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SMAPの解散に関しては、すでに大勢が語っているだろうが、私的な心のメモとして、このネットの片隅に残しておきたい。

 1226日——『SMAP×SMAP』最終回の放送中、私は新幹線に乗っていた。深夜に帰宅して録画を観ると、湧きあがる複雑な感情に胸がつまり、しばらく言葉を失った。

諸行無常。

 今年の1月に突然、解散報道が出た時も、ショックを受けた。

こんなにもSMAPが好きなのか、私ってファンだったのか……と驚いた。ジャスト同世代だし、もともとTVっ子だし、当然か。

一方、私の仕事の主軸の1つは、著名人に人物インタビューをすること。

一期一会で1万字インタビューを書くこともあれば、書籍やインタビュー連載の仕事で長らくお付き合いのあるアーティストもいる。

SMAPもメンバー全員にインタビューしている。人によっては、45回程。実際に彼らに会って話を聞けば、さらにリアルに魅了されたし、尊敬と興味の両方を抱いた。

私はあの世界の裏側を知っているわけではないけれど、数多のトップスターたちが常に変容する複雑な立場に立たされていることや、そこで生き抜くことの難しさは知っている。彼らの表現者としての美学と、人としての本音の両方を聞いてきた。

SMAPについては、視聴者としても、インタビュアーとしても、いろいろ思うことはある。私なりに実感があることを、少しだけ書きたい。

年前、個々にインタビューした時に感じたのは、メンバー全員が、SMAPを愛していたということ。我が身のように切実に、人生そのもののよう大切にしていた。

とてつもない困難もあっただろうし、見えないところでたくさんの泥もかぶったに違いない。

それでも、「この世界にSMAPがいること」は観ている者だけでなく、彼ら自身にとっても希望なのだと感じた。

SMAPでいること」は、彼らの使命でもあったろうが、誇りであり、喜びでもあり続けのではないかと。

それでも、形あるものは変わるし、始まったものは終わるのか。

 

 スマスマの最終回。1曲だけのラストステージで、中居くんが間奏で5本の指を1本づつ折ってから開き、手を振ったアクションに、不意打ちで涙が出た。 

 切なさで途方にくれる一方、素晴らしい表現だとおもった。

受け取り方は人それぞれだろう。

 私は、5本の指を折る動きに「この5人でSMAPなんだ」という意思を、力強く掌を振るしぐさには、「いつか、またね」という希望も感じ取っていた。

 自分たちの関係性も、SMAPに対するみんなの思いも、なぜ、このフィナーレに至ったのかも……容易には言葉にはできない、中居くんのデリケートな思いも強く伝わってきた。

彼らが解散の理由や別れの挨拶を、生の言葉で伝えてくれないことに不満は募っていたけれど、無言を貫いてくれてよかったと、あの瞬間、思った。

 もう、二度とない時に、あんなに繊細なパフォーマンスができるなんて、トップ・オブ・トップアイドルってすごいな。

中居くんだけでなく、歌い終わった後のメンバー全員の表情や佇まいが、今も残像のように心に残っている。

かつて、一介のインタビュアーに語ってくれた彼らの中の"SMAP愛"は嘘ではないと思えた。今は続けられない気持ちでいたとしても、あの愛が消えたわけじゃない。

"さよなら"も"さよならの理由"も、彼ら自身が言葉にしなければ、嘘と真実、夢と現実の境目は永遠に曖昧なまま、希望をつなぐことができる。

 

 今年3月末、SMAP解散報道もいったん落ち着いた頃に、私はcakesのエッセイ連載で、木村拓哉さんについて書いた。彼にインタビューした時の経験も引用しながら、なぜ、木村拓哉は長らく女心を揺さぶるのかについて楽しく考察した。

このエッセイで書きかったことの一つは、「木村拓哉は嘘をつかない」ということ。

キムタクは、ファンタジーな存在だし、木村拓哉は夢を与えるスターだから、あけすけに本音を語ったりはしない。トップに上り詰めるほど、絶対に隠さなければならない秘密もあるだろう。

それでも、木村拓哉は、嘘はつかない人だとインタビューするたびに感じた。

木村さんは、言葉で直接的に言えないことや、ストレートな本音を、いつも表情やジェスチャーやメタファーに込めて表現して、伝えてくれた。

(具体例や詳細は、エッセイに書いています。会員制のメディアだけど、よかったら、全文を)

木村拓哉は、100均の女をお姫様に変える。 | 雑誌が切り取る私たち。――恋も仕事も思いのまま? | 芳麗 | cakes(ケイクス)
https://cakes.mu/posts/12625


本物のスターほど、つまらない嘘はつかない。

これは、20年近くインタビューという仕事に携わってきて、実感を持って言えることの1つだ。

あの夜の中居くんも、そう。 

つまらない事実よりも、胸にある真実を伝えるために、嘘ではない、美しい本音を伝えるために、ハンドアクション一つで、"表現"したのだと思う。 

女性誌「MORE」でインタビューと執筆を担当している二宮和也氏のインタビュー連載でも、偶然、今月号でそういう話をした。


100%の正解や真実なんてどこにもない。

アイドルとしての使命を全うするために、素顔や本音を不用意にさらすことはないけれど、一方、大切なことには正直に、自分にも他人にも極力、嘘をつかないように生きている。 だから、スターなのだ。

(SMAPの場合、その結果が、解散だったのかもしれないけれど)

SMAPはアイドルだけど、ダサい嘘はつかなかったし、ずっと戦ってきたグループだと思う。だから、初めてアイドルを超えたアイドルになりえたし、リアルな存在として、老若男女に敬愛されている(現在進行形)。

解散については何も言葉にしなかったけれど、彼らは最後まで嘘をつかずにいられた。

私的な本音を言えば、もっと観続けたいし、ずっと休むことなく続けてほしい。

メンバー間に険悪な時期があっても、いざこさがあっても、そんな波をいくつも飲み込むほどに、ますます面白く、魅力的になっていくのがSMAPだと思うから。

それでも、今は、しばしのお別れなのだ。 

同世代としては、SMAPは道標でもあるから、グループを離れたからといって、いきなりおじさんにならないでほしい。 

グループを離れても、身に染み込んだ"SMAP"を個々に漂わせていて。
そうして、私の心を、みんなの心をいつまでも、SMAPにとどめて欲しい。

スマスマの最終回を見て、あれから20年なのかと思った。 
 
あんなにも濃密で素晴らしい時間を重ねた先には、予測もしなかった"あのころの未来"があって、それが今なわけだけど。 

それなら、これからのSMAPの未来、私たちの未来だって、予測外だ。 

夜空のムコウで、いつかまた会えた時、SMAPも私も「僕ら目指していた場所へたどり着いたんだ」って思いになれていたら最高だ。