【前回のあらすじ】

サロンの月売上げ60万、月の大半は撮影。
男女比は2:8で圧倒的に女性。

そんな絶望的な状況でメンズサロンを開業する。


さて、どうなるのやら。


第5話はこちら



【第6話】最初の一歩


まず物件の条件を考えた。


その条件の中でもまず先に考えたのは、サロンを構えるエリアだ。


私が希望するエリアはこれまで美容師を十数年続けてきた南青山や原宿。
人気エリアの代官山、広尾、中目黒などではなかった。


一番に優先したのは
「東京に馴染みのない人でも通いやすい場所」
という点だった。


なぜなら、これから始めようとしている特殊なコンセプトを持つサロンにはきっと遠方からのお客様も多く訪れていただけると予想していた。

なので遠方の人でもすぐにわかる、通いやすさに重点を置き探すことにした。


東京、品川、新宿、渋谷。


必然的に主要ターミナル駅が第1候補になった。
そのなかでも世界に誇るターミナル駅の新宿が第一候補だった。
その理由は植毛クリニックやAGAクリニックが新宿に密集していたからだ。



次に必要な広さを考えた。

セット面3〜5席。
シャンプー台2〜3席。

くらいをイメージしていた。
これくらいの規模の方がターゲットには好まれると想像した。
というかそれ以上の規模はそもそも博打がすぎる。

また、お客様から髪の悩みを多く聞くことになる。
プライバシーを守るため、全席個室にしたい。
そうすると3〜5席の小規模サロンといえど普通の配置より広さが必要になる。

それも踏まえてネットなどで様々な施工例を見ると、15坪以上は確実に必要そうだなと思った。



そして避けて通れないのが家賃だ。


ここが予想どおり一番のネックになった。
なんせ売上60万だ。メンズサロンということで男性だけに絞ると10万に満たない。

当然だが極力抑えるしかない。


一方妥協点としては
駅から近くなくて良い。
路面店でない方が良い。
ということだった。

しかし、できれば居抜きが良い。
居抜きの状態から内装工事が入るのと、スケルトンの状態から内装工事が入るのとではかかる初期費用に雲泥の差が生じる。

意外に壁や床、天井などの内装にかかる費用はたいしたことなくて、高いのは配管工事や電気工事だ。
美容院の場合、水を多く使うので通常の配管の太さではダメな場合がある。
また、電気も多く使用するので取り替えるとなるとベット工事が必要になる。
この2つが高いのだ。

一方もともと美容院だった物件の場合、美容院をする上で必要な基礎工事は済んでいるので大幅に初期費用を抑えられる。


とはいえ、そんな条件満載な物件が果たして見つかるのか。


しかも最近の美容院開業の流行として、こじんまりとした小規模サロンを探している人はとても多い。

空いてもすぐに埋まってしまうよ。と不動産屋に言われた。


いくつもの不動産屋を巡っていたが、物件探しは予想どおり難航した。



また、それと同時に開業資金調達の準備を始めた。



私はとりあえず話を聞いてもらおうと、初めて日本政策金融公庫たるものに足を運んだ。





【あとがき】

コンセプトやターゲットのブレはサロンの「色」に陰りをもたらす。
美容院の経営において、決してブレてはいけないのはコンセプトだと信じてやまない。


ブレる原因を見極め徹底的に排除することが必要なのではないだろうか。

例えば40台以上の女性にターゲットを絞っているサロンがあるとする。
そこに雑誌の「Ray」や「ViVi」は必要ない。

若い人が来た時のために。
と用意しがちだが私なら絶対に置かない。

なぜなら、若い女性客のために用意をすると、若い女性客も顧客として取り入れたくなるからだ。

雑誌を例に出したが、その店で提供するサービス、技術、ブログやSNSなどにおいて、全てがターゲットに突き刺さらないものは徹底的に排除することが必要だ。

もし、なんとか経営者は強い信念でコンセプトやターゲットをブラさずにできたとしても、従業員は絶対にブレる。

40代以上の女性にターゲットを絞っているサロンであっても、若いスタッフは若いお客さんを呼ぶのに必死になる。


もし経営者なら
若いお客さんを呼ばさせてはいけない。
今時の若い作品を作らせてはいけない。
若いお客様をやりたいならそういうサロンに転職を勧めるべきだ。


なぜそこまで、経営者はコンセプトやターゲットを徹底しなければならないのか。

それはサロンを存続させる使命があるからだ。

美容院衰退の一番の原因はコンセプトやターゲットのブレだ。(そもそもコンセプトが的を得てないのは問題外として)

もしコンセプトやターゲットを変えるなら物件探しからやり直すべきだ。

しかし進化はサロン存続には不可欠だ。

「ブレずに進化し続けること」

それがサロンが永く存続する上で1つの重要な鍵になるのではないだろうか。



先日、初めてお店を取材させて欲しいと連絡があった。
掲げたコンセプトにわずかにでも興味を持ってもらえた。
素直にとても嬉しかった。
しばらくこのコンセプトを信じ突き進もうと思う。


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写真はINTIの作品第1号。
一般の美容院ではまず取り扱わないであろう、植毛手術後のヘアスタイルを提案した。