【ユング心理学の無意識の構造について③】

【影】について解説する

今回は
【元型】を理解するのに
必要不可欠である要素を記述する

【影】とは
夢分析の初期に登場する事が多く
比較的理解しやすいモノである
次にその様な
夢の典型的なモノを一つ挙げる
30歳に近い男性の見た夢である

「夢」
私は何か商売をしている
店員はA(男性)で
会計はA(女性)がやっている
私は自分が商売をしている事
しかも
Aと一緒にやっている事を
不思議に思っているが
なかなか良く繁盛している
しかし
Bが私の所へ来て
「Aと一緒に仕事をしたくない」と
言い出したので
私は困ってしまう

この夢は
どの様な事を意味しているのか?
それを知る為には
夢に出てきた
A・Bという人物についての
連想をお伝えしなければなるまい

この夢を見た人は
真面目な研究者であって
商売等とは縁遠い人である
この人は
夢の中でさえ
商売をしている事を
不思議がっている程だが
それはうまく繁盛しているらしい
夢の中のAは
夢を見た人と同じ研究者である

「攻撃的で出しゃばりで知ったかぶりを
  する所があり、あまり好きではない」

人であるという
この様に夢分析の初期に
自分と同性で
あまり好ましく思っていない人物というのが
しばしば現れるモノである
しかも
この夢の様に
そんな人と協力しているとか
その人から何か物を貰ったとか等という事が
よく出てくる
ユングは【影】について

「影はその主体が
  自分自身について認める事を拒否しているが
  それでも直接又は間接に自分の上に
  押しつけられてくる全てのこと
  例えば
  性格の劣等な傾向や
  その他の両立しがたい傾向を
  人格化したモノである」

と述べている
この夢を見た人は
慎重で控えめなタイプの人なので
Aの様な生き方は
今まで出来なかったのである
つまり
Aはこの人の【影】のイメージとして
出現している
この夢の告げている所は明瞭で

「あなたは影のAの協力を得て
  思いがけない仕事が出来る」

という事である
そこで
上手くいきそうに思える所で
BとAの不和という問題が生じる

Bという女性は
これも同じく研究者仲間で
夢を見た人にとっては
好ましい人であり
うっすらと
好意を超えた感情をさえ抱いているという
ここで
Bという女性は
確かに夢を見た人が
男性である点から考えて
彼の
「生きてこなかった」面を
多く持っているのは当然であるが
ユングはこの様な異性像は
【影】と区別して考えている
夢の中の異性像については
個人のより深い
無意識の層に関連していると
思われる
ここで
彼女が会計をしているのは
興味深い
お金が夢の中で
心的エネルギーを現す事はよくあるが
彼女は心的エネルギーの出入りの要点に
存在していると考えられるからである
主人公は
影のAと協同する事によって
上手く行くと思い始めた時に
Bが反対をする
この夢は
結末を欠いた夢であると同時に
主人公が
「困ってしまう」所が
結末といえば結末である

この人は影と協同しようとするが
彼の心の深層に存在する女性は
不協力を申し出る
その中で
この人達(心全体)を
どの様にまとめていくかは
本人の決断と
今後の生き方にかかっているのである
影と協同する事は
思いがけない成功を齎すモノであるが
それほど簡単ではない現状がある
我々人間は誰しも影を持っているが
それを認める事を出来るだけ
避けようとしている
「控えめな人にとって
  攻撃的な所はその人の影になっている」
しかし
「攻撃的な生き方をしている人にとっては
  控えめな事がその人の影になるわけである」
先の例として
今まで控えめ過ぎる程に生きてきた彼も
30歳近くになって
学者として立つ時期が来つつある時
以前よりは積極的に行動する必要性を
うすうす感じながら
それを今までの人生観に照らしてみて
受け入れ難いと感じ
その影をAに投影して憤慨していたのだ

以上が
【影】の主たる概要だ

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