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赤いコットンのベストを着ると、僕は歯を丁寧に磨いた。
デッキに出ていたナミが降りてきた。
「ルフィ、島が見えてきたわ」とナミは顔をしかめて言う。そして海図を机の上に置き、つけくわえる。
「いなくなった猫が見つかるかも」

「チョッパーは猫じゃない」と僕は主張する。
「本当に?」
僕はうなずく。
「どんなところが?」
僕はそれについて考えてみる。ナミには僕が言いたかったことの一部分も伝わらなかったはずだ。
僕はとても具体的な事を、具体的に述べただけだ。

チョッパーは猫じゃない。

「ねえ、もう一度ゆっくり説明してくれる?」と彼女は言う。
かまわない、と僕は言う。
やれやれ。僕は酒樽に腰をおろし、深く息をつく。
僕は島に上陸したかったし、睡眠不足で頭の中はぼんやりしていた。
それでも僕がチョッパーが猫ではない理由をひとしきり並べ立てると、ナミはにこやかに去っていった。

サンジはハムエッグをつくり、パスタを丁寧に茹でている。サンドイッチはチーズとサラダをはさむ。
「もうすぐできるよ」とサンジは言う。
「ありがとう」
「お礼は食べてからでいいよ。ルフィの予想しているものとはずいぶん違うかもしれない」
原則として僕はお礼を言っただけだ。

「島に上陸するね」とサンジは穏やかな声で言った。
「島に上陸するね」と僕も言った。
「もしかしたら」とサンジは言う。「いなくなった猫が見つかるかもしれない」
僕は麦わら帽子を深くかぶり、ため息をついた。
「君に知っておいてもらいたいことがある」と僕は言う。
「チョッパーは猫じゃない」