このところ小保方問題も含めて偽科学、偽医学の話がいくつも検証されるようになり、まあ要するに小保方晴子女史はインチキなのは仕方ないとして、それに近い微妙なのもたくさんあるよね、と専門家の間でしがらみなく話し合われることが増えた、というのは怪我の功名でしょうか。



 で、アメーバブログで「アトピーの赤ちゃんが産まれる意味・・・」というタイトルで快調に飛ばしている東海大学卒の田中佳さんという医師の話題がFACEBOOKで盛り上がっておりましたので、興味を持ちました。



 アメーバブログを直踏みすると皆様の閲覧履歴が汚れますので、不肖、この私が洋物の魚拓を用意しておきました。



アトピーの赤ちゃんが産まれる意味・・・ 田中佳先生のブログ

http://www.peeep.us/1369dd5f



D2



 冒頭から突っ込みどころが満載な感じです。個人的には楽しく読めたんですけれども、いきなりお産はデトックスとか言い出し、それが理由で母体が穢れていると生まれてくる子供がアトピーになるとかいう、アトピー患者の方から出産に不安を感じている層までほぼ全方位をコケにする素敵な論調が魅力的です。



[引用]

また、お産は最大のデトックスと言われています。

そうなると、赤ちゃんはどうするかな。

添加物食品やら、経皮毒やら、いろいろ毒を溜め込んでいて可哀想だ。

だから、お母さんの身体にある毒素を全部持っていってあげよう。

だって、幸せにしたいから。

「おかあさん、全部持って行くよ!」



そんな赤ちゃんが全身アトピー かも。

赤ちゃんは想う。

「おかあさん、どう? 身体は楽になった?」

「もう、身体に毒はない?」

「役に立てたかな?」


--



 「そんなわけねえだろカス。真面目にDDS研究やってる薬学研究者に土下座して謝れ」と言いたくなるのをグッと堪えて読み進めると、さらなる試練を読者に与えてくれます。


 食品添加物であれトランス脂肪酸であれ、確かに閾値を超えて摂取をすれば危険なのは当たり前ですね。とりわけトランス脂肪酸についてはかなり本気で身体に悪いんじゃないかと議論になっているぐらいですし。なので、今年に入って消費者委員会がトランス脂肪酸の表示検討が進んでおります。



消費者委員会がトランス脂肪酸の表示を検討 科学的な議論を望む

http://www.foocom.net/secretariat/foodlabeling/10923/



 どうもこの田中佳さんは、日本の消費者庁や消費者団体がそれなりに本件について議論していることすら知らないようであります。不安を煽る目的でずいぶん事実と異なる酷いことを書いておられますね。



[引用] アレルギーやアトピーの原因物質とアメリカでは断定されているけど。。。

日本でだけ「安全」って消費者庁が宣言しているだけなんだけど。。。


--



 しまいには、経皮毒です。偽医学以外の何者でもないネタが、まさか現役の勤務医から出てくるとは思いませんでした。



[引用] 経皮毒って知ってる?

化粧品って 染み込む 染み込む って 染み込ませてるよね。

化学合成の界面活性剤が顔や頭皮からジワジワ入るみたい。

化学合成だと人体が分解できなかったりするの。

せめて天然の界面活性剤にしない?

廃油石鹸とか、天然素材を選ばない?

--




 なんだよ、その「入るみたい」って。根拠のない不安を煽って何が楽しいのか分かりませんが、界面活性剤が自然由来だろうが化石燃料由来だろうが化学式が同じであれば人体に対する影響は同じでしょうし、物質の分子が大きければ皮膚経由で吸収しない(血管に流れ込まない)のも当然のことです。



 しまいには、なぜか重金属が身体に強い影響を持つほど入っていると仮定してのワクチン批判やら紙おむつ批判まで出てきてて凄い。



 で、恐怖新聞さながらにサイトを読み進めていくと「2014年4月からホメオパシーの学校に入りまして、ホメオパスを目指しています」とか書いてあるんです。ちょ、ホwメwオwパwスw 田中佳さんのSAN値がどうなっているのか心配なぐらいなんですが… ホメオパスの議論についてはNATROM先生の容赦ないエントリーがありますのでこちらをご参考いただくとして。



■[医学]ホメオパシーの有効な利用法

http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20100812#p1



 要するにホメオパスでの処方は薬学上は毒にも薬にもならない砂糖玉を処方し、その患者の思い込みによるプラセボ効果と自然治癒力を期待するというものであって、本来は現代医学とは敵対しないものでなければならず、あくまで事情があって補助的に使われるから代替医療としてイギリスその他で採用されているというのが実態なのであります。



 ところが、どうも田中佳さん、どこぞで呼ばれた講演会で現代医学をおおいに批判、大変な怪気炎を上げておられたように報告されております。



「発想の転換で元気に長生き」田中佳さん

http://www.peeep.us/09ee1ef7



[引用]

さて、この先生は医療に携わる人でありながら今回の講演では痛烈に現代の日本の医療について批判されていた。日本での医療技術は年々進化しているようだが、健康保険料は年々増加の一歩をたどり、下がっていく様子は見えないという。その中でもガンで死ぬ人が圧倒的に増えているそうだ。これは先進国では日本だけの傾向でアメリカやヨーロッパでは保険料は下がる一方でガン死も減っているという。



ガンの三大治療方法としては、手術、放射線治療、抗がん剤があるが、この治療によってむしろ70歳以上のガン死を増やしているとも話された。ガンの治療では結構放射線の被曝が多いという。今、福島原発事故で放射線の被曝が問題となっているが、既に日本人は大量の放射線を医療の現場で多量に浴びているというわけだ。


--



 読んでいるこちらがショックでガン死しかねない勢いで田中佳さんのヤバさにメロメロなんですけど。健康寿命があがり、ガン以外で亡くなる方が減っているから、生命のメカニズムに由来する各種のガンが主たる疾病となるほど日本人は長生きできているはずなんですけれども、なんかその検査をするための放射線さえも問題だ、とか言われると放射線科医師は涙目でありますね。



 さらには、田中佳さんはEM菌までご愛飲とのことで、ある意味でそっち方面のフルコースを満喫した気分になれるわけなんですけれども、もはやこれは武雄市送りにしたほうがいいんじゃないかと思えるほどの逸材だと認定できると思います。



『健康自立力』 田中佳(よしみ)先生の削除記事

http://yaplog.jp/moemoe-kensetu/archive/1561

EM飲料医師に全俺が泣いた

http://yaplog.jp/moemoe-kensetu/archive/1561



 そんな田中佳さん、横浜市にある「あかね台眼科脳神経外科クリニック」にお勤めのようです。元のお勤めの東海大学付属病院でのお話も関係者より若干耳にしましたが、その辺は置いておくとして。



診療医紹介 田中 佳 (日本脳神経外科学会認定専門医、日本抗加齢医学会認定専門医)

http://www.akanedai-eysn.com/01intro/noushingeka.html



D3



 正直、一連の言説を拝見しておりますと「予防医療」とか言ってる場合じゃないぐらい香ばしく素敵な世界になっているように思われますので、もう少しどうにかしてみていただきたいと切に願う次第でございます。



 ちなみに、田中佳さんの書き物をいろいろ読んでみて、一番グッと来たのはこの辺です。「お、おう」というか、何とも申し上げづらい読後感を味あわせてくれる作品に仕上がっておりますので、ぜひ分量を見極めてお目通しいただけると嬉しいです。



♡ 懸命に生きる貴方は素晴らしい

http://www.peeep.us/ef40c401



 こちらからは以上です。