とも観に来て貰えたら嬉しいです。

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今日の十和田は雨がすごくて、今は寒いくらいです。
エアコン要らず。
皆さんの街はどうでしょうか。夏。

























fusetatsuaki

今夜はテーマトークの続きを。

「エ」からはじまるアレコレについて。

今回は2回に分けて、2テーマずつ書かせていただきますね。
テーマを送って下さった皆さんありがとう。

割と書きたいと思っていたテーマを送って貰えたりもしているので、ひとりで「わかってますね…!」ってなることが多いです。

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【遠足】

学生の頃、課外授業が好きだった。
大型バスで少し遠い街へ行く、バス遠足が特にワクワクした。

修学旅行や林間学校の様な「お泊り」を伴うとまた違う。
「一日中割と楽しいまま、ちょっと疲れた感じで家に帰る」のが、良かった。
「家に帰るまでが遠足です」とはまさにこのこと。

バス遠足は楽しい。それはもう当たり前だった。
大型バスに友達と一緒に乗っている時点で楽しいし、着いた先でのオリエンテーションはなんであっても楽しめた。我ながら、可愛らしい子供だったと思う。

ただ、それ以上に密かな醍醐味として「雨天だった場合の行き先」が何処だったかというのもある。

僕はこの「雨天だった場合の行き先」が、なんだか無性にワクワクしたのだ。
正規ルートではない行き先。晴天であれば行くはずで無かった場所。Bルート、迎えるアナザーエンディング、たまらない。

何がたまらないかって、このBルート、「大体手抜き」なのだ。

「雨降ったしとりあえず水族館!終わり!」みたいな。

Aルートでは牧場での体験学習や記念観光村という名前のよくわからん大きめの公園でアスレチック遊びなどを想定しており「ジャージ必須」として案内されていたモノが、Bルートになった途端、一撃で済むのだ。
昼から夕方までほぼ自由行動になったりもする。
絆とは?思い出とは?

小2のバス遠足が雨天になり、母と2人で水族館の巨大水槽を眺めながらお弁当を食べた記憶がある。
「先週も来たねー」
「そうだねー」
「でもおサカナ好きだからいいやー」
「そうだねー」

時折遊びに来る友達、母は友達の父兄と談笑していた。
「みんなで水族館とか来れないよな!」

誰かが言ってて、たしかにそうだなーなんて思った記憶もある。

Bルートはたしかに手抜きだった。
でもこれもまた、かけがえのない、楽しい思い出。
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【絵】

美術館が好きだ。
全く詳しくは無いが、あの「作品と対峙する」感じは絵画特有だと思う。
額縁で飾られた絵の中はさながら窓の外、嘘でも本当でも無い景色は夢に良く似ている。

祖母とシャガールの絵を見に行ったことがある。

祖父母はいつもお洒落で、ことあるごとに海外へ旅していた。
ダイニングに飾る絵を半年に一度は変えていた。
その絵を買いに海外へ出ていた様なものだった。

僕はまだ小さかったし、余暇を満喫するにはまだ早かったので、お土産のお菓子を食べたり、買ってきてくれた画集をなんとなく眺めたりするだけだった。
お菓子はマズかったし画集も意味不明だったけれど、知らない世界に触れるのは胸がときめいた。

僕が高校生になったある日、青森で大きめのシャガール展が行われた。
なんとなく祖母とその展示が見たくて、一緒に行った。
「シャガールに行くなら彼女を誘いなよ!」
なんて言われたりとかして。

彼女とかその時いなかったし、祖母と行かなければ多分楽しくなかった。
今思うと、祖母を僕が誘ってデートしたのは初めてのことだったと思う。

彼女は僕をベビーカーに乗せてよく散歩に行ったりしていたらしい。
僕の知らない、僕の記憶。

知っている範囲でしか僕の思い出は無いけれど、やはり記憶に残りますね。芸術と結びつくと、特に。
美しい思い出のひとつ。

そんなわけで、最近の僕が描いた絵をご覧下さい。



















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苦笑い or 真顔

見えるよ、あなたの表情。









…そんなわけで今夜はここまで。

明日は6年ぶりに水戸にてライブなので。

次のブログでは「エ」の後半を。

「映画」と「エヴァンゲリオン」について。

シンエヴァが2020年公開というニュースが出ましたが、それに関連して書くわけではありません。
偶然の一致です。
いや、これもまた…必然…?





















fusetatsuaki

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