がむしゃらに泳いだ。ただ一点だけを目指して。

気がつくと、ビーが僕に抱きつき、「ファンタスティーーック(たぶん)」と、叫んでいた。

勝った。屁のつっぱりはいらんですよ。
_20170124_211008.JPG



こうして、海から上がった僕は、彼らの車に乗せられて、少し離れたハンバーガーショップへと向かった。

車内で雑談をしていると、「ハンバーガー10個食べなきゃだめだからね」と、ビーがまたもやいたずらな笑みを浮かべた。

この笑みの意味を知るのは、ハンバーガーショップに着いてからのことだ。



車はすぐに止まり、どやどやと店内に連れ込まれた。そして、僕の目の前に置かれたのは、日本のマクドナルドのビッグマックの1.2倍くらいの大きさのハンバーガーだった。

「10個だよ」ビーがニヤニヤしている。

なるほど。そういうことね。

空気僕と彼らとの、第2Rのゴングが鳴った。
_20170124_214715.JPG



ふふふふ。なめるなよ。

かつて、マクドナルドが、ハンバーガーを65円という創業当時の値段で提供するという破格のキャンペーンを開催した時に、友達と食べくらべした時の記録が54個。岡名物わんこそばでの記録201杯。CoCo壱番屋での1300gカレーライス挑戦(今はやっていない)に、カツをトッピングしてペロリん。

そんなボチボチの記録を持つ僕に対して、ハンバーガー10個など、とるに足らないいたずらだ。



はずだった。。

異国の地に緊張しているのか、はたまた、これが本場アメリカ仕込みのハンバーガーの威力なのか、はたまた、二日くらいまともに食べていなかった事による胃の収縮か、7個目くらいから気持ち悪くて倒れそうになってきた。

しかし、ここは男と男の勝負と、心の中では勝手に思っている。今さら引くわけにもいかない

最後は気持ち悪くて、目を回しながらも、10個のハンバーガーを食べつくした。

そして、ホテルに帰った後、トイレでえらいことになったのは言うまでもない。と言いたいところだが、まだ残り日数がある中、せっかく体に取り入れた栄養素を吐いてしまうわけにはいかない。耐えに耐えて、消化に成功した。



4日目は、ハンバーガー10個をゲットして、夕方からは気持ち悪いのに耐えながら、言葉の分からないテレビを見ながら過ごした。

目覚めたのは夜中の3時頃。

外に出て、一人で夜の海を歩いた。肌寒い風が心地よく吹いてる。真っ黒な海を見ながら、日本はどっちだろうかなんて思うと、早く帰りたくて仕方がなかった。



キラキラと光る海が広がっている。毎日じ風景だけど、海というのは何日見ていても飽きない。それだけが唯一の救いだった。

また朝がやってきていた。

朝だ。僕は飛び起きて、水着をはくと外へ飛び出し、海へ向かって急いで走り出した。

約束なんてしちゃいない。だけど、彼らがまたいるかもしれないという期待に胸を膨らませながら走った。

一方的にかもしれないが、僕は彼らに小さな友情を感じ始めていた。もしかしたら外国でお金がなくて空腹という、極めて大ピンチによるドキドキによる吊り橋効果かもしれないが、そう感じていたのだ。

そして、真っ青な青空の下、彼らは昨日と同じようにそこにいたのだ。

別に僕を待っていたわけではないだろうが、とにかく嬉しかったしホッとした。

そして、砂浜に着いた僕を見るなり、ビーは開口一番こう言ったのだ。

「おはようツル!今日もハンバーガー食べるか?」

_20170124_214819.JPG



こうして、5日目の昼も飯にありつけることになったのだ。

僕は残り2日半、彼らがいれば大丈夫だとすっかり安心しきっていた。

残り2日半、ミネラルウォーターに使ったお金が5$。残り15$(ルームサービス代90$は未だ解決ぜず)

-つづく-




Twitter @TSURU8969
Instagram TSURU_STANCE_PUNKS
----------------------------------------------------------------------

STANCE PUNKS LIVE」
1.29(日)新宿JAM
2.04(土)郡山#9
2.05(日)名古屋「でらロック2017」
2.24(金)熊谷HEAVENS ROCK
3.05(日)八王子HACHIDORI2017
3.05(日)渋谷CYCLONE
3.10(金)福山MUSICFACTORY
3.11/12(土日)広島「MUSIC STADIAM-ハルバン´17」
3.11/12(土日)福岡「ONTAQ2017」
4.07(金)名古屋UPSET
4.08(土)渋谷STAR LOUNGE












不安の中、眠りについたのだが、起きてみるともうお昼をまわっている。ごそごそとカバンの中身を探ってみても、やはりビタ一文出てこない。

グアム島6泊7日、一人旅。只今3日目昼過ぎ、残り所持金35$(-55$)

僕の散々な旅は、まだ始まったばかりだ。今までの人世の中で8番目くらいの大ピンチ。



現状で抱えている大きな問題点は2つ。

ひとつ。残り6日の食糧問題。
ひとつ。既に使ってしまったルームサービス代金90$が財布に残っていないこと。

この2つさえクリアできれば、後のことは何とかなるだろう。



やはり、一番ヤバいと思われるのが、食糧問題。残り4日半を35$で乗り切れるほど、観光地の物価は安くはない。

ビーチから少し離れれば、多少は物価が安くなるような気もしたが、土地勘が無い上に、極度の方向音痴の自分としては、あまりそんな気にもなれなかった。

美人のお姉さんに声をかけられ、滞在中のご飯を全部奢ってもらう。これがベストだが、そんな楽しい事はまったく期待できそうにない。

ロビーで少し仲良くなった、日本人の女の子二人組がいたが、ご飯を食べに行ったところで奢らされるのがオチだ。

考えろ。考えるんだ俺。必ず突破口はあるんだ。何か必殺技があるはずだ。
_20170110_215405.JPG
 


とりあえず外に出てみる。腹ペコでも目の前には水色の海が広がっている。僕の手元にあるのは、日本から持ってきた小さなボディボードだけ。レンタルでサーフボードを借りようと思っていたのに、それはもう叶わぬ夢だ。

プカプカと海に浮かびながら、お金の無い不安から、望郷の念に強く駆られる。そうこうしてるいうちに、太陽は水色の海に沈んでいき、また夜がやってきた。

3日目は海に浮かんで、ハンバーガーを2つとコーラを飲んだだけで終わった。出費5$、残り所持金30$。



そして4日目の朝、腹が減りすぎて早朝に目を覚ました。部屋にいても何も始まらない。水着に着替え、ビーチに出ることにした。

そして、ここで僕はとんでもないミスを犯してしまった。

パーカーのポケットに入れておいた10$札を紛失してしまったのだ。さすがに自分のバカさ加減に呆れて、その場に座り込んでしまった。

残る所持金はいよいよ20$となった。本当に本当に大ピンチだ。

男のくせに泣きそうになった。誰か助けてください。誰か優しく抱き締めて、励ましてください。
_20170109_212326.JPG
    



涙目で砂浜を見渡すと、同じくらいの歳の若者4~5人のグループがいるのが見えた。

みんなサーフボードを抱えて楽しそうに話している。現地の若者らしく、日本人ではないようだ。

もうやけくそだ。

僕は英語も話せないくせに、ズカズカと彼らに歩みより、「ハーイ!」なんて声をかけてみた。

すると、その中の一人が「日本から来たの?」と流暢な日本語を話し始めたのだ!

これはチャンスだ。もう彼らと仲良くなるしか道は残されちゃいない!強い思い込みを発動させて、「日本から一人で来たんだけど、つまんないから一緒に泳ごうぜ。サーフィン教えてくれよ」と、フレンドリーな人格を演出して、一か八かの飯を奢ってもらう作戦を敢行することにした。



彼らはみんなとてもいい奴で、ボードを貸してくれたり、遊ぶ場所や飯のうまい店を教えてくれたりして、この日の午前中は、久々に不安を忘れて楽しく過ごすことができた。

時計は12時を回り、昼時がやってきていた。みんな海から上がって、飯でも食いにいこうか的な雰囲気になっている。

僕はドキドキしていた。彼らに談してみても大丈夫だろうか。確かにみんないい奴でノリも良い、しかしさっき会ったばかりの異国の民に、「お金が無いんだ、飯奢ってくれよ」などと、図々しい事を言われて気分を害さないだろうか?

せっかく友達になれたのに、なんだこいつと思われないだろうか?

迷った。とても迷った。

しかし、このまま餓死するわけにもいかない。そう、旅の恥はかき捨てなんて、良い言葉があるじゃないか。別に嫌われたって死ぬわけじゃない。

覚悟を決めて、すべての事情を話すことにした。



日本語を話すことのできる彼の事をみんなは「ビー」と呼んでいた。実際にビーかどうかは分からないが、少なくとも僕にはそう聞こえたので、この先は彼の事を「ビー」と呼ぶことにする。

ビーは、僕の話をニコニコしながら聞いていた。そして、話が全部終わると、他のみんなにそれを通訳して伝えてくれたみたいだ。

恐れていた事態はまったく起こらずに、むしろ、みんなのテンションは爆発的に上昇していた。

すると、ビーとは別の男子がヌッと前に出てきた。名前は分からない。ビーはおもむろに彼の事を指さすとこう言った。

「こいつに泳ぎで勝ったらハンバーガー10個だ!」



ほう。

ほほう。

そういうことね。

僕は心の中でニヤリと悪い笑顔を浮かべていた。サーフィンならやばかったね、非常にまずかった。だって彼らは毎日波に乗っていそうだったから。

しかし、泳ぎとなれば話は別だ。青春時代のほとんどすべてをプールで過ごしたんだ、そう簡単に負けるはずがない。

ただ、ひとつ問題なのは、競泳の4泳法の中で一番スピードが出るのはクロールだ。僕は平泳ぎの選手だったし、まずいことに4泳法の中では、如何んせんクロールがとても苦手だった。

だが、チャンスはやってきたのだ。弱音を吐いている場合じゃない。

頭の中では、もし負けたとしても、何だかんだ飯くらい食わせてくれるだろうなんて、甘い事も考えていたが、現実はどうか分からない。

勝ち取るしかないのだ!



ビーは、二人に説明をすると、再び海に入って50mくらい離れた場所で手を上げている。

ルールは至って簡単。ビーの所まで早くたどり着いた方の勝ちだ。

ハンバーガー10個の勝負だ。気持ちはもはや日本代表。僕には少しの油断も隙もまったく無かった。

そして、周りの友達がはやし立てる中、いよいよ勝負の時はやってきた。

「ヒューヒュー!ヒューヒュー!アーユーオーケー?」

「いつでも来いや!」

「レディィィィィィ!!!!!」

「ゴォッ!」

_20170109_212357.JPG

僕は、すべての力を魂に込め、砂浜を走り、真っ青な海へと飛び込んでいった。

-つづく-



Twitter @TSURU8969
Instagram TSURU_STANCE_PUNKS
----------------------------------------------------------------------

STANCE PUNKS LIVE」
1.13(金)熊谷HEAVENS ROCK
1.29(日)新宿JAM
2.04(土)郡山#9
2.05(日)名古屋「でらロック2017」
2.24(金)熊谷HEAVENS ROCK
3.10(金)福山MUSICFACTORY
3.11/12(土日)広島「MUSIC STADIAM-ハルバン´17」
3.11/12(土日)福岡「ONTAQ2017」
4.07(金)名古屋UPSET
4.08(土)渋谷STAR LOUNGE




























皆様、あけましておめでとうございます。

別に何もおめでたくはありませんのに、何故おめでとうなどと人は言うのだろう。などと毎年思ってしまうのですが、やはり私(ワタクシ)のやうな俗人などは、おめでたい気分で浮かれいる次第であります。

そういえば、私(ワタクシ)は年越しライヴが嫌いなので、長い間断り続けていましたら、いつしか誰からも誘われなくなりました。



毎年、新年から始めます禁煙ですが、今年はたったの二日半ほどで終わりました。ですが、昨年から取りかかっていました曲の歌詞が、昨日から今日にかけてたくさん進みました。

私(ワタクシ)は、たくさん嘘をつきますが、今年も私(ワタクシ)は私(ワタクシ)に嘘をつかない一年を送りたいと思う次第であります。

私(ワタクシ)は人である。



皆様、今年もよろしくお願い致します。

賀正。



Twitter @TSURU8969
Instagram TSURU_STANCE_PUNKS
----------------------------------------------------------------------

STANCE PUNKS LIVE」
1.13(金)熊谷HEAVENS ROCK
1.29(日)新宿JAM
2.04(土)郡山#9
2.05(日)名古屋「でらロック2017」
2.24(金)熊谷HEAVENS ROCK
3.11or12(土日)福岡「ONTAQ2017」
4.07(金)名古屋UPSET


↑このページのトップへ