この度、10/23(金)『みんなのイラスト教室』という本を全国書店にて発売することとなりました。

CN9vU5LUsAADI9J
中村佑介著/ソフトカバー単行本/130P/A5サイズ
870円(税込) 2015年10月23日(金)発売
 
これはいわゆる「~の描き方」「~の方法」みたいな、イラストやデザインの"ハウツー本"なのですが、今作のタイトルや表紙通り、下は小学生から上は大人までを対象にしています。そしてこの商品を買った人はこんな商品も買っていますの部分を見てもらえばわかる通り、専門書の平均価格が1500円~2000円のところ、フルカラー130ページで870円(税込)にしました。その理由を語るには、僕が中学生の頃までさかのぼります。


当時の僕も絵には興味がありましたので、「何か絵がうまくなれる本ないかなぁ…?」と本屋さんに行って数時間後、結局何も持たず家に帰って来てしまいました。というのも専門書の平均価格1500円は、中学生からは高く、また内容も「難しそう…」と引いてしまったのでした。

そうこうしているうちに、中学校2年生、3年生となるにつれ、クラスで絵を描いている子の数は見る見る減ってゆき、高校を卒業する頃には僕のレッテルは「絵の上手い子」から教室で1人の「オタク」「変わり者」に変わっていました。小学校の時はクラスメイトの大半は絵を描いていたのに。あの子もあの子もかつては絵が上手い子だったのに。なぜこのような事が起こるのだろう、とずっと気がかりでした。それが義務教育の図工や美術の授業に問題があると思ったのは、それから随分経ち、大人になってからです。

僕はプロのイラストレーターになっており、全国の学校を講演会でまわる日々を過ごしていました。そこで高校生から絵を描く上での具体的な質問より、「イラストレーターに憧れているけど、なれる自信がない」「イラストレーターになりたいけど、親に反対されている」と言った、相談というより嘆きのような声を多数聞くようになりました。またサイン会を周っても必ず「絵には詳しくないんですが…」という前提つきで、絵の感想を言われるようになりました。大人になるにつれ僕の周りで絵を描く子が減ったのも同様に、これらの原因の多くは、先程言った「義務教育の美術の授業」での誤解から生まれるものだと思いました。

例えば、絵を描いていたら「遊んでないで勉強しなさい!」と親に注意されたことはないでしょうか? またお子さんに言ってしまった事はないでしょうか? れっきとした義務教育の通信簿に採点が載る教科だというのに、おかしいですよね。

これは、「自由な感性を育もう」、「個性を大切に」、「ピカソは解らないからスゴイ!」、「芸術は爆発だ!!」…などなど、あまりにもボンヤリと片寄った教育をしてきたおかげで、図工や美術が"主要五科目"(算数・国語・英語・理科・社会)よりも、ほとんどの生徒にとってはどちらかというと"休み時間"の延長線上に位置しているからです。その証拠に、絵の中で安定した収入になるイラストやデザイン、長者番付にも載るような高収入に繋がる漫画家の仕事紹介は教科書には載っておらず、いまだに昔の名画ばかりが並んでいます。(※名画を学ぶのももちろん大切です)

そして、「絵はよくわからない」「お金にならなさそう」という誤解へとごく自然に繋がり、親に頭ごなしに反対される要因となります。逆を考えれば、主要五科目は親も通った道であり、将来直接的に大学や就職、つまりお金に結び付きやすそうなので、褒められ、やめていく人が少ない訳です。そこで唯一すがれるものが専門書のはずなのですが、僕が中学時代に体験したように、値段と内容が中学生向きではないんですよね。だからと言って、「日本の教育制度が!」と嘆いていても物事は何も解決しないので、自分で教科書を作る事にしました


まずは値段。今回教科書を作るにあたり、やはりフルカラーで100頁以上ある単行本となると、どれだけ制作費や材料費を抑えても1200円以上になるは仕方のない事だとわかりました。そこで単純に、僕の印税(本が売れたら作者に入ってくるお金)と広告費を削り、さらには今回の刊行元である飛鳥新社の偉い方に「教育の為に!」とご理解頂き、出版社としての利益率も抑えてもらいました。そしてようやく870円(税込)という値段を実現することに成功しました。

次に内容。大人になってからいくつかの専門書を読んでみて、中学生当時の僕が難しいと感じたのは、"内容"ではなく"言葉"だということがわかりました。特に専門用語。「色彩」「明度」「彩度」「構図」「感性」「タッチ」「テーマ」「モチーフ」「パース」「センス」「才能」…etc、絵を描いている人以外の生活ではほとんど出てこない用語が、ごく当たり前の顔をしてバンバン登場する。だから、それをなるべく廃止し、誰でも知っている言葉のみを使って、プロの方法を紹介することにしました。

だから、今回の『みんなのイラスト教室』は参考書の中でとても安く、平たい言葉を使っていますが、決して子供向けでも、品質が低い訳でもなく、プロが教える普通の専門書です。僕は全年齢向けの"あたらしい絵の教科書"として使ってほしいので、裏面に名前記入欄も作っておきました。

ura

 さて、前置きが長くなりましたが、ここまでが本を作るにあたってのご説明。ここからが内容紹介です。まずはもくじをご覧下さい。(文字が見にくい人はクリック→拡大して下さい)
pdf

初級から中級までの計12回では、各回1名ずつ、実際に生徒作品を使って、授業をしています。

名称未設定 5

上記は例として1ページずつ抜き出してみました。よくある「描き方」ではなく、生徒それぞれの絵柄は変えずに、「置き方」と「色のえらび方」のみで、絵を見やすく、また、見てもらいやすくする方法を数ページに渡って丁寧に解説しておりますので、どんな絵を描かれる方でも、当てはまる部分を数多く見つて頂けると思います。

また、それ以外のページでは、実際に僕が絵を描くときの考え方進め方、素晴らしい日本のイラストレーションの解説などの読み物。そして僕がこれまで手掛けてきた数々の書籍カバーやCDジャケットのラフ完成品との違いを紹介するコーナーもあります。

名称未設定 6
 ラフ
さらに、絵を描くときのことだけではなく、周りに絵を専門的に学んでいる人がいない中高生のために、進路の参考や決め方も詳しく載せております。

1

2

 以上のような内容の全130ページが『みんなのイラスト教室』です。前述した通り、どんな年齢の方でも、出来るだけ手に取りやすい値段に抑えるために、印税だけでなく広告費も削っておりますので、通常の本のように雑誌、新聞、テレビ、有名ニュースサイトなどには告知を出すことが出来ません。だからどうか、絵を描いていない人も、周りに心細く1人で絵に立ち向かっている人がいたら、「安くて本格的な本あるみたいよ~」とぜひ、この本の存在を教えてあげて下さい。もちろん絵を描いていない人でも十分に楽しめる内容にしております。

という訳で、どなた様も10/23に本の中の教室でお会いしましょう。学費は870円(税込)。入学資格はもはや「絵を描く人」でも「絵がわからない人」でもなく「絵が好きな人」のみ。年齢も作風も問いません。最後に、写真を撮り直す費用も削った為に、襟が立ったままになってしまっている校長の肖像画を見て、起立、礼、解散!!

名称未設定 3


中村佑介2016カレンダー
中村佑介
飛鳥新社
2015-10-23