ブログがご無沙汰になるのはもうお家芸ですので、皆さんおきになさらず。

さて、舞台【The Witch】が終わってから早いことでもう1週間以上が経ちました。
昨日、純也さんのライブにお呼ばれして頂きすこーしだけお喋りしてきました。
舞台を作ろうと思ったきっかけや、制作裏話などなど。
大雪にも関わらずお客さんも来てくださり、舞台の感想など聞かせて頂きました。
その中で、舞台の台本を読みたいという声を頂いたので、いっちばん最初に私が書いた、台本の初稿を公開しようと思います。

舞台を作って行く過程で色々と変わっていますが、これが原点です。

長いのでお暇な時に読んでみてください!
あえて本当に手を加えてません。
DVDと見比べてどこが変わってるのかとかもみてくれると楽しいかもしれませんね!

舞台【The Witch】初稿

■プロローグ
あなたは魔女に出会ったことがありますか?
おそらく、本日のお客様の中には魔女に出会ったことがある方は少ないのではないでしょうか。
それほど魔女の存在は希少なのです。
しかし、魔女は存在します。
ええ、確実に。
なぜそう言い切れるのか。
それでは、皆様に一つ昔話をお聞かせしましょう。
しかし、昔話をする前に私から魔女に対するちょっとしたご忠告をさせて頂きます。
いくつかありますので、絶対に聞き逃さないようにお願い致しますよ。
言いつけを守って頂ければ心配することはありません。
まず、魔女は携帯が嫌いです。
魔女の前で携帯が鳴るとそれはもう恐ろしいことに…。
マナーモードもいけません。
魔女はとても敏感です。
撮影なんて以ての外!
それに皆様はご存知ないかもしれませんが、魔女はカメラには写りません。
皆様は、私の話に集中して耳を傾けて頂けるだけでいいのです。
どうです?簡単でしょう?
心配しなくてもいつの間にか私の話に夢中になっていると思いますよ。
それほど魔女とは魅力的なのです…。

魔女が居たぞーーーー!!
魔女だ!!

おっと、それでは始めましょう。
魔女にまつわる昔話【The Witch】を。

ー暗転ー

■魔女の城
場面:村の中、水汲み場

遠くに見えるお城がいつも気になっていた。
気高く美しく、それでいてどこか怪しげな佇まい。
どんな人が住んでいるのか、想像するのが日課だった。
王族なのか?
いやいやこんな辺境に王族なんか住んでいない。
その線はないな…。
大富豪?
大富豪だったら噂話くらい聞くだろう。
なんの話も聞いたことがないなんてありえない。
空き家?
だめだ。ロマンがない。
想像なんだ、せめてロマンは忘れちゃいけない。
では、魔女??
うん、しっくりくる。
怪しく美しいお城に住む魔女。
絵になるじゃないか。
そう、日課となっているこの想像はいつもこの魔女に落ち着く。
魔女が本当に居たらなんて、とてもロマンがあるじゃないか。
どんな魔法が使えるんだろう。
願いを叶えてもらえるのかな。
このワクワクから僕の一日は始まるんだ。

〜ダンスナンバー「一日」〜

■青年と魔女
場面:村の中、水汲み場

ある日いつもの様に水を汲みにいく最中、ふとお城に行ってみようと思い立った。
遠くに見えるとは行っても行けない距離じゃない。
幸いにも今日は時間がある。
お城をちょっと見てくるだけだ。
誰にも迷惑をかけることじゃない。
それにどうせ行っても魔女なんていないに決まっている。

でも魔女が本当にいたら?

そんなことを考えていたら僕の足はすでにお城に向かっていった。

〜ダンスナンバー「移動」〜
<舞台転換「街から城」>→映像?舞台セット?方法検討
※ダンスナンバーと同時に進行

お城に着いたころにはすっかりと日も昇りお昼も過ぎてしまった。

「そこのあなたお腹は空いてないかい」

そういえばお腹が空いてきたな。
えっ?

「誰だ?!」

急いで声のした方を振り返っても誰もいない。
しかし、さっきまでなかったリンゴが置いてある。
このリンゴは?と不思議に思いながらもゆっくりとリンゴを手に取ってみる。
その瞬間目の前が真っ暗になった。

ー暗転ー
<舞台転換「外観から内観」>
→映像で出せたらベスト

気がつくと、景色が変わっている。
お城の中?
どうやって?
誰が?
様々な疑問が一瞬で頭の中に浮かぶと同時にあるものが目に入った。
その瞬間、頭の中に浮かんだ全ての疑問が一つの答えと結びついた。

「魔女だ。」

■魔女の魔法
場面:お城の内観

魔女はこちらを向いて佇んでいる。
さっきまでの空腹など忘れてしまうほどの緊迫感だ。
「やっと訪ねてきてくれた。」
魔女はポツリと呟いた。

やっと?やっととはどういうことだ?
魔女とは会ったことがない。
それなのにやっとだなんて。
そもそも訪ねてくるのを知っていたみたいだ。
なんだかすごく怖いぞ、
いや、それよりも魔女は本当に居たんだ。

「あなたは誰?」
とっさに口から出てしまった。

「私の名前はマニ」

マニ、初めて聞く名前だ。
僕は恐る恐る質問を続けた。
「あなたは魔女ですか?」

マニは笑った。
「魔女という存在は人々が勝手につけた名前です。
私はただ、今も昔もここで静かに暮らしているだけ。」

確かに、今までマニが村に来たことはもちろん、
人々に何かをしたという話は聞いたことがない。
僕はその時、なぜかホッとしていた。
マニは悪い人じゃない。
僕の中の何かが、そう言っている。
本能で感じるんだ。
「マニ、あなたはさっきやっと訪ねて来てくれたと言っていた。
やっととはどういうことだ?
僕はここに来るのは初めてだし、あなたと会うのも初めてだ。」

「私は、あなたがここへ訪ねて来るのを長い間待っていました。」

マニはそう言うとそのまま話し続けた。

「本当にありがとう。
これからあなたにはとても辛い選択を強いることになります。
ですが、忘れないで。
あなたの選択で私は救われた。
私はあなたに心から感謝しています。」

意味がわからない。
ありがとう?救われた?
選択とは?
頭の中が疑問だらけだ。

「ちょっ、ちょっと待って。
あなたの言っていることは意味がわからない。
もう少しわかるように説明してくれ。」

「そうですね。
ですが、ここでゆっくりと話をしていると私の決心が揺らいでしまう。
何年も何年も待ち続けた。
最後に一つだけ。」

そういうとマニは青年の胸に手を当ててこう呟いた。

「死者の魔法のみ封じる事。」

「え?」

「時の魔法は2度しか使えず、銀の剣で死者は滅びる。悠久の時は魔力と共に。
…。
銀の剣を胸に、それで少女は救われる。」

それだけ伝えると、マニは手をあげた。
するとあたりが少しずつ薄暗くなり、やがて真っ暗になった。

ー暗転ー

気がつくと僕は森の中で倒れていた。
近くで少女の声が聞こえる。


■青年と少女
場面:森、太い木の根本

歌い声が聞こえる。
青年は歌声のする方へ近づいて行った。

「誰?」

太い木の根に座った少女が青年に話しかけた。

「ここはどこだい?」
青年は訪ねた。

「あら?私が先に名前を訪ねたのよ。
質問に質問で返すのはよくないわ。」

「すまない。
僕は、エフェンダーという。」

「エフェンダー…なんだか言いにくいわね。
わかったわ!あなたはデー!今日から私の友達にしてあげる!!」

「まてまてまて、ちょっと待ってくれ。
わからないことが多すぎる。
ここはどこなんだ?君は誰だ?どうして僕はここにいる?!
そもそもデーってなんだ?僕の名前と全然関係ないじゃないか。」

「もう、デーはすごく忙しい人ね。
いいわ、一つずつ答えてあげる。
あたしすっごく優しいの!
まずは自己紹介ね、私はマニ。
ここは村の近くの森よ。
向こうに見えるのはお城。
今は誰も住んでないから、村の人も滅多に近寄らないわ。
あなたがここにいる理由は知らない。
だって私がここにいたらあなたが来たんだもの。
むしろ私が教えて欲しいわ。」

丁寧に答えたくれたマニに、僕は一番どうでもいい質問をした。

「なんでデーなんだい?」

マニは笑いながら答えた。
「簡単よ。エフの前はデー。 ABCDのデーよ!」

エフは笑いながら返した。
「エフの前はEだよ。」

二人の間にあった緊張はこの会話で随分とほぐれた。

〜ダンスナンバー「マニとエフの会話」〜

「デー、これをあげるわ!」

マニは銀の剣をエフに渡した。

「これは?」

「うーん、お守り!
友達の証しとしてデーにあげる!」

「大事なものなのにいいのかい?」

「いいの!」

「そうか、ありがとう。」

二人が会話をしているとエフにはあることが気になった。

「ここら辺はマニという名前は多いのかい?
実は僕はさっきまであのお城にいたんだ。
そこでマニという魔女に会ったんだ。
でも気づいたらここにいた。」

「この辺にマニという人はいないわ。
それに、さっきも言ったけど、あのお城は今は誰も住んでいないの。
魔女なんていないわ」

そういうとマニは急に黙り込んでしまった。

「何か気に障ったことでもあるのかい。」
そういってマニの肩に手を置いた瞬間

「痛い!」
マニはうずくまってしまった。

「どうしたんだ。」
うずくまったマニの肩をよく見ると大きな痣がついている。

「その傷、どうしたの?」

マニは覚悟を決めたようにゆっくりと立ち上がり口を開いた。
「村の人がね、怖いんですって。」

「怖いってなにが?」

「いつまで経っても、何年経ってもこの姿のままのあたしが怖いんですって。」

沈黙が続く

「あたし魔女なんですって。」

「え…。」

「デーが思っているよりもあたしは長生きしてるんだ。
昔は仲良くしてくれていた村の子供達も、いつの間にか大人になって、
昔と変わらないままのあたしを気味悪がって避けてしまう。
避けられるだけなら慣れてるからいいんだけど、最近では意味もなく暴力をふるってくるの。」

「それは酷い…。
見た目が変わらないだけでマニはマニなのに。
それを魔女だなんて、まるで魔法が使えるみたいじゃないか。」

「ちょっとだけ、魔法もつかえるの。
私はずっと生きてられるだけだけど。
あとは、他人の時間に干渉出来るのよ。」

「えっ?他人の時間に干渉出来るってどういうこと?」

「うーん、使ったことないから詳しくは知らないけど、あたし以外の人の時間を巻き戻して過去に飛ばしたり、逆に未来に行かせたり出来るわ!
でも、やったことないけどね。」

「それはすごいね!!
他にはないの??」

「他にも、あと一つだけ使える魔法があるけど、それは内緒!!」

「なんでだい?」

「だって使うつもりなんてないもの!」

「マニはその魔法を使って村人に何もしてないの?」

「しないよ。
あたしは村の人たちと仲良く暮らしたいだけだもん。」

エフは考え込んでからマニにあることを告げた。

「わかった。
今日からマニは僕が守るよ。」

ー暗転ー

■村人マシュー・ホプキンス
場面:村の中

エフは村へと向かっていた。
マニへの迫害を止めるために、そしてマニを受け入れてもらうために。

村に着いたエフは村人から話しかけられた。

「あんた見かけない顔だな、どこから来たんだ?」

「僕はあの城の近くにある村に住むエフ。」

「何言ってんだ、あの城の近くにはここしか村はないよ。」

「ちょっと待ってくれ、そんなことはないはずだ。
現に僕はずっと暮らして居たんだから!」

「あんた大丈夫かい?
それよりも、あんた森から来たんだろ。
小さな女の子に会わなかったか?」

マニのことだ。

「ああ、会ったよ。
マニと名乗る小さな女の子に。」

「やっぱり会ったか。
あいつは魔女だ。
今後は近づかない方がいい。」

「何故そう決めつけるんだ。
マニが何か村の人にしたのか?」

「何にもしてない。
でも、しないとは限らない。」

何もしていないにも関わらず魔女というだけで近づくなと言われることに物凄く違和感を感じながらエフは答えた

「何もしないなら大丈夫じゃないか。
何故そんなにもマニを敵対視するんだ?」

「何年も何十年も同じ姿で生き続けるやつを同じ人間として受け入れる事が出来るのか?」

村人は間を置いてさらに話し始めた。

「あんた最近出た欽定訳聖書見てないのか?
ジェームズ1世が出した聖書に書いてあった。
ああいうやつを魔女というらしい。
魔女は生きてるだけで悪だ。
そういう世の中なんだよ。」

「ちょっと待ってくれ。
欽定訳聖書が最近出ただって?!
あれは1611年に出たものだ。
もう100年以上昔の話だろう?」

「あんた何言ってんだ。
今は1616年だよ。
欽定訳聖書が出たのもたった5年前だ。」

エフはこの言葉に愕然とした。
エフが生きていた時代は1730年、
その時代よりも100年も前の時代だと言うのだ。

「そんなバカな。」

愕然としているエフを置いて村人はどこかに去っていった。

すると村の奥で大声を張り上げている1人の男がいる。

「俺はマシュー・ホプキンス!!
これから俺は森に住む魔女マニを捕まえに行く!!!
魔女を捕まえて魔女裁判にかけるんだ!!!」

周囲で盛り上がる村人達
村人達を掻き分け、エフはマシューの元へ

「待ってくれ!!
マニは何もしていないじゃないか!
この村で一緒に暮らしたいだけなんだ!」

「お前は誰だ?何故魔女を庇う。
お前も魔女の仲間なのか?」

「違う!マニは魔女じゃない!
ただの女の子だ!!」

「ただの女の子が何年も同じ姿で生き続けるか!!
あいつは魔女だ!!
殺さないといつか俺たちに災いが降りかかる!!」

そう言うとマシューは、エフの制止を振りほどき、マニがいる森へと向かって行った

〜歌&ダンスナンバー「村人たちの決起」〜

ー暗転ー

■死者の宴
場面:森の中

「やめて!!私は何もしていない!!
ただみんなと仲良くしたいだけなの!!」

森の中で、マシューに追い詰められるマニがいる。

「魔女よ!!大人しく投降しろ!
お前は魔女裁判に掛けられる。
魔女として裁かれるのだ!!」

「そんな、、、」

「仲良くだ?!
そんなことありえる訳ないだろう!
姿形の変わらぬ化け物と、善良な市民とが一緒に暮らすなど!!」

〜ダンスナンバー「追い詰める村人」〜

追い掛けてくる村人に対し、
魔法(照明で表現)を使って応戦するマニ
しかし、遂に追い詰められてしまう

「魔女よ、ここまでだ。
大人しく捕まれ。」

マシューから逃げるマニ
しかし、マシューがどこまでも追いかけてくる

「無駄だ!!いつまで抵抗するつもりだ!
それとも魔女なら魔女らしく、魔法でも使って逃げてみるか?!
あははははははははは!!
そんなことをしたらお前はもう村で暮らすなんて夢、二度と叶わないがな!!」

絶望の淵で覚悟を決めるマニ

「これだけは使いたくなかった。
私はあなたたちを傷付ける気なんて本当になかったのに。」

そう言うとマニは静かに地面に手を当てて祈った。
すると辺りから大量の死者が生まれ村人達に襲いかかったのだ。

「遂に本性を現しやがった!!
やはりこいつは魔女だ!!
生かしておいても俺たちに危害しか加えない!!
殺せ!!!今殺せ!!!」

※ここまでをダンスナンバー「追い詰める村人」として成立させる

死者と村人が争っている間に、
マニは泣きながら逃げ出して行く。
エフと出会った木の根まで逃げたその時だった。

「マニ!!」

「デー…。
あたし、あたし…」

「いいんだマニ。
君は悪くない。何も悪くないんだ。」

泣き崩れながらマニは訴えた

「あんなことするつもりなかった。
あんなことするつもりなかったの!!!
みんなが無理矢理、、、。
ああしないとあたし、あのマシューっていう男に捕まってた。」

「マニ、大丈夫だ。
言ったろ?僕が君を守るって。
村の人は僕に任せて」

ー暗転ー

■青年の願い
場面:村の中

村の中央でマシューが大声を張り上げている

「見たか!!あれが魔女の本性だ!!
魔女はああやって村を滅ぼすつもりだったんだ!!」

マシューに食ってかかるエフ

「それは違う!!
お前たちが追い詰めなければ彼女は何もしなかった!!
あれが彼女の本性だって?!
彼女は自分の身を守る為に仕方なく死人を生み出した!!
これはお前たちが生み出した結果だろう!!」

「俺たちが生み出した結果だって?!
魔女が本性を出したことを俺たちの所為にされるとはな!」

「彼女と歩み寄ることはできないのか?!」

「それは無理だ。
少なくとも今魔女は死人で自分の身を守ってやがる。
あの死人がいる限り、魔女と仲良くなんて出来るわけがない!!」

「あの死人をなんとかすればいいんだな?」

「勘違いするな。
それが出来たら話を聞いてやると言ってるんだ。」

「それでもいい。
僕が必ず彼女に死人を止めさせる。
だからそれまで彼女を捕まえるなよ。」

「ふん。
出来るものならやってみろ。
どうせお前も魔女に裏切られて終わるんだ。」

「マニは裏切ったりしない。」

ー暗転ー

■願いの条件
場面:森の中

森の中で村人を威嚇するかのように死者達が騒いでいる

〜ダンスナンバー「死人の宴」〜

「マニ!!
死者達を操ることを辞めてくれ。
村人は死者さえ居なくなればマニの話を聞いてくれると言っていた!
だから、死者を操るのを辞めてくれるだけでいいんだ!」

「無理よ。
死者が居なくなってもあの人たちは話を聞く気なんてないわ。
むしろ、死者が居なくなればあたしを捕まえるに決まってる。」

「そんなことない!
僕が絶対に受け入れさせる。
だからお願いだ。
死者達を操るのを辞めてくれ。」

「出来ない…。」

「どうして?!」

「あたしは死者を生み出すことしか出来ない。
止める方法はわからないの。」

「そんな…。
じゃあマニが言ってたあと一つだけ使える魔法って言うのは、この死者を生み出す魔法のこと?」

「そう。
生み出すだけ。
止め方がわからないから、使うつもりなんて本当になかったの。」

そこへエフの後をつけて影から話を聞いていたマシューが現れる

「はっはっは!!
話は聞いたぞ!!!
死者を止められぬのならお前に出来ることはないな!!!
おい!!魔女を捕まえろ!!!」

ついに村人に捕まってしまったマニ
マニは村に連れて行かれこれから魔女裁判を受けることになる。
マニを守ることの出来なかったエフは、1人森の中で呆然としている。

ー暗転ー

■青年の選択
場面:村の中

村の中央には吊るし上げられたマニがいる。
その下でマシューは集まった村人に向かって言葉を放った。

「ついに魔女を捕まえた!
明日魔女裁判を執り行う!!
魔女を生かすか殺すか、村人全員の投票で決める!!」

殺せ殺せと野次り立てる民衆

「そう慌てるな。
どうせ明日には全て決まる。
まぁ、明日まで待たなくてもこの様子を見れば結果はわかっているけどな!!
はっはっはーーー!!」

一方、森ではエフがどうにかしてマニを助ける方法を考えていた。

場面転換:森の中

「まずい、マニが捕まってしまった。
どうにかして助けないと!!
でも、どうしたら…。」

その時、エフはマニから貰った銀の剣を思い出した。

「これは…。マニ…。」

青年は何かを思い出してからある決意をする。

「マシューに殺されるくらいなら、僕がマニを殺そう。」

ー暗転ー

投票を行う様子と、
エフが号外を作っている様子を描写する。
その後客電が付き、そこにはエフと村人たち達が。
お客さんに号外を配る
紙には新聞の様に記事が書いてある
その内容は、
「魔女は銀の剣でしか死なない」
という内容のもの。
そして魔女裁判の判決は有罪。
つまり死刑に決まったというもの。

ここで15分間の休憩に入ります。

■魔女裁判
場面:村の中

村の中央でマニが磔にされている
その前で吼えるマシュー

「さぁ!!今からこの魔女!マニの!!
死刑を執り行う!!
先ほど行われた投票で、全員一致で有罪が決まった!!
遂に魔女の恐怖から解放されるぞ!!」

野次り、囃し立てる村人たち

「魔女よ、今から死にゆく魔女よ!!
最後に何か言い残すことはあるか?」

「どうして…。
私は何もしていない…。」

泣きそうになりながらか細い声でマニは訴える
しかし、それを鼻で笑うマシュー

「最後の言葉がそんな言葉とはな。」

その言葉に刃向かう様に、力強い表情を浮かべマニは言葉を発する

「人間は失敗による損失が大きいと、
有益な未来より過剰に損失を見積もってしまう。
あたしが何かするのが怖いから、近づかない話さない。
存在するだけで、危害が及ぶかもしれないから殺す。
あなた達がやってることは、
溺れるのが怖いから海に行かない。
怪我するのが怖いから運動しない。
それと一緒だわ!!!
一歩踏み出せば開けるかもしれない未来を見ようともしないで、踏み出さないことを理由をつけて正当化する。
踏み出さないと何も変わらないのに!!」

「はん。そんなのは戯言だ。
何かが起きてからじゃ遅いだよ。
現にお前は死者を操って俺たちを攻撃してきた。
そうだろう?お前を殺さなきゃ殺されるのは俺たちだ。」

「それは…。
それはあなた達がっ!!!」

「もういい、時間の無駄だ。
さぁ、誰かこの魔女を処刑する我こそはというやつはいないか?!」

ここで、エフが名乗り出る

「俺が引き受けよう。」

「お前が?!
わはははは、これはいい!!
あんなにこの魔女を庇ってたお前が魔女のトドメを刺すのか!!
おい魔女!!聞いたか!!
お前を必死に守ってたやつがお前を殺すとよ!!」

驚愕の表情を浮かべるマニ

「そ、そんな…。」

「おい、お前、エフとか言ったな。
魔女を殺す道具は持ってるのか?」

「ああ、ここにある。」

そういうとエフはマニから貰った銀の剣を見せた

「そ、それは…。
そんな、、、うわぁぁぁぁぁ!!!」

銀の剣を見たマニは信じられないと言った表情を浮かべた後、叫びだした。
すると周りから死者が現れ村人たちに襲いかかった。

〜ダンスナンバー「マニ最後の抵抗」〜

このダンスナンバーの最後に死者達は大きな布を持ってきて、舞台を隠す様に設置する

■魔女の過去
場面:村の中

死者が用意した幕に影絵として映し出す。
ここはスピード感を持って見せたい。
映し出す内容は以下の通り
※映像と影絵のコラボレーション

マニが産まれる
嬉しそうにする両親
しかしマニが成長すると、両親は魔女狩りにあい殺される
一人ぼっちのマニ
友達がどんどん大きくなるがマニ変わらず
追いやられ旅に出るマニ
別の場所で友達を作るも、また友達だけが成長していく
追いやられるマニ
逃げた先の森で青年と出会う
村人たちに追い詰められるマニ
死者を生み出して抵抗する
捕まる
そして最後にエフに剣で胸を刺される直前

ここまでを影絵と映像で表現する
(なるべくマニに感情移入するように、
悲しみを全面に出した内容にする。)

■魔女と青年の覚悟
場面:村の中

幕が降り舞台が見えると、今まさに
マニがエフに刺される直前である。
怯えるマニに対してエフは静かに伝えた。

「マニ、僕を信じて」

その言葉を聞いて、マニは安堵の表情を浮かべる。
何も発せず、ただ覚悟を決めて首を縦に振った。
次の瞬間、マニの胸に銀の剣が突き刺さる。
すると同時に死者達が次々と消えていく。

マシューが叫ぶ

「やったぞ!!遂に魔女を殺した!!
これで俺たちは平和に暮らせる!!」

マシューに続いて喜ぶ村人たち

エフはマニの死体を抱えて、マシューに話しかける

「マニの死体は貰っていく。
あの、城に埋めてやるつもりだ。」

「勝手にしろ。
あんな誰も住んでないオンボロな城なんて、魔女の墓にはお似合いだ。
ますます誰も近付かんわ。」

「ああ…。勝手にするさ。」

そう言うと、エフはマニを抱えたまま城に向かっていった。

ー暗転ー

■少女の願い
場面:城の内観

城に着くとエフはマニを降ろし、
胸に刺さった銀の剣をゆっくりと引き抜いた。

少しすると、マニが目を覚ます。

「マニ大丈夫かい?」

「デー、あたし…。」

「僕を信じてくれてありがとう。」

「ううん。あたしこそ。助けてくれてありがとう。
最初はデーに裏切られたと思って気が動転しちゃったけど、デーの目を見て信じるつもりになれたわ。」

「でも、どうして信じる気になったんだい?」

「どうしてって、簡単だよ!
だってデーはあたしの友達だもん。
目を見ればわかるよ!!」

「やっぱり、マニを信じて良かった。」

「あたしを?」

「うーん。マニだけど、マニじゃない。
でもマニなのかな?」

「何それ、どーいうこと?」

「マニが教えてくれたんだ。
銀の剣を胸に刺せって。
それで少女は救われるって。
最初はその言葉を信じるのが怖かった。
でも、マニがくれた銀の剣を見てて思ったんだ。
あれはマニだって。
マニの言葉なら、信じられるって。」

「なんのことだかあたしにはさっぱりだわ。」

「でも、これで死者を操る魔法は使えなくなっちゃったと思う。
ごめん。」

「そんなの気にしなくていいわよ!
もともと使うつもりなんてなかったし。
これからはここで静かに暮らしていれば、使う機会なんてないしね!」

明るく話していたマニの態度が急に変わる

「ねぇ、デー。
あなたはどこから来たの?」

「どうしたの急に。」

「だって、急に森で出会ったけど、それまであなたはどこにも居なかったわ。
本当はどこから来たのか教えて。」

「僕は今よりもちょっと先の時代から来た見たい。
100年くらいかな。
そこでちょっと大人になったマニに出会ったんだ。」

「そうなんだ…。
やっぱり。
そっか。
うん、わかった!」

そういうとマニは覚悟を決めてエフに話しかけた。

■魔女の魔法
場面:城の内観

「ありがとう。これであたしは平和に暮らしていける。
村人たちと分かち合うことは無理でもデーがあたしを受け入れてくれただけであたしは幸せに生きていけるわ。
悠久の時を生きる魔法はあたしをこの先も永遠に生かすかもしれない。
でも、他人の時に2度干渉する事で、悠久の時を生きる魔法も失われて、あたしは果てることが出来るわ。」

そう言うとマニはデーの胸に手を置いた。
※最初にマニが手を置いた時と反対側
(エフは最初上手向き、最後下手向き)

「ちょっ、ちょっと!!
マニ!!待ってくれ!!
何をする気だ?!
僕はここでマニと2人で暮らすよ!!
ずっと一緒に仲良く暮らしていけばいいじゃないか!!」

「ううん。デーはこの時代の人じゃない。
デーには、デーの世界がある。
デー…本当にありがとう。」

そう言うと、マニはゆっくりと手をあげた。
するとあたりが少しずつ薄暗くなり、やがて真っ暗になった。

ー暗転ー

目が覚めるとデー1人城の中に居た。
側には成長した、最初に出会った魔女マニが冷たく横たわっていた。

エフはマニをゆっくりと抱きしめ。
そして、泣きながら城を出て行った。

ー暗転ー

■エピローグ
さて、今回みなさまにお話ししたこの魔女に関するお話は、みなさまフィクションだとお思いでしょう。
ですが、現代でも世界中で魔女の存在は信じられています。
インドでは2008年に農村部の魔女狩りの様子がテレビで放映されました。
ナイジェリアでは魔女の疑いをかけられた子供たちが、魔女ではないとして抗議活動を行っています。
タンザニアでは2005年から2011年にかけて、3000人もの人が魔女狩りにあっています。
サウジアラビアでは21世紀の現在も合法的に魔女狩りが行われており、魔法使いに魔法をかけられた場合にどうしたらよいか、
電話相談を受け付けているんですよ。

一見架空の存在にも思える魔女という存在は、
確かに、そして根強く、私たちの周りに蔓延っているのです。

おっと、怖がらせるつもりはありません。
しかしお気をつけください。
魔女を怖がるその気持ちが、魔女狩りを生む第一歩になり得るのですから。

今日起こしになったお客様の中にも、
他人を羨ましいとか、妬んだことがある人はいるのではないでしょうか。
いや、全員が一度は他人に対して妬みをもったことがあるでしょう。

バートランド・ラッセルというイギリスの倫理学者の言葉でこんな言葉があります。
「妬みは民主主義の礎である」

魔女狩りもきっと、個人個人のほんの少しの気持ちが大衆によって膨れ上がり
起こったのでしょう。

あなたが魔女狩りの先導者となるか、
はたまたエフのように誰かを守るディフェンダーとなるか。

最後にもう一つ、ラッセルの言葉を紹介しましょう。
「幸福になる一番簡単な方法は、他人の幸せを願うこと。」

誰かを守れる人がたくさんいる世の中は素敵ですよね。

ー暗転ー

Fin