前回はレンズに関するスイートスポットでしたが、今回はカメラの機能が持つピントのスイートスポットです。

今回のお話は、本来なら中級者さん以上が気にするようなことです。前回のお話も中級者さんでも良いくらいかもしれません。
ただ、前回と今回は初級者さんがつまずくであろうピント精度の根底なので、そのセオリーから外れた撮影をしていたらどれだけ機材を変えても、うわべのピントあわせのコツを教えてみても合うわけない。ということになってしまうため、初級者さん対象のこのブログでも書かせていただいています。なぜならば!
皆さんが憧れる "走っているわんこをカッコよく撮ろう" と思ったきっかけになったであろう写真は、そのセオリーも理解した上で撮影している(はず)の中〜上級者さんの写真だからです!
要するに、それらのレベルの写真が撮れないとなんだか満足できない程度に、皆さんの目は肥えてしまっているのです💦

ピントを合わせるという行為が必ず発生する以上、カメラを選ぶ時にとても重要となるカタログスペックがある
前回は若干知恵と工夫と忍耐が必要でしたが、今回の内容は前回より簡単(?) なモノを1つだけピックアップしました。カメラのカタログスペックにも載っていますから、感覚のようなあやふやなモノでもありません。確実に絶対にそうなるというカメラ本体の仕組みの1つです。あやふやなモノに惑わされる事なく、ただ覚えてしまえば良いだけです。
それは、AFフレームと測距点

では、工学(光学)的なむずかしい理屈は今後自分で勉強するとして(笑)、美味しいところだけかいつまんで覚えてしまいましょう😝


初級者さんほど美味しいAFフレームを使っているかもしれない
画像引用元 © Canon Inc./Canon Marketing Japan Inc.
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http://cweb.canon.jp/cpc/starteos/02-03.html
ファインダーを覗くと、小さくて四角い枠がたくさん出てきますよね。あれがAFフレームです。
AFフレームは "ここにピントを合わせたい" というあなたの意思をカメラに指示してあげる機能です。キヤノン機ではレンズの設定がAFの時に機能します。

真ん中にあるAFフレームを使って撮影された写真は日の丸構図と呼ばれます。よく聞きく言葉です。構図の部類としてはとても簡単で扱いやすいのですが、工夫をしないと似たり寄ったりになったりしてあまり好ましく思われていないようなこともよく聞きます。
けれど、ほとんどの初級者さんが行なっているこの構図が、実はとても美味しいことになっています。なぜならば。
AFのピント精度とAFの合う速度という点に関しては、日の丸構図が絶対的に他のAFフレームを使うより性能が上となっている場合がほとんどだからです※1 ※2 ※3 ※4 ※5
※1 フルサイズやらAPS-Cやら画素数やらレンズの性能やらも「画質がいい=ピント精度」という意味で捉えるのなら関係があるのですが、ややこしくなるので今は忘れてください。
※2 この記事でいうピント精度は、 "位相差検出方式" を採用しているタイプのデジイチの場合です。キヤノンで位相差検出方式が採用されているのは、エントリーのKissとかミドルモデルの80Dとかフルサイズの5Dとかのいわゆるデジタル一眼レフです。ミラーレスのM5のようなハイブリッドAF機にも搭載されています。ミラーレス機は "コントラスト検出方式" が多いので、この記事には当てはまりませんごめんなさい🙇‍♀️
※3 ハイブリッドAFミラーレスはすこし毛色が違うので、ここではこちらもはずしますごめんなさい🙇‍♀️
※4 ただし、上記の位相差検出方式のデジイチで、カメラの液晶に被写体を映しながら撮影した場合は位相差検出方式ではなくコントラスト検出方式になる機種が多いです。ご注意ください。
※5 エントリー、ミドル、フラグシップが持つ各種センサーや画像処理エンジンの性能差も省きます。かいつまんで説明するのもなかなか大変😑💦

ほとんど、と言うのは、最新のエントリーやミドルモデルになると多数または全部のAFフレームが美味しく作られていたりするからです。少し型の古いカメラを使っていると、中央とその周辺のAFフレームだけが美味しく作られています。
ただし、AFフレームが上位モデル並みにファインダー全面に美味しく作られていても、それを制御するAFセンサーやらは上位モデルに行くほど高性能になっていますので、それが機材の性能差であり、お値段に響いてきます。

カメラのAFは、線で被写体までの距離を測ってピントを合わせている
簡単とか言っておきながら早速ナンノコッチャですかね😅

さてさて、カメラが被写体にピントを合わせる事を「測距」といいます。字のごとく距離を測っているわけです。今は理屈は捨てます。被写体までの距離を測るとピントが合うのです。
ではどんな風に測っているのかというと、ファインダーのAFフレームの場所にある測距点と呼ばれる線で測っています。

ライン測距点、クロス測距点、デュアルクロス測距点
線で測るってなんだ? と思うかもしれませんが、文字通り "線" です。ー とか | とかの "線"です。
横線か縦線、いわゆる1本のラインの測距点をライン測距点。
その横線と縦線がクロス "十" して同時に機能する測距点をクロス測距点。
クロス測距点に斜めのラインが加わると、デュアルクロス測距点になります。
これらがファインダーのなかに映る四角いAFフレームの位置にあるので、AFフレームを選んでシャッターを半押しするとピント合わせが行われるのです。
そしてこれらはそれぞれピント精度と合焦速度に差があります。
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⭕️今日覚えること
ピント合わせに使う測距点には
📌ライン測距点
📌クロス測距点
📌デュアルクロス測距点
がある

それぞれの測距点はピント精度と合焦速度に差がある 

線でピントを合わせるとは
では、線でピントを合わせるとはどういうことでしょう。

測距点のピントの合わせ方
ファインダーいっぱいに真っ白なスケートリンクがあるとします。この何処かにAFを合わせると、ほとんどの場合はピントが迷って合いません。なぜかと言うと、ピントを合わせてくれる各種測距点にとって、測距の基準となるはずのコントラストの差、正確には輝度や照度の差が真っ白なスケートリンクの中にはないからです。
カメラは被写体のコントラストの差とそのズレを読み取ることでピントを合わせます※4
※4 しつこいですが "位相差検出方式" を採用しているAFの場合です。

最近なんだか説明が小難しくなっている気がするので💦 コントラストの差をもっと簡単に言い換えますと、AFフレームで狙った部分に存在する色の差や色の濃淡差、色の明暗差のことです。カメラは2色以上の色の境目を目安にしてピントを合わせようとします。
これ凄く重要ですよ!ちょー重要❗️👍✨

⭕️今日おぼえること
カメラはピント合わせを行う時に色の差の境目を見ている。

図だとこんな感じになります。
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真っ白で何処にもコントラストの差がないため、線である測距点の何処にも引っかかる部分がない=リンクの何処に合わせても測距が正確にできないわけです。ツルツルのスケートリンクの上で止まれずにふらふらしてしまう感じかな?

ではスケートリンクの右と下に絨毯が敷かれていたらどうでしょう。
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リンクの白と絨毯の赤が色の境目になっていますので、横線のライン測距点の場合は右の絨毯に無事引っ掛けてあげることができました。
しかし、下の絨毯は横線のライン測距点と平行なので、色の境目があるような気はするけれど、あまり引っかからずにそのままリンクを滑って行ってしまいます。
それでもカメラはシャッターを半押ししている間中ピントを合わせようとし続けるので、色の境目がわかりづらいなりに一生懸命頑張って、「今ピントが合ったかもしれない」というところで合焦合図を出すことがあります。これが甘いピントの原因の1つです。

そしてこれが縦線測距点だったら、同じ理屈で右には引っかからずに下の絨毯にはしっかり引っかかってくれますね💕

クロス測距点はどうでしょう。
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横にも縦にもラインがあるので、どちらの絨毯にもバッチリ引っかかってくれました💕
色の境目が縦にあっても横にあっても引っかかってくれるので、普段からこのクロス測距点を利用していればほとんどの場合は問題なくピントを合わせてくれます。

つぎはデュアルクロス測距点。
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横線縦線だけでなく斜めの線も引っ掛けてあげることができました💕
色の境目が縦横斜めの何処にあっても引っかかってくれる測距点なので、1番ピント精度が高く、素早くピント合わせを行ってくれます。
走っているわんこさんの撮影では、正確で素早いデュアルクロス測距点が活躍してくれますよ👍✨

これが、各種測距点の違いによるピント精度と合焦速度の差です。

色の境目は、明るい場所で見るほど明確になる
夜、まだ部屋の電気をつけていないと、室内にあるはずの物の輪郭や色の違いがわかりづらいですよね。明かりをつければ問題なく物体も色も識別できます。
カメラも全く同じです。暗い場所では物の輪郭も色の境目も見えません。
なので、被写体には十分に光を当ててあげないと、ピントが甘くなってしまうのです。
AFフレーム的に言えば
「見辛いけど多分この辺でピントが合ってるはずだから合焦するね?」
という感じです。だからすこし甘くなります。
まだカメラに慣れないうちは、欲張らずに十分な光を被写体に当てて撮りましょう👍✨

⭕️今日おぼえること
ピントを合わせる時は、色の境目がある場所にAFフレームを合わせる

普段からクロス測距点を使うようにすれば、カメラ性能として最低限のピント精度が担保される

カメラも暗い場所では被写体が見えづらいので、被写体には十分な光を当ててあげる


それぞれの測距点には、性能を引き出すためのレンズのf値が必要です
それぞれの測距点の特性を知っていれば、ピント精度を簡単に高められるような気がしますが、そうは問屋が卸しません💦
それぞれの測距点の能力を最大限にしてあげるためには、レンズのf値が必要になってきます。

エントリーモデルの場合は、キットレンズのf値に合わせてクロス測距点が利用できるように設計されていることがほとんどなのであまり心配はありませんが、ミドルモデル以上になるとf2.8以下のレンズでないとクロス測距やデュアルクロス測距に対応できない場合があります。
なので、カメラにほどほどハマってミドルモデルに乗り換えてピント精度が気になるようになってくると、明るいf値の単焦点レンズが欲しくなるわけです。

自分のカメラの測距点を使いこなそう
みなさんがお使いのカメラのカタログや取説には必ずそれぞれのAFフレームにどの測距点が採用されているかが書かれています。
今まで取説を読み飛ばしていた人は、自分のカメラの測距点と対応f値を知っておきましょう。
実はデュアルクロス測距点を持っているカメラなのに、撮影時の構図に気を取られてそのAFフレームを使っていなかったとか、レンズが対応していなかったとかがわかるはずです👍✨

ちなみに、AFセンサーと測距点は、カタログなどではこのように明記されています。
画像引用元 © Canon Inc./Canon Marketing Japan Inc.
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http://cweb.canon.jp/eos/lineup/kissx8i/feature-afae.html
エントリーモデルKissの冠を持つ最新X8iは19点全点でクロス測距対応と書いてあります。一昔前ならミドルモデルの測距点は9点程度しかありませんでしたし、エントリーモデルで全点クロス測距なんて考えられなかったものでしたが、デジカメが消費者のニーズを追い求めて進化する家電っぽくなってるな〜と実感させてくれるところです。技術は日進月歩だけれど、どれだけ月日が流れてもみんなピント合わせに苦労しているんですね😅
そして、せっかくこの記事では中央1点を使った日の丸測距が1番いいよ💕 と言っているのに、X8iはどの測距点を使っても同じ精度よ。※6
ということになります。ヽ(;´Д`)ノヤメテー 

※6 今回はAFフレームが持つもう1つの特徴である、"暗い場所でのピント精度" に関する測距点性能は省きました
画像引用元 © Canon Inc./Canon Marketing Japan Inc.
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http://cweb.canon.jp/eos/lineup/80d/feature-forcus.html
ミドルモデルの最新機種80Dでは、全点がf5.6に対応したクロス測距に加えて、中央の1点がデュアルクロス測距対応となっています。
ただし、デュアルクロスの右と左の斜めの線はレンズの1番小さい値である開放f値がf2.8以下でないと機能しないと書いてありますね。キットレンズではなく明るいレンズを使わないと、中央1点もデュアルクロスではなくクロス測距になってしまうということです。せっかくのデュアルクロス測距を使えないということですので、勿体無いですね。
だからみんなレンズが以下略。

測距点の利用にも、やっぱりTPOがある
AFフレーム19点全てでクロス測距!素敵!
と思いがちですが、AFフレームそんなに使わん、という撮影をしている人も多くいます。
「風景や花マクロをマニュアルフォーカスで撮っています」という人にとってはAFセンサーがどうなっていようと何も関係がないですし、「私はどんな撮影の時でも画角に余裕を持って日の丸構図で撮影して、あとから好きにトリミングしています」と言う人にとっては真ん中のAFフレームの精度だけが重要であって、他のAFフレームはあまり必要ないわけです。
どんなレンズでも外側に行くほど歪みや滲みが出ますので、それはピントや画質に影響します。
それを知っているのに、AFフレームをチクチク動かしてわざわざ画質の悪い端っこに被写体をフレーミングした構図を取るのは勿体無い、という感じです。※7
そしてそういう人ならば、AFフレームで価格差があるのなら、レンズや別のカメラアクセサリーに回すわ〜という選び方も大いにありです。というか賢いです。カメラは本体よりも周りの機材の方がたくさんあって高価ですから😅

たとえばポートレートがメインなら、屋内撮影や日中シンクロ、中でもハイスピードシンクロができる高価な外部ストロボがすご〜く欲しくなりますし、花マクロがメインだったりするとリングや二連のストロボが欲しくなったりします。

走るわんこをメインで撮るならストロボなど必要がなく、周辺機器よりもカメラのAFセンサー性能と真ん中付近のデュアルクロス測距、連写能力と爆速レンズがすご〜く欲しくなります😅

※7 こういう人がAPS-Cからフルサイズに乗り換えようと思った時にもっともコスパが良くて威力を発揮するのが、エントリーフルサイズの6Dではないでしょうか。
6DのAFフレームは11しかありませんし、中央の1点にしかクロス測距点がありません。中央以外はライン測距点でデュアルクロス測距点もないのでシビアな動き物にも弱い機種です。その分、フルサイズ機としては価格がかなり抑えられています。これだけ聞くと80Dにもx8iにも劣ってしまうように思えます。一昔前のエントリー機のようです。
だがしかし。
風景やポートレートを日の丸構図からのAFロックやMF追い込み、撮影後にトリミングする人にとっては、その1番重要な中央の測距点がちゃんと美味しく作られています。そういう撮影をする人ならばこれだけで高性能なピント精度とフルサイズの画質と高感度耐性を手にできてしまうのです。6Dはフルサイズの中でも特に高感度耐性モンスターなので、星や夜景を撮る人にも強い味方です。高感度耐性については、APS-Cがフルサイズに追いつく可能性は万に1つもありませんと言い切れるくらいありません。
そして価格が安い分、浮いた資金はレンズにまわせばウハウハなわけです((´^ω^))ゥ,、ゥ,、
でもこれを逆にいうと、エントリーだからと言ってそれほどカメラ知識のない人が飛びつくと痛い目を見るフルサイズ、ということになります。お値段だけがエントリーで撮影者に対しては全くエントリーではありません😅

ちなみに、皆さんがチャレンジしようとしている "走るわんこをカッコよく撮る" 時は、ほとんどの場合で中央とその周辺のAFフレームだけを使うことになります。
私のカメラもオールクロス測距で対応するレンズを使っていますが、動体撮影の場合は周りの測距点まで使いません。真ん中とその上下左右の5点程度だけです。わんこの動体撮影に19点とか61点とかそんなにたくさん必要ないのです😅💦
ただし、わんこより小さく素早く、撮影チャンスもより少ない野鳥や昆虫の撮影の場合は、全点のAFフレームを利用して撮影することがあります。そういう人には超望遠レンズやエクステンダー装着時のf8に対応したクロス測距点が大前提かもしれません。
動体撮影の中にも被写体の違いでTPOがあるのです。
この辺は、撮影のコツの記事の時にでもまたお話しします👍✨

皆さんがお持ちのカメラがどんな測距点を搭載していて、色の境目を見てピントを合わせているなんてことは考えたこともなかったかもしれません。
けれどAFでのピント合わせが大前提の場合にはとても重要なことです。

位相差検出方式を採用した、いわゆるデジイチは、色々な機能と性能と光の特性をしっかり掴んで利用しないと、いつでもどこでも良い絵を出してくれるというわけにはいきません。
反対に、ミラーレスやコンデジなどのコントラスト検出方式は、かなり語弊があるかもしれませんがそれほど深くまで入り込まなくても簡単に、そして綺麗に撮影してくれます。
ただし、どちらが優れているとかいないとかではありません。これもやっぱりTPOなんです。

デジイチを選んだ皆さんは、まだもう少し覚えておいたほうがいい基本がありますが、ここまで来たらあとはわんこさんにカメラを向けるだけ!
楽しい週末撮影してくださいね😊👍✨