このコラムは物語になっています。
読まれていない方は、1話から読まれるのがおすすめです。
私は全てを失った
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2012年冬

冬の時期になると、
普段はあまり鳴らない携帯電話が
用事で鳴るようになる。

友達からのゴルフの誘い
前の会社からの顧客からの電話

いずれも今の私にはうるさいもの以外の何者でもなかった。

友人から送られてくる誘いのメールや年賀状の家族写真は、
妬ましい憎悪の感情以外浮かばなかった。

顧客からの電話は前の会社の知り合いの営業に繋いだ。
「お!また〇〇(私の名字)か?元気か?また仕事の話?たまには飲みに来いよ!」
「あぁ解ったよ!!しかし俺が独立していたら確実にお前らの仕事とっていたな!!」
と、せめてもの意地を張るのである。

まぁ現実の話をすればそれで私が会社を起こしたらおそらく食っていけた。
それぐらい煩かっただけは鮮明に。

そんな妄夢に浸りながら

そして、
仕事の話をしたときは決まって悪夢を見る。

「〇〇さん、信じていたのにな」
「〇〇さん、給料上げてくださいよ」
「〇〇さん、〇〇さん、〇〇さん、、、、」

その思い出がフラッシュバックして、
その度に元嫁の舌打ちが聞こえ、冷たく刺さる視線を感じる。

私は振り払うように目が覚め、
時計を見る
午前2時だ!!

なんで肝心なことは忘れ、嫌なことは忘れないのだ。自暴自棄になるのだ。

嫌なことだけは鮮明に覚えている。
人間とはなんで、、、?


そしてそれからは眠れない。

誰も助けてはくれない。



私は出口の見えない牢屋に入れられているみたいだった。


光はまだ見えない。

(第6話へ続く)