LINE BLOGをリリースして今日で一週間。ご意見ご要望お叱りを頂戴するところも多く、まだまだ緊張がほどけないところでありますが、ありがたいことに、楽しんでお使いいただけている様子をご報告いただいたり、過分にお褒めいただくこともあり、サービス運営者冥利に尽きるお言葉をいただけています。これらすべて、みなさんのご期待の現れだと思いますので、それに応えられるよう今後もがんばりたいと思います。

と、謝辞はここまでで、ここからは、専門的なめんどくさい話になります。ブログというサービスに特別な興味がない限りどうでもいいことを語ります。

けんすうさんや堀さんが、LINE BLOGのことを次のように評してくれました。すでに読まれた方も多いと思います。


これについては、異議を唱えるような間違いは含まれていないんですけども、正直に申し上げて「そうだ、その通りだ。よく言ってくれた!」と肩をつかんでガクガクいわすほど我が意を得たりと思ったわけでもないんですね。
ご紹介いただけたことには感謝しかなく、過去のブログサービスの文脈をふまえてLINE BLOGのねらいを解説したくだりはさすがだなの一言なのですが、中の人としてはもう一言を付け加えたい。このあたり非常にめんどくさい心理になっており、どうかご容赦ください。

構造化について
企画段階では、ブログサービスの機能なんてどれもほとんど違わないし、いまさら世に問う意味なんてあるのかと、そういう声はありました。自分の中にも少なからずありました。
でも、できあがったLINE BLOGの細かいところを見ていくと、ちょっとしたところに多くの違いがあることにお気づきいただけると思います。
  • ブログ内カテゴリがない(グローバルなハッシュタグしかない)
  • 月別アーカイブがない(タイムラインしかない)
  • 前後の記事へのリンクがない(記事の独立性が高い)
これらの機能は、これまでのブログにはあって当たり前のものでした。堀さんのいう「ブログ1.0」の衝撃のひとつはまさにこのあたりにあり(もちろんそれだけじゃないんですが)、自分の知識をウェブに構造化して置いておける、しかも簡単に、というところが優れていました。
余談ですが、ブログ黎明期から現在まで活躍する「Modern Syntax」というブログは、この現代的構造への感激から名付けられたもので、その構造はもちろん現在も有効です。
でも、LINE BLOGではあえてそれをやめてみました。

文字装飾について
もうひとつの違いが、文字の装飾に関わるところです。
  • リッチな絵文字
  • リッチなウェブフォント
このどちらも、機能としては目新しいものではありません。それどころか、一度忘れ去られてしまっていた感さえあります。

スマホが登場してから世界中の人たちが絵文字をどんどん使いはじめていったとき、ガラケーの文化をひととおり経験してきた私たち(サービス企画者やブロガー)はその価値をちゃんと評価できていなかったのではないか? と思いますし、ウェブフォントもいまいち流行しなかった過去の遺物と思ったりしてませんでしたか?

あるいはそうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。スマホの液晶が高品質になり、通信が高速化したとき、これまでよりリッチな絵文字やウェブフォントがこれまでとは違う体験をもたらすかもしれない、と考えてLINE BLOGはそこにこだわってみました。

スマホ限定について
そして最後にあげる違いが、スマホからしか更新ができないところです。
ここには予想外に大きな反響がありました。不便だからPCでも編集できるようにしてくれという声もありますし、なにか深謀遠慮があるのだと深読みしてくださる方もいます。
こんなことを言うと考えなしみたいに聞こえるかもしれませんが、いまやどんなサービスもスマホから使われてるんだからそれで問題ないだろうと思っていました。現に、それが当たり前の人からはなんの声もあがっていません(当たり前なんだから偉そうに言うことでもないですね)。
ただ、スマホだけに限定することで、これまでとは違ったブログが登場するのではないかとは期待していて、それは好ましいものになるだろうというねらいはあります。これについてはこのあとのまとめで書きます。

まとめ
ちょっとしか違わないのに、ずいぶん違うのはなぜなのか。私が思う結論は、LINE BLOGがその根本に「語り」を重要視したコンセプトを持っているから、です。

そのインサイトを得たきっかけについて、そのときどきに個人的な記録を残してきたので、ちょっと冗長になりますが振り返ってみたいと思います。

まずは2012年12月。スマホから8万5千文字の小説を書ききったときに感じたことです。


ポイントを抜き書きします。

「文字入力のスピードを難点にあげる人がいるが、よく考えてみてほしい。文章を書くのにもっとも困難なのは、肉体的な文字入力でなく、脳内の文章作成だということを。それに必要な集中力と考える習慣を、スマホは与えてくれる。
80年代、手書きかワープロかという論争があった。今後もし、PCかスマホかという論争が生まれるとすれば、僕は以上のような理由でスマホを支持したい。
それに、スマホから長文を書く新世代があらわれてくるというのは、わくわくするような未来ではないか。それはきっと、文芸が僕たちの手もとに帰還するときかもしれない。」

えらい張り切っていて少し恥ずかしいのですぐ次にいきます。この約1年後、2013年11月に「ウェブ時代の文章読本」というイベントをやったときのものです。


ポイントを抜き書きします。

「現代は口語の範囲がウェブを代表とするさまざまなインターネットメディアによって爆発的に広がっている時代です。メール、掲示板、チャット、ブログ、ツイッター。もしかするとブロガーというのは、それらあたらしい口語と、伝統的な日本語との折り合いをつける技術に長けた、新世代の日本語技術者なのではないか? 2013年に新しい文章読本が書かれるとすれば、それは小説家によっではなく、ブロガーによってではないのか?」

これまたえらい張り切ってますが、イベントの参加募集の前口上なんで許してください。そして最後、これまた約1年後の2014年10月にバイラルメディアについて書いたものです。


ポイントを抜き書きします。

バイラルメディアを実践してわかったのは、これはウェブのコンテンツをボット中心から人間中心に引き戻すムーブメントだということ。
人間中心のメディアを目指すときに有効なテクニックは、新しそうに見えて古いものばかり。過去のメディアの試行錯誤の遺産から学べることが数多くあるし、技術介入の余地が広大に残されています。(中略)
書き手ではない第三者がバイラルメディアというバズワードに期待したり失望したりするのは勝手ですが、書き手はそれに惑わされちゃいけません。人間中心の時代へのゆり戻しを楽しまなきゃ。私はそれにワクワクしながら、事業としても個人としてもメディアをやっているし、読者はそれを正直に評価してくれていると感じます。」

何かに憤ってますが、何に憤っていたかは忘れました。まあそれはいいとして。

これまでのブログというのは、人間が機械のほうを向いて書き言葉で知識を構造化するデータベースとしてのブログのほうが過剰に評価されていました。ともすると、芸能人ブログやガラケー的なブログの偉大さを、みんな過小評価してしまっていませんでしたか?
でもLINE BLOGは、人間が人間に向けて話し言葉で感情を語りかけるナラティブとしてのブログを目指しています。そのどちらが優れているという話しではなく、それぞれ違った価値観を持っているということです。

短文型のTwitterと、長文型のデータベース的ブログと、その間を目指したサービスなのだろうという分析もありますが、文章の長短は本質的な対立軸ではありません(こんな風に長くも書けるわけですからね)。
それよりは、それが「語り」かどうか、「語りをより促進させるものかどうか」ということが、重要だと思っています。

そういえば誰かが、「LINE BLOGってポエムに向いてるな」と言ってくれました。

まさに!

その誰か(3名ほど観測しました)に会ったら、肩をつかんでガクガクいわせたいくらい我が意を得たりといった感じです。

だからといってなにも詩やポエムを詠んでほしいと思っているわけじゃないんです。書くものはなんでもいいんです。ただ、スマホをにぎってLINE BLOGのアプリに向かっているときに、自然と素直な心情が湧き上がってきてそれが適切に表現できるとしたら、こんなにうれしいことはありません。本当に、心のそこからうれしいことです。

書くのって、めんどくさい。
でも。
書くことでしか伝えられなかった。
そういうことって、あると思います。

長くなりましたので今日の所はこの辺で