撮影するはずだった作品が中止になって、今日から約二ヶ月ぶりに現場復帰です。

無駄な時間も、価値のある時間も、誰かのために走った時間も、傷ついた時間も、それでも世界と関わろうとした時間も、劇場を憎み愛した時間も、言葉を探し続けた時間も、全てが大切なものだったと信じたい。
天から のさった時間だ。
褒めてあげたい、この俺を。

砂みたいに両手を滑り落ちた運命も、必ず取り戻す。

なかったことにはならない。





2022.03.20
藤原季節

何も考えられない。
何も書けない。
何も生まれない。
でも最近感じたことを書いてみようと思う。
明るい文章はきっと書けない。
けど、だからといって僕が暗い人間だとは限らない。そのことを認める気はない。





ドキュメンタリーは事実を映すものだが、映画は真実を映すものなんじゃないかと考え出した。
真実とは何か?
わからない。
ただ僕は、閉店して今は更地になった中村屋酒店で撮影した映画が全国で上映されて、その映画が世界の片隅で誰か一人の心を打つかもしれない、そのことにある種の、僕なりの、真実を感じるんだ。

「あす、目がさめたとき、きょうのことをどう思うだろう?友達のエストラゴンと、この場所で、日の落ちるまで、ゴドーをここで待ったって?ポッツォが、お供を連れて過ぎた、そしてわたしたちに話しかけた?そうかもしれん。
しかし、その中に、どれだけの真実がある?」

中村屋酒店はもうない。だけどあの場所には確かに生活があった。たくさんの笑顔があり、たくさんの悲しみがあった。その事実は消えない。
その事実は消えないのに、消えないはずなのに、僕はそこに消滅しゆく何かを感じ取ってしまう。
記憶、命、それらはやがて消える。
ならばその事実にどれだけの価値があるのだろう。
消えゆくものの価値とはなんだろう。
人の幸福や人生は価値では語れない。当然のことだ。
でも僕は本当のことが知りたい。


僕の仕事は俳優だ。
たくさんの事実が、生活があった場所で、消滅しゆくものに抗って、必死に抗って、僕たちは映画を撮って、新しい誰かと出会い、新しい感情に出会い、新しい自分に出会って、僕らなりの真実を立ち上げる。
その価値はわからないけど、僕はその真実をもってして何かに打ち勝ちたい。何に打ち勝つ?それはわからない。

生きている限り、負けてない。


「わたしは眠っていたんだろうか、他人が苦しんでいる間に?今でも眠っているんだろうか?」

僕は歩き続ける。何時間も。無心で。
何も考えずに歩き続けることが出来ます。
今世界で何が起こっているんだ?
脳内がぼんやりする。視界が霞んでいるようだ。
何もかもが明瞭じゃない。
だから明瞭になるまで歩き続ける。


この「ヒデリノトキハナミダヲナガシ」
おそらく日照りのことだと思うが、
これは違う本には「ヒドリ」と書かれていた。
僕はこれを勝手に「独り」と読んでいたらしい。
「独りのときは涙を流し」
そう勝手に読んで、
宮沢賢治にもそんな瞬間があるのかと一人で感動していた。
孤独。solitude。



誰かに贈り物がしてみたい。
今まで与えてもらってばかりで、僕はほとんど誰にも贈り物をしたことがないということを最近知った。
自分が与えなければ、返ってこないことも知った。
この10年間、本当に芝居のことしか考えてこなかったから、他のことが全然わからない。
そのことを最近になって恥じた。


「海の見える理髪店」という作品で柄本明さんに出会って世界が反転する感覚を味わった。影は光に変わった。鏡に映る自分の姿も変わった。このことはまた今度書くことにするが、僕はやっと世界に出る準備が出来た。なのに世界は止まったままだ。今は心に閉まっておく。持つべき言葉を持たないからだ。沈黙。
僕は諦めが悪い。欲望が深い。
そうありたいし、そうありたくない。矛盾している。
準備は出来ているとも言えるし、出来ていないとも言える。矛盾している。
幸福になりたいとも言えるし、なりたくないとも言える。矛盾している。
相反する感情が常に同居している。
僕はここに存在していると叫びたい衝動を感じながら、この存在に恥じらいを感じている。



ただ、美しくありたい。
冬の松の木のように。
どんなに厳しい、凍てつく、冬の風雪の中でも、
松だけが、青々と、生きている。

僕は何かを強く信じている。
だからきっと、誰かを楽しませることができる。
青々と、生き生きと。


2022.01.29
藤原季節

2021.11.26
TAMAでいただいた花です。


こんばんは。
2021年、すでに燃え尽き気味な藤原です。

遅くなりましたが、
「ぽに」無事に終演いたしました。
観に来ていただいた皆さま心からありがとうございました。
とても楽しかったです。

楽しかったのは事実ですが、稽古中に受けたインタビューで「シンプルに面白い作品です!」と浮き足立っていた僕をお許しください。
劇場入りしてみると物語が立ち上がってきて、初めてこの作品がもつ残酷さや自分が演じている役のクズっぷりを知りました。座組の皆は劇場入りするまで何も気づかなかった僕にドン引きしていました。
僕のインタビューを読んで来た人は裏切られたと感じたかもしれません。でも、稽古場では本当に「わーい楽しい作品だあ」って感じていたんです。すいませんでした。
しかし、そのことを踏まえても「ぽに」の世界で過ごした時間は面白くて可愛くて楽しかったです。松本穂香さんのおかげです。
劇場で過ごした時間も様々なご意見もご感想も、この作品ごと、グッと胸にしまって前に進みたいと思います。

しかし、このグッと胸にしまう時間がまた切ない。
こんなに切なくても、また演劇がやりたくなる。
この作品を観ることが出来なかった方々にもいつか届くように、良いニュースを待ちたいと思います。





しかしあれだな、寂しい。
寂しいと素直に言える人だよねと何処かで言われた気がする。
いつだって涙が出そうだよ。
こういう時は映画館に入ります。


会いました。上川周作。
今日からマイメンの主演映画「CHAIN」が公開します。皆さまよろしく頼みます。



映画「のさりの島」が現在アップリンク吉祥寺で上映中です。12月2日までです。他にも上映している映画館、上映予定の映画館、ありますので公式ホームページをチェックしてみてください。



今日ブログを更新した理由の一つに、
TAMA映画賞の受賞の報告があります。
「のさりの島」が代表して受賞いたしました。
「佐々木、イン、マイマイン」「くれなずめ」「明日の食卓」「空白」も合わせての受賞です。
どの作品も語り尽くせない想いがありますが、そこはグッと胸にしまって、最優秀新進男優賞いただきます。映画館に足を運んでいただいた皆様ありがとうございます。
もしこの機会に「のさりの島」に少しでも興味を持っていただけましたら現在上映中ですので、是非観に来てください。よろしくお願いします。










さっきはグッと胸にしまうって言ったけど、ちょっと漏らします。「佐々木、イン、マイマイン」についてです。僕はこの作品のこと、よく思い出します。もう公開から一年も経ったのに。よく考えます、この作品のこと。
今日から新宿武蔵野館で1週間限定上映が始まります。この機会に少しでも決着つけられるだろうか。
お前はどうしてる佐々木。
皆さま是非、武蔵野館に観に来てください。
よろしくお願いします。


なんかお願いしてばっかだな俺。
もっと伝えたいことあった気がするんだけどな。
そこはグッと胸にしまって。



美しい自分の影には常に美しくない自分がいる。
美しくあれ、自分。
負けるな。



今日入った映画館はテアトル新宿。
観た映画は「探偵物語」でした。


「一人で寂しくない人間なんていない。だけど、甘えちゃいけない時だってあるんじゃないのか?」


そう探偵が言っていました。
沁みました。
湧きあがる想いはグッと胸にしまって。
明日もがんばろ。




2021.11.27
昨日ブログを書いたあと、武蔵野館の前で細川岳と会う。
「佐々木、見る?」
DVDもサブスクも見られず、佐々木のことがずっと引っかかっていたのはお互い様だったらしい。
撮影のクランクインが2019年11月29日。公開初日が11月27日らしい。俺たちあれから2年経っていた。
今は昨夜とは違う気持ち。




p.s.ドラマ「それでも愛を誓いますか?」毎週観ていただきありがとうございます。8.9.10話と物語が激しく加速して行くのでお見逃しなきよう。お楽しみに。

さようなら。寂しいけれど。そこは

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