試合の本番が近い生徒たちが多いので、「緊張」について少し話そう。
コロナウイルスの影響で中止されてきたイベント事が数年ぶりにいろいろと再開され始める中、初めてのことに"チャレンジ"する機会が増えようとしている。
具体的には、初めての試合や初めての舞台にチャレンジするという声が生徒たちから多い。
それぞれのチャレンジの共通テーマは「緊張」である。
多くの人は緊張を避けたいらしい。できるだけ遠くに、できれば経験したくなかったかのように誤魔化そうとする。
間もなく"試合"を経験する保護者の方から「エイト先生はアスリートとしてどうされてましたか?」という相談をいただいた。僕のこれまでの経験が人の役に立つかもしれなくて、こういった質問は大変嬉しい。
僕が緊張してきたのは試合やパフォーマンスなどの"本番"。他には、生放送のテレビ番組で滑ることも何度もあったし、人前に立つことも多かった。プロツアーで世界中を遠征していた25年間はある意味で「緊張」の連続だった。
僕には緊張する際に大切にしていることが1つある。
それは、緊張状態から逃れようとするのではなく、しっかりと受け入れること。
試合中に自宅のリビングでテレビを観ている時のようにリラックスできるわけがないのだから、落ち着く方法を探すことをやめて全く違うスイッチを作るほうがいい。
このスイッチができるまでには本番で何度も失敗をして、悔しい思いもしながら経験を積んでいく必要がある。「場数を踏めば緊張しなくなる」ということではなく、「場数を踏んで緊張状態に慣れる」ことが本来の実力発揮へと繋がる。
試合の度に怪我をしてしまう…。
落ち着こうとして反対に焦り始めて実力を発揮できない…。
そんな経験のある人には特に参考にしていただきたい。
手に「人」という字を書いて飲み込む…などというのは次回からやめて、自分自身への期待や周りからの期待に感謝しながら存分にその立場を愉しめばいい。
緊張状態が居心地良く感じるようになれば、スイッチがオンになった自分自身を信用できるようになる。"なんとかしてくれる"と自分自身に期待できるまでになる。
ただし、練習してきた枠を超えて甘えようとしてはいけない。「本番だけ頑張ればいい」では実力を発揮することはできない。正しいスイッチで発揮できる力は、日頃の努力で得たものだけである。
ちなみに、僕はアスリートでなくなった今でも、日々のお仕事やスケート(武器)を身に着けていないPTA活動などで緊張する機会がある。
わざわざそのような機会に身を置いて経験を積むこともアスリート時代から大切にしてきた"ワクワク"かもしれない。
さあ、生徒たちの活躍にワクワクできる時期がきた。
たくさん失敗して成功して人生の可能性を楽しんで欲しい!