月別アーカイブ / 2012年05月

 
Twitterでもこちらでも告知させて頂いておりますが、
わたくし綾部は、ただいまイラストレーターの天野綾乃さんと一緒に、
『源氏物語』の和歌を独自の解釈で現代語訳に「超訳」することに挑戦しています。
既に数えきれない程の人々によって解釈や研究が行われている超大作に挑むことは正直なところとても大変ですが、それ以上にやり甲斐もあり、今回、4月28日と29日のニコニコ超会議、5月6日の文学フリマ向けに小冊子にして刷るという試みも行いました。

この企画を、「やってみよう!」と綾乃さんと言い合ったのは、半年ぶり?それ以上ぶり?に、渋谷のカフェでカフェめしをむしゃむしゃ食べながら、何時間もお話をしたその後のことでした。
折しもその時は、丁度「傷林果」の文語調歌詞に対して沢山のコメントが寄せられ始めていた時で、
「日本語の美しさや楽しさを見直す」
といったキーワードを軸に、私たちの国の文化に対して、自分なりにできることはないかと模索を始めていました。
それからというもの、イワユル「現代っ子」の私たちは、キャッキャしつつも「和ルネッサンス」というキーワードの元、現在の企画に挑んでいます。
なので、今回のこの記事も、その一環として、このブログに遊びに来て下さった方々の心に、小さくでも「日本の文化」の花が咲けばいいなと思っています。






よく、骨董品などにまつわるエピソードとして、
「品物が買い手を引き寄せる」なんて言いますが、
『源氏物語』企画を始めてから、不思議なご縁の糸がするすると伸びてくる感覚を、私も綾乃さんも感じています。
まだまだぴよぴよとしているヒヨッコな私たちは『源氏物語』に良いようにこき使われてる感じがしなくもないのですが(笑)、

そのご縁の内のひとつが、今回ご紹介する、表具師・吉橋玄雄さんの作品です。


【表具師(ひょうぐし)】というお仕事を、皆さまはご存知でしょうか。
奈良時代、大陸から仏教が伝わってきた頃から存在しているお仕事で、簡単に言ってしまえば、掛け軸や額を作ることを生業にしている人のことです。
掛け軸や額だけでなく、襖や屏風を仕立てたり、傷んだそれらを修復したりもするそう。
貴族文化や武家文化からは切っても切れないお仕事で、京都を中心とした関西で発展しました。
現在は、和風な造りの家が減ったこともあり、本来掛け軸を飾る場所である「床の間」が無いお家もとても多いですね。
なので、上記のお仕事の他に、現代風な家の内装に合った表装・額装(がくそう)をなさることも多いとのこと。
表具師に関する詳しいことは、以下のサイトでご覧になると良いかと思います。

「表具師|日本文化いろは事典」
http://iroha-japan.net/iroha/B07_work/04_hyogushi.html


さて、そんなステキでクールな表具師さんと、お知り合いになれる機会がありました。
綾乃さんのお知り合いであり、都内で表具屋さんを営んでいらっしゃる吉橋さん。
3月22日~3月31日まで、銀座の「一穂堂」さんというギャラリーで個展を開催されておりました。
その時に展示されていた内のひとつが、以下に掲載する吉橋さんの作品です。



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こちらの作品は「掛け軸」。
そして、


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こちらの作品は「額装」です。(URLは綾部が入れました。)
吉橋さんから作品の解説と、作品に対する思いを伺いましたので、ご紹介します。
なお、解説文は吉橋さんの文章の意を損なわないよう注意しつつ、頂いた文章をもとに説明文の追加など、綾部が手を加えております。






作品名:江戸時代元禄版版本 『源氏物語』五十帖東屋からの掛軸と額装

表装・額装の中央にある小さな本のような絵のようなものが、
「江戸時代元禄版版本 『源氏物語』」です。
なんの場面かと言うと、それが「五十帖東屋(ごじゅうじょう・あずまや)」です。
『源氏物語』は全部で五十四帖あるのですが、それの五十帖目の物語、ということですね。

「元禄(げんろく)」は江戸時代中期、「生類憐みの令」で有名な徳川綱吉さんの頃です。
町人文化が京都をはじめとした関西(上方(かみがた)と呼びます)から花開きました。
ハデハデだけれど、優美でシックさが見え隠れする着物が流行ったそうです。
印刷の状態から見て、刷られたのは江戸後期ではないか、ということでした。


掛け軸の裂(きれ)を見てみましょう。
上下の布の部分を「裂(きれ)」と呼ぶそうですが、こちらは伝統的な西陣の織物だそうです。
「上下」の牙色の裂は「飛花紋」と言い、吉橋さんお気に入りの機屋さんのものだそうですが最近お店を畳まれたそうで、その際に譲り受けた貴重なものとのこと。
二枚目の、アップの写真の方が紋様がよく見えるでしょうか。

「飛花紋」の裂の中央にある「中」という部分の裂は「紺地紋海気(こんじもんがいき)」というものだそうです。
元は16世紀にオランダ人によって舶載された裂で、日本で織るようになったとのこと。
西陣の廣瀬さんという方が織られたもので「とても繊細で上品な裂」という吉橋さんのご感想通りのものだと思います。


恥ずかしながら綾部は裂に関しては全く明るくなく、今回がまさに裂との出会いなのですが、
こうしてひとつひとつ見てみるだけで、タイムマシンに乗って各時代を旅している気持ちにもなれます。
何世紀も前から存在している技法が、長い時間をかけて人から人に受け継がれていくことの尊さも感じます。


さてさて!
次は額装を見てみましょう。
これは、初めて拝見した時にすごく透明感があると申しますか、
掛け軸の、重厚だけれども細らかで繊細な印象とは少し違って、
どこかモダンな印象を受けた作品でした。

額の内側、美しい青色の背景に使われているのは、裂ではなく和紙だそうです。
(和紙の揺れるような波打つような模様が『源氏物語』によく似合っているなぁとしみじみ思います。)
驚いたのは、この和紙を漉かれたのは、リチャードさんとおっしゃるアメリカの方だそう!
「打曇り」といわれる和紙で、平安時代からある紙の種類だそうです。
リチャードさんは、越生(おごせ)で紙の原料の楮(こうぞ)の木から育てているそうです。
「ガイジンさんに日本文化に真面目に取り組んでいる人が多いのは、嬉しいような悲しいような現状です。」
と、吉橋さんがおっしゃっていました。


また、吉橋さんは、作品に対して次のような思いを寄せられています。

文字の美しさとともに、今の正方形の文字では味わえない平安王朝とのつながりが味わえ、ほのかな残照とでもいえるようなものを感じられるのが好きです。
活字で読むのももちろん良いですが、オリジナルにいくらかでも近いものを、読みきれなくても見て感じるのも大事だと思うのです。



「見て感じる」。
このことは、有史以前から、繰り返し人々が行ってきた営みのひとつだと思います。
「見て」何かを「感じる」こと。
この感覚を私自身、もっと体験できたらと思いますし、皆さまにも体験して頂きたいなと思います。


更に、吉橋さんはこうもおっしゃっています。


また、文字と絵が組み合わさっていて愛らしいのです。
「大和絵のなかの画中の色紙」、
「浮世絵のなかのふきだしのようなもの」、
「絵と文字が交互に来る絵巻物や奈良絵」、
「文人画の画賛」「五山文学の詩画軸」など、
日本にはたくさん「絵と文字が組み合わされたもの」があります。

「江戸時代の版本」もその一つで面白いです。

そんな「美しく愛らしい文字や絵」に出会うと、
掛軸や額に仕立てたいと思ってしまいます。



上品で、時に繊細に、時に凛々しく神秘的にも感じられる作品を作られる動機が「愛らしいと思う」というところから、吉橋さんのお人柄を感じます。
吉橋さんのお店のウェブサイトに、表装とは「作品に衣装をつける」ことと書いてありました。
「愛らしい作品」に「衣装をつける」行為は、親が子を可愛がる行為にも似ていると思います。
そこからも、吉橋さんのお仕事ぶりや作品に寄せる思いを感じられる気がします。


いかがでしたでしょうか。
また折りに触れて、様々な作品をご紹介することができたらと思います。
吉橋さん、貴重なお話や作品の画像をありがとうございました。



吉橋さんのお店:「吉橋完光堂
http://kankoudou.com/

 
ひゃー!やっと書けました!
ニコニコ超会議・ニコニコ超パーティーに参加された皆様、本当にお疲れさまでした。

わたくし綾部と相棒の佳館杏ノ助は今回、ニコニコ超会議内の「ニコニコつくってみた」というエリアに【萬月邸】でサークル参加しました。
杏ノ助は、ニコニコ超パーティーの2日目に出演させて頂きまして、杵家七三先生主導の「杵家七三社中」の皆様と、「即興で踊ってみた」の枕屋さん(沢村菊乃助丈)とコラボレーションして「傷林果」を披露しました。

「ニコつく」のブースでは、『和楽・千本櫻』が収録されているVOCALOID和風コンピレーションアルバム『花楽里漫葉集 feat.初音ミク』をはじめ、杏ノ助の新譜や、私が現在挑戦している、『源氏物語』のヒロインの和歌を超訳した小冊子を頒布しました。
また、超パーティーでご一緒させて頂いた、このブログではすっかりお馴染み!手妻師・藤山晃太郎さんのオリジナルグッズや、七三先生のオリジナルCDも置かせて頂きました。

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〈ばーん!杏ノ助と!〉

沢山の方々にお立ち寄り頂き、本当に嬉しかったです。
CDや冊子などを手に取って頂き、ありがとうございました!

2日目は、私は1日杏ノ助のサポートとして「側仕えの人」になっておりました!
早朝に会場に入ってリハーサルを行い、avexブースでの『和楽・千本櫻』の生演奏の音チェックに同行したり、杏ノ助の代わりに全体リハーサルに出たりと、内心あわあわしておりましたが、脳波で動く猫耳をつけてがんばりましたよ!(笑)

総勢200名以上が出演されるステージとあって、沢山の方々とお話しする機会があり、また、皆様にお世話になりました。
avexブースでの『和楽・千本櫻』の生演奏は先述の全体リハーサルが重なってしまい見られませんでしたが、盛況だったと聞いて本当に本当に嬉しかったです。

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〈avexブースでの七三先生と杏ノ助!これはリハーサルの時の写真です〉


そして、「傷林果」のステージの時は、
先生方の演奏に合わせて杏ノ助が歌う姿、枕屋さんが華麗に舞われる姿、そして、生放送でご覧になっている方々のコメントを見ながら、震えのような、呼吸がぎゅっと詰まるような、なんとも言えない感動というか衝動がこみ上げてきて、
ただただ、会場の一番後ろの隅っこで、両目を見開いてじっとしていました。

泣いてしまうかもしれない、とも思っていたのですが、本当に、心が強く揺すぶられた時って、グラスから水が零れる直前の状態を保ったような、水が細かに震えるような、そんな感覚になるのだと驚きました。

こうして、沢山の方々に支えて頂き、励まして頂き、叱咤して頂きながら、
今回、素晴らしいステージに立たせていただくことができました。
改めて、本当にありがとうございました。

現状に甘んじることなく、更に私たちなりの作品を作っていきたいですし、
「きはめて磊落」に突き進んでいきたいと思っています。

だってねえ、やー、ほんとに、超楽しかったんですよ!超パーティー!
だから、また皆さんとご一緒させていただけるように、萬月邸はがんばります。

お一人ずつお名前を挙げて御礼申し上げたいところですが、
卒業式かよ!みたいな感じになっちゃいますので、この文章全部でお礼をさせてください。
そして、これからもどうぞよろしくお願いします。
ボカロライブも超楽しかったです。もう本当に。

みんなでニコニコ!
綾部もパソコン買い替えたんで、がんばって生放送とかするよ!


最後に。
2日間、売り子さんとしてお手伝いしてくれた、
劇団K-Show所属の役者さんであり、声優の亀田理紗ちゃんとー!イエーイ!


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