エンドケイプオフィシャルブログ「エンドケイプ・ほぼオンライン」by Ameba border=


部屋はひんやりしている、空調の冷気とは違う質の冷たさだ。
対照的に温かいシーツの匂い。ベッドもスツールも鏡もカーペットもすべて遥か昔からそこに在るようだった。

圧倒的な静寂。

浴室で制服に着替えたあたしはベッドに座っている老人の前に立つ。
おへその前に老人の顔がある。老人は眼が見えない。

眼の見えないロリコンだ。

あたしでもすぐ判るような仕立ての良いシャツを着ている。
老人はそんなキレイなシャツを着て真っ黒で独特のヌメリを含んだワニだか蛇だか見当もつかない鱗で覆われた財布を持ち、その中にはカードや現金が窮屈そうに詰まっている。
どうしたら、そんなにお金を稼ぐ事が出来るんだろう? 
現社で習う[組織の巨大化と官僚制]なんてどうでもいい、あたしはこういう具体的な事を知りたいんだ。


「久しぶりだね」と老人は呟く。
「先週も会ったよ」と、あたしは老人と同じトーンで呟く。老人はホテル住まい。もう長い事、この部屋に滞在していると言っていた。
「この年齢になると一週間の価値が君とは違うのだよ、判るかい?」
そう諭すように言うと、老人はあたしが毎日着ているセーラー服に抱きついた。とても弱々しい、でもしっかりと血管の浮き出た両腕が、あたしの腰をホールドする。
「一週間は一週間でしょう?」と、あたし。
「君もそのうち判るよ」と、老人。
キミ モ ソノウチ ワカルヨ
あたしの嫌いな台詞だ。老人達のエゴ。老いへの恐怖を蓄えてきた【経験と知識】という幻想で誤魔化そうとしている。
老人は長いこと、あたしの身体を抱きしめている。
されるがまま。
あたしはこうしてお金を稼ぐ。