ただただ、妃理のサポートがしたくて。

追いかけてきたら、偶々辿り着いた場所。

それが、恋するフリークというグループだった。

それまではグループ名すら知らなかった、今まで僕が経験してきた中で最も小規模な現場。

自分のことが大嫌いなくせにプライドだけはそれなりに高い、非常に面倒臭い人間(自覚あり)である僕は、

「この俺が、このレベルの現場通うのか」

正直、そう思ってた。

それでも。

そんな「戸惑い」はあったけれど、意外なほど「躊躇い」はなくて。僕が腹を括るのに、それほど時間はかからなかったように思う。

その時の僕にとって、妃理を失うことが最も有り得ないことだと自分でわかっていたからだ。

僕は別に、恋するフリークというグループを好きになった上で妃理を選んだ立場ではないし、冷たい言い方だけど、僕にとってはあくまで妃理ありきの恋フリであり、このグループは妃理を応援するための手段・ツールでしかない。

妃理が入るまでのこのグループの歴史とか、背負ってきたものとか、そんなことには微塵も興味はなくて。

ただ、妃理が輝ける場所でさえあれば。

妃理にもっと上の景色を見せてあげられる場所でさえあれば。

転校少女(というよりその関係者)を見返すことができる場所でさえあれば。

正直、グループなんてどこでも良かった。

……最初は、ね。

でも僕は、面倒臭い人間である以上に、宇宙一感情移入しやすい人間だから。

そんな人間が、こんなに長い期間同じ現場にいたらどうなるか。

答えは、火を見るより明らかだ。

もう既に愛着しかない、ということ(笑)

だから今ではちゃんと、こう思ってる。

絶対に、このグループで。

このグループだからこそ、目指したい場所がある。

みんなの本気と必死さ、見せてもらったから。

騒ぐことも、湧くことも苦手な僕だから、アプローチの仕方は他の人たちと違うかもしれないけれど。

僕なりのやり方で、貢献していければと思う。

それに何より、妃理の新しい居場所になってくれたメンバーのみんなには、返しきれないほどの感謝がある。

僕は、こんなキラキラしている妃理を見たかったんだ。

そう。

あの頃から、ずっと。

 ◆ ◆ ◆

妃理との出逢いは、2017年6月10日。

O-WESTでの、転校少女歌撃団3rdワンマンだ。

研修生という立場だったから個別チェキまではなかったが、全握には参加してくれていたので、そんな妃理にとっての初めての特典会が、同時に僕と妃理とのファーストコンタクトになった。

でもそれ以降、定期公演には参加するようになったものの、歌唱機会は毎回せいぜい一曲で。

特典会も個別チェキになると撮影係に回る日々が続いていたから、ようやく妃理と初めてチェキが撮れたのは、初接触から5ヶ月以上も経った2017年11月23日。新宿BLAZEワンマンでのことだ。

時間はかかったけれど、やっと。

一対一で、向き合うことが出来た。

まだ何の関係性も作れていないその段階で、なぜそうまでして会いたかったのか。

今となっては、正直わからない。

でもきっと、そうなるべくしてそうなった。

ただそれだけのことだと、僕は思う。

そして逆に、そこからの展開は異様に早かった。

初チェキからわずか一ヶ月後の年明け早々、メンバー内でインフルエンザが蔓延した結果、人員不足で妃理が初めて対バンに出演できることになった。

その頃にはもう「死んでも駆けつける!」とでも言わんばかりのテンションだったから、今思い返しても「この一ヶ月で何があったんだっけ?」というくらい急速に距離が縮まっていた気がする。

始めは「古森のついで」でしかなかったはずのひとりの研修生が、僕にとってどこよりも落ち着く場所になるまでには、それからさほど時間は必要なかった。

そして4月末、古森結衣卒業。

元々僕が転校少女に来た理由は彼女だったけれど、それでも妃理が残っている以上、この現場を去る必要性は全くない。

その時点での妃理の正規メンバー昇格も密かに期待していたが、しかしそれは叶わず。

研修生という立場のままの妃理を、僕は引き続き応援することになった。

でも正直なところを言うと、メンバーが大幅に減ったこのタイミングですら昇格できなかったということは、運営側としてもこの先昇格させる気はもうないのだろうな、と。半ば諦めにも近い、そんな思いが僕の頭の中には既にあって。

だからこそ、妃理の研修終了と別グループへの移籍(その時点ではどこに加入するかは秘密)が発表された時は、悲しいどころか寧ろ期待と楽しみしかない、そんな前向きな心境になれた。

例え何がどう転んでも、正規メンバーとして活動してくれるなら、間違いなく今の状況よりはマシ。

そう、確信できたからだ。

そして迎えた、妃理の卒業公演。

これからが楽しみでしかない僕は、当然ながら涙など流そうはずもなく。

こんなに悲しくも何ともない卒業公演は、恐らく金輪際経験することはないだろう。

それもまた、妃理ならではの、特別な思い出。

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 ◆ ◆ ◆

それから程なくして、移籍先が恋するフリークというグループだと発表された。

「……どこやねん(笑)」

それが最初の、率直な感想。
だって知らんもんは知らんし、しょうがないじゃん。

残念ながらお披露目ライブは開演時間が早すぎて行けなかったが、その結果、恋フリとしての妃理と初めて話せた会場は、とてつもなく最高の場所になった。

あの、日本武道館。

もちろんライブをしたわけではなく、単なる特典会イベントだったが、それでも忘れられない出来事になるには十分すぎる環境だ。

その日行くとは断言していなかったから、あの時妃理が見せてくれた驚きの表情と、何よりも嬉しそうな笑顔は、今でもしっかりと目に焼き付いている。

「はい、ちょっと早いけど誕生日プレゼント」

タイミングも、絶妙すぎた。

そして後日、恋フリとしてのパフォーマンスを初めて見れた場所も、これまた驚きの会場。

何と、横浜アリーナだ。

ちょっと、運命的すぎやしませんかね(笑)

そんなドラマチックな展開とともに、僕と妃理の第二章は幕を開けたんだ。

そして、今のこの瞬間がある。

 ◆ ◆ ◆

いつだったか、僕は妃理にこんな問いかけをした。

「俺が色んな現場行ってるのはどう思ってる?」

彼女は、こう答える。

「いいよいいよ全然。行ってきな、って感じ」

本当に、よく出来た子だ。

僕なんかには、勿体ないくらいのね。

だって。

少なくとも僕にとっては、誰よりも。

史上最強の、アイドルだもの。

だからきっと。

俺たちなら、どこまでも行ける。

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