【前回のあらすじ】


コンプレックスを抱えたお客様から届いた1通のメール。


その内容はこれからの美容人生に対する考えを変える大きな出来事になった。


その頃、男性のお客様も徐々に増えはじめ、少しずつではあったが、メンズサロン実現へのアイデアをイメージし始めていた。


第2話の詳細はこちら




【第3話】浮かび上がるターゲット


『独創性』『明確なコンセプト』『永続的な需要』これらの条件を満たす美容院。

そんな美容院が徐々に現実味を帯びてきた。


金銭面や集客など、現実的な問題は後から考えるとして、具体的にどんなサロンにするべきか。


私はまず、条件の1つ
『明確なコンセプト』
に照準を絞った。


サロンの「コンセプト」はサロンを継続させる上で必要不可欠な部分だ。

ここで決めるコンセプトがサロンの幹となり、これから決めることの全てはこのコンセプトを基準に構築されていく。

逆に言えばこれをミスると全てをミスる、これがショボいと全てがショボい。

負の連鎖が始まるか、生の連鎖が始まるかはこのコンセプト決めで決まると行ってもいい過言ではないと思った。



そんな重要なコンセプトを考えるにあたり、まず「ターゲット」を具現化することにした。


「ターゲット」とはご存知の通り来店すべき(して欲しい)お客様だ。

この時「ターゲット層」を決めるのではなく、「ターゲット像」を決めることが重要だ。


なぜなら「ターゲット層」では幅が広すぎる。
幅が広いと今後、決めるべきこと全てに必ずブレが生じる。


例えば「25歳独身女性」にターゲットを絞った場合と、「20代の女性」にターゲットを設定した場合。


「25歳独身女性」にターゲットを絞った場合であれば、内装や置く雑誌、営業時間からメニュー展開に至るまで「25歳独身女性」に照準を合わせれば良い。

一方、「20代の女性」にした場合、営業時間は28歳のOLが好む時間に合わせ、内装は21歳の女子大学生が好むインテリアになったりすることがある。
そうなってしまうと、どちらにとってもすでに100点の店ではなくなる。



その為、ターゲット幅は極端なほどピンポイントに狭め、その「ターゲット」となる人物の性別、年齢、生活パターンなどはもちろん、収入や悩み、婚歴、薄毛のレベルなど細部に至るまで何度も試行錯誤した。


細部までとことん決めていくと「ターゲット」の人物が実際に存在しているかのように、くっきりと浮かび上がるまでになった。



【名前】太郎
【年齢】34歳
【性別】男性
【婚歴】なし、彼女あり
【住所】都心ではなく郊外。新宿まで40分ほどの場所。
【その他】24歳過ぎたくらいから薄毛が気になり始め、それからずっと悩んでいる。情報収集はネットだった。
おでこ(M字)が広くなっているのを気にしているが、周りはまだそこまで気づいていない。
進行している気がするので不安が募る。
AGA(男性型脱毛症)の症状あり。



それが浮かんで来たターゲットだった。


そんな彼が通い続ける美容院。



うん。だいぶ方向性が見えて来た。




【あとがき】

今回は「ターゲット」について書いてみた。

ターゲットを決めることがお店づくりの第一歩となることが多いのではないだろうか。


私もターゲットを決めるのにかなりの時間を割いた。
ここには書いてないが実際にはもっと細かく、この倍以上は設定してある。

ターゲットが決まれば、欲張らずにそのターゲットだけが喜ぶことだけを考える。


今もそうだが、何か新しいサービスを始めるときや、何かに掲載する写真を選ぶとき、何かの文言を考えるときなど、
お店の「何か」を決定するときは僕の決断で決めるのではない。

あくまで決断するのはターゲットでなければならない。

ターゲットが必要なら必要。不要なら不要。
ターゲットが読んでいて面白いような言葉を選ぶ。
ターゲットがワクワクする写真を選ぶ。

全てはターゲットが良いと思うかどうかだ。


だから今の店は本来自分がやりたい美容院ではない。
別に個室にしたくもないし、男性だけをやりたいわけでもない。


全てはターゲットのための美容院だ。


オーナーの好みが溢れる美容院は趣味の店だ。
しかし、それが悪いとは思わない。


だがそれ以上はない。



美容院経営をやりたいのか、これまでの美容師の延長をやりたいのか。



もし美容院経営をやるならば、自分がやりたい趣味の美容とは切り離し、ターゲット目線で考えることも大事かもしれない。



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写真はターゲットに見立てて剃り上げたカットウィッグ。このようなウィッグで幾つものパターンを繰り返しカットする。