福岡旅行から新幹線で帰途についてる。小倉のコンビナート、徳山のセメント工場、広島のマツダスタジアム。山陽新幹線の景色は楽しい。地理の勉強になる。

遠出をする度に疲れて、もういいかなって溜め息が漏れるけど、またそのうち進んで旅行に行くんだろうな。その理由を考えると、今抱えている手土産たちが目に入る。これを渡す相手がいるし、あれを食べる明日の僕がいる。帰るから旅に出るんだと、逆説じみてそれっぽい結論が思いついて、それも誰かに伝えたくなる。
どこに移動しても自分の内側に抱えている感情は変わらず、音楽聴いてたいとか一人になりたいとか、眠たいとか考えてた。一方で少し離れた誰かには、こんなことがあったよと、こんなもの見つけたよと、非日常を伝えたくなる。

帰るまでが遠足と言うけれど、帰ることこそが旅行だ。予定が1日遅ければ台風で帰れなくなっていた。予定を早めて帰る人でデッキは満員で、気の毒だなと思いつつ僕は指定席車両A席に座っている。
駅弁の匂いが前後左右からやってきて、お腹がすく。この感情もいつも通り。ちなみに僕の右側は窓なわけで、前後左右というのは不正確な表現だ。窓の外に雲は低く煙のように流れ、雨粒は車窓を水平に走っている。それを指で追っかけた。

思いがけぬ偶然というのは偶にあって、帰宅してから読み始めた小説に、福岡旅行の話が出てきた。それを読んでもう既に福岡に行きたくなっている。観光と言える観光をしない旅行だったから、いつか太宰府さんにお参りしたいと思った。主人公は僕と同じく寒がりで、基本的には冷めた奴だ。澄ました顔で冗談を言う。あまりにトーンが低すぎて冗談だと伝わらないこともあるけど、それが面白いときもあるし、逆に伝わったときにはそれが嬉しい。

明日は実家から東京に帰る。帰省の度に、"帰る"のか"行く"のか、分からない。帰ってしまったら旅行は終わるので、とりあえず後者ってことにしとこ。

久しぶりに見た花火は綺麗で、 思わず声が出た。感情表現に制限を加えて生きていると、何かを思う前に声が出るなんてことは滅多にないから、余程のことだ。
小学生のときは地元の花火を数回見た程度で記憶も薄ぼんやりとしているし、中学高校のときは、関西では有名なPLの花火を遠くベランダから眺めた。東京に来てからは、舞浜で何発か見ただけ。都内で見たのは昨日が初めてかもしれない。

何発、何輪、見たんだろう。レンズもケーブルも液晶画面も通さずに見る光。花火もやっぱり青が好きだと思った。出番は少ないけど、黄色に映える青に目が行く。黒も好き。ピンクに映える黒がとても綺麗で、花火を見ていながら向こうの夜空を見た気になってくる。
あと音ね、花火は音だよね。数秒遅れて来る音。後ろの鉄橋に跳ね返る音。花弁はもちろん破裂音にも大小あって、火薬の量やタイミング、技術が詰まってるんだろう。すごいなと息を漏らすしかなかった。火はこうやって人を楽しませ生かすもののはずだ。

最近聴いてなかったなと思ってBOOTLEGの打上花火を聴きながら帰った。花火が見る音楽なら、音楽は聴く花火だ。一人で音楽を聴いて思い浮かべていた映像に、また新しい記憶が重なって厚くなる。伝わっているのか分からないような、伝えきれずにいるような曖昧な心が透かされて解かれて、消えそうで行き場を探してる。その一時的な波止場がここなのかもしれない。そう思って書いておく。

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やるべきことに追われ始めた7月、しんどいけど強くありたい。

カーテンがずっと膨らんでいる。窓を開けてからずっと。ゆっくり揺れながら、時々こちらにふわっと伸びてくる。外は曇り空で、低気圧のはずなのに、この部屋はもっと低気圧ということか。風が見えて、楽しい。

この1週間、いろんなことを考えて、どれも1つの結論で棚にしまって腐らせた。この季節は物がすぐ傷む。湿気って言葉の響きがすでに嫌な感じだ。

こないだ出先の近くで寄ったインドカレーの話をしよう。開店祝いの花があったので、できたばかりらしい。注文したチキンカレーは辛さより香りが際立って鼻に抜ける。おいしい。(カレー、大好きなんですけど、激辛は無理なんですよね。痺れるタイプが特に。味覚奪うじゃないですか、それって食べ物なのかと、腫れた唇で文句言いたくなりませんか。)
そんな文句は要らぬほどのカレーに付ける、パラタっていうナンみたいなのも、ほんのり甘くてもっちりしていて、食べる手が止まらない。宗教的に左手が使えないインド人は、どうやってナンちぎるんやろと思いつつ、遠慮気味に左手を添えてパラタをちぎった。
7割ほど食べたところで、インド人のおっちゃん店員が寄ってきて「どう?おいしい?」と聞いた。あーこれが噂の。インド人のそういうところかわいい。パラタを頬張りながら親指を立てると、おっちゃんは嬉しそうに「良かった」と笑った。お店を出るときは「また来てね」と言うから「また来ます」と笑って返した。嘘にならないといいよな。

帰り道、最近笑わせてもらってばかりだと気づいた。太陽に囲まれて過ごせば、あったかくなるのは当然で、黒いからそれをただ吸収する一方だな。せめて青くらいでいたくて笑っているといつものように笑ってくれたり、焦がしすぎて苦かった夜もお酒があればちょうど良かったり、燻って吐きそうな気持ちを抑えたり、あつすぎて涙が溢れたり。嗚呼、棚を開くとほんとうに湿っぽい。戸を蹴って閉めた。

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どうも臭くて1週間寝かせたブログ、自分の中では消費期限ぎりぎり残っていた。なかなか乾かない。


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