松居さんが止まった時間を映画にしたかったみたいなことインタビューで言っていた気がする。俺にとってはまさに止まってしまった日々の中で公開した映画になった。「くれなずんでんなあ」っていつも思ってた。こんなつまんない毎日に言葉を与えてくれて、この映画に出会って良かったと思った。書けないこと、言わない言葉がいっぱいあるけど、少しばかり僕のくれなずんでいた日々を。いや、今も続いてるけど。


サンソンの中止が決まった。


舞台セットを片付けてしまう前に、みんなで稽古したり映像の撮影をした。帰りたくなかった。


誰も座っていない客席。


仕事がなくなったその日から食べ物の味がしなくなった。


映画にも本にも興味がなくなる。いや、あるけど。


成長もしたくない、変わりたくもない、乗り越えたくもない、切り替えたくもない、別に前に進みたくもない、連絡も返したくない。何もせずただ引きずって、「生きるだけだろ」と心の中で呟いていた。


くれなずめの公開延期が決まった。


松居大悟がすごい悔しがってて「4月29日にすべてのエネルギーを持っていってた」と言ってて、僕は悔しいという気持ちすら失くしてたことに気づいた。あのときはとにかく休みたくて、誰とも話したくなくて。でもみんなに会うとめっちゃ楽しくて。グチャグチャだった。成田凌が客席で写真を撮ってくれた。最後に載せる。


ゴールデンウィーク。友達に会う。
忘れたくないなって思う。色んなこと。


天気が良かったのでダラダラ歩く。渋谷ユーロスペースの横の階段に座ってボーッとしてたら松居大悟が通りかかる。「なんにもしたくないです」って言ったら「なんにもしなくていいでしょ」って言われて謎の自信が出る。


映画を見はじめるリハビリみたいにロードオブザリングを見るも途中で断念。大好きな映画なのに何度も寝てしまう。


読書も再開しようと思ってブックオフで好きな作家の本を買う。数ページ読んでやめる。


自炊に飽きる。味の濃いものが食べたくてラーメンばっかり食べる。コロナにかかったわけでもないのに味がわからない。スタミナも必要ないから食べ物がいらない。でもなんとなくお腹が空く。結果的にどん兵衛が一番おいしい。居酒屋の味が恋しくなる。


サブスクじゃなくて手触りで映画を選ぼうと思ってTSUTAYAに行くもDVDレンタルは政府からの要請で出来ないと言われ、意味がわからず途方に暮れる。本のコーナーでは多くの人が立ち読みしてる。


5月9日くらいに、5月12日にくれなずめが公開すると発表される。急に言われても実感が沸かない。気がする。


サンソンの大阪公演が中止になる。ツイッターを開くとみんなが謝っていてツイッターを閉じる。


公民館がひとつだけ空いていたので仲間と集まって新しい台本の読み合わせをする。近況報告をし合う。


5月12日。公開日の朝になる。目が覚めてから布団の中でずっとソワソワしていた。松居大悟のツイッターを見てテアトル新宿の初回を勢いで予約する。水曜日サービスデーあざす。


14時半ちょうどにテアトル新宿行けばコッソリ観れると思って、14時27分に着いてからの3分間が長い。


客席で自分の出演した映画をこっそり見る俺はワンスアポンアタイムインハリウッド。


映画が終わってから劇場が明るくなって余韻浸りたいけど恥ずかしいからスマホの電源入れてみるけどスマホの中身に全然興味ないあの感じ。


映画館を出てなぜか1時間くらい歩いてしまった。昔から歩いてばっかりいる自分。


好みのラーメン屋が定休日。入ったことのない蕎麦屋に入ってカツ丼を注文する。めっちゃうまい。貸し切りの店内で相撲を見ながらカツ丼を食べる。ふとサンソンの共演者にメール返してなかったことを強く後悔し、カツ丼を中断してメールを返す。


そういえばサンソンの稽古前、ランニングを始めたことを思い出す。1日に12キロ。毎日毎日走り続けて感じたことを書いておく。
向かい風はキツい。
先は見ない方が良い。
ライバルを見つけるとスピードが上がる。
米をたくさん食べるようになる。
ただそれだけ。


食べ物の話ばっかりだな。
美味しい海鮮丼を食べに行きたい。ともだちと。



2021.05.12 くれなずめ初日
藤原季節

p.s.緊急事態宣言によって今日が初日となった多くの作品へ。おめでとうございます。

夢の中で親友に励まされて号泣した
負けてたまるかと言ってヴァぁぁあって唸りながら泣いた
起きた時、自分にもまだこんな感情が残っていたのかと驚いた
この夢で大事なのは励ましてくれた親友の存在だ
そうだよな。答え持ってるのは隣にいるやつだったりするんだよな

いま演じてる西荻窪三ツ星洋酒堂の中内にもこの夢の話みたいな瞬間があったんじゃないかと思った
きっと大切なのは中内には、雨宮と小林がいたということだ
ずっと中内をどう演じたら良いのか悩んだり迷ったりしていたけど、この夢を見たことで後半の撮影への希望の兆しが見えた

西荻窪三ツ星洋酒堂の撮影をしながら準備をしなければ、そして勝負をしかけなければ、負けるということを知った
あっという間に過ぎてゆく撮影の連続のなかで、何を捉えて、何を自分の心に刻み残すかが重要なんだと
どんなに集中していても見落とすことがある
それを拾って導いてくれる監督とスタッフがいる
そのチームワークの大切さを知った

勝負はここから
一話一話、大切に演じよう
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2020.02.02
藤原季節

p.s.後日、追記。
今日の松岡広大くんとの撮影、楽しかった。
もっと一緒に色んなシーンを作りたかったな。
どんなシーンになってるんだろう。

『佐々木、イン、マイマイン』が公開したその日、池袋の小劇場では僕の親友が舞台に立っていた。そのことが僕を励ました。世界の片隅で悠二は今も戦っている。常に現場が大切なんだと自分に言い聞かせた。映画館も現場だ。生活も現場だ。SNSや飲み会で見ないからってその人が何かを放り投げたことにはならない。その場所で生きている人の思いがある。それを想像する。



日常のあらゆる場所に佐々木がいる。
佐々木に語りかけてる僕がいる。

少しだけネタバレになるかもしれないので嫌な人は読まないでくださいね。

宇多丸さんが言うように、あれは未来から振り返った悠二の追憶だったのか?だとしたら佐々木はこんな痛みを味わったのかなとかこんな恋をしていたのかな、そうやって悠二がインマイマインしたってことか。それは岳が佐々木を演じたのと同じことだし、僕がいま佐々木に語りかけてるのと同じことだ。


佐々木、痛かったか?

佐々木、楽しかったか?

佐々木、恋ができて良かったな、いやそれが恋なのかもわからないけど。

佐々木、一人でバッティングしてたのかよ。あれからずっと?でも俺はお前のこと寂しいなんて思いたくないよ。

佐々木、

佐々木、

佐々木、




話は変わるけど『生きちゃった』という映画が忘れられない。
「どんな歌を歌ってるの?」
「ラヴソング」
あの台詞が大好き。
なんで僕は映画を見るんだろう。
たった一回の人生楽しく生きればいいじゃん。楽しく生きるのに映画って必要なのかな。
今日ずっと歩きながら考えたんだけど、生きてゆくってどうゆうことなんだろう。
いまこの瞬間にも泣いてる人がいて、それが大切な人や家族だったりして、災害で理不尽に大切な人を亡くした人とか、突然目が見えなくなった人がいるかもしれないし、殺された人とか、殺された人の家族とかが今日もどこかにいるかもしれない。殺しちゃった人も。
自分自身が経験し得ない、あるいはこれからするかもしれないその痛みを想像しながら、それでも自分の生を生きなきゃならない。それが生きてゆくってことなんじゃないかな。だとしたら疲れるね。
本当のさいわいって一体なんだろう。宮沢賢治の言葉が浮かぶ。
人の痛みを想像する時間は必要なんだろうか。
映画って必要なんだろうか。
それでも僕は例えば、『あなたへ』の高倉健さんの演技を思い出して涙が出てくることがあるし、そのことへの憧れがやまない。やっぱり映画が好きっていうのがまずあるんだろうな。
突然の悲しみに耐えられる、いや耐えられないかもしれないけど、耐えるしかないんだけど、でも日常の悲しみに耐えられるように映画を見てるのかもしれない。生きてるだけで悲しいじゃん。
悲しい世界において、それでも人と人とが出会い、私いま幸せだって感じること。その手助けに映画がなるのかもしれない。
わからないけど。
楽しく生きてくってなに?

どんな役柄であれ、
世界の片隅で懸命に生きている人を演じたい。



あ、間宮祥太朗、佐々木インマイマイン観てくれてありがとう。感想を書いてくれてありがとう。銀河英雄伝説の舞台で僕が演出部をやっていた頃、祥太朗がアフタートークで演出部に拍手を贈ってくれた。舞台袖から見つめていたあの感動を思い出した。直接伝えるのはアレなのでこの場を借りて。


宮沢氷魚、映画賞おめでとう。
ずっとずっとそう思ってる。
自分が賞をもらうよりも嬉しい。
氷魚に連絡したら真っ先に
「これでさらにhisに光があたるのが嬉しいね」
って。氷魚らしいなと思った。僕たちは周りの人の想像をこえる絆でつながってる。


最近豆腐でアヒージョを作るのにハマってる。
余ったオリーブオイルにうどん入れて食べるのがおすすめ。

どうでもいいけど。

犬が怖い。


2020.12.11(妹よ 誕生日おめでとう)
藤原季節

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