日本のサッカーファンには “ジャガー”の愛称で知られる俊足フォワード・浅野拓磨選手。2016年はサッカーU-23日本代表としてリオデジャネイロ五輪を戦い、そして日本代表(A代表)でもロシアW杯最終予選においてゴールを記録。9月からは独ブンデスリーガ2部に戦いの場を移し、11月28日の試合で1ゴール1アシストの活躍を見せました。次々と大きなステージへ駆け上がっていく原動力は何でしょうか。その速さ、強さの秘密に迫ります。

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――2016年はAFC U-23選手権カタール 2016(リオデジャネイロ五輪最終予選)に始まり、J1リーグ、リオデジャネイロ五輪、ブンデスリーガ2部、ロシアW杯最終予選に出場。これまでの選手生活で最も多忙な1年だったのでは?

いろんな経験ができた年でした。めまぐるしかったのはリオデジャネイロ五輪の後、8月後半ですね。リオから日本に帰国し、数日間滞在した後にシュツットガルトへ行きチームに合流。さらにA代表の合宿があり、また日本に帰ってきたんです。



――新天地となるドイツ。そこでは多くの日本人選手が活躍していますが、その理由をどう見ていますか。


いろいろな要因があるとは思うんですけれど、日本人選手の俊敏性が生かせるのではないかと。FW(フォワード)について言えば、自分のようにスピードを武器にして相手DF(ディフェンス)の裏を突くというスタイルは有効ではないかと感じていました。



――実際に2016年9月からドイツでプレーして、そのイメージ通りでしたか。


イメージ通りではありましたけれど、やっぱり行って肌で感じることが大事だと痛感しました。選手の大きさ、強さ、激しさなど。改めてサッカーの難しさを感じていますし、環境にも慣れていかないといけないな、と。



――Jリーグでのサッカーよりも、いま挑戦しているサッカーの方が難しいですか。


頭を使うという意味では、サンフレッチェ広島でのサッカーの方が難しかったかもしれません。日々の練習でも本当に頭がパンクしそうなくらい考えていましたし。いま臨んでいるブンデスリーガ2部でのサッカーはシンプルである一方、別の難しさがあります。相手の寄せが速かったり、身体が強かったり。判断を迷っているとボールを奪われてしまいます。



――環境面に関して、同じチームに所属する細貝萌選手の存在は大きいですか。12月1日のLINE BLOGではホーム戦初ゴールの喜びとともに、食あたりになってしまい細貝選手の奥様にお粥を作ってもらったというエピソードをご紹介されていましたね。

そうなんです。細貝さんにはよくお世話になっていて、ご飯も週1〜2度は招待していただいています。



――そういえばドイツでは自炊も?


いやあ、たまにはするんですが(笑)

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勝利に貢献したい! いつも忘れないのは“感謝”の気持ち


――忙しいでしょうし、なかなか大変ですよね。浅野選手のLINEスタンプも発売予定ですが、どんな人たちに使って欲しいですか?

男女問わず幅広い人に使ってもらえたらうれしいですね!



――ご自身ではスタンプを使いますか?


使いますよ。初めて購入したのはサンフレッチェ広島の公式スタンプでした!



――そのサンフレッチェ広島時代の仲間ともLINEで連絡を?

先日、佐藤寿人さんの移籍が発表された時はLINEで連絡しました。2013年に僕が広島に入団したのも、佐藤寿人という大きな存在があったからこそですし、寿人さんの背中を見て頑張ってくることができたので、その感謝の気持ちを伝えようと。「まだまだ寿人さんの背中を見て学ぶべきことがたくさんあるので、チームが変わっても引き続き頑張ってください。僕ももっともっと頑張ります」とお伝えしました。



――すてきな関係だということがうかがえます。では2017年、どのように頑張りたいですか。目標をお聞かせください。

まずは自分のチームで全然結果を残すことができていないので、もっと勝利に貢献してシュツットガルトを1部に復帰させたいです(浅野選手がプレーするVfBシュトゥットガルトは1部優勝経験も持つ強豪だが、2016-17シーズンは41年ぶりに2部で戦っている)。そして、その先にA代表に定着すること、ロシアW杯への出場、本来の所属クラブであるアーセナルへの復帰ということがあると考えています。



――A代表で活躍すること、アーセナルの一員としてプレーすることが中長期的な目標ですね。それを見据え、ライバルや目標とする選手はいますか?

ライバルだなんて言える立場ではないですけれど、追い越さなければならないと思っている選手は岡崎さんです。FWとして「追い越したい」ではなく「追い越していかないといけない」と思っています。



――意図的に自分を追い込むことで、これまで夢や目標を実現してきたのでしょうか。

トレーニングや生活面では自分を追い込むというか、常に100%でやることを意識してきました。サンフレッチェ広島で佐藤寿人さんの背中を見て学んだことでもあります。ただ、それでも試合ではうまくいかないこと、なかなか自分のプレーが出せないことがどうしてもあるもの。そんな時、支えになるのが「感謝」の気持ちです。



――LINE BLOGでもほぼ毎回、締めに『感謝。』と記していますね。

はい。僕の一番大事にしている言葉です。家族への感謝、応援してくれる人たちへの感謝、そしていろんな物事への感謝を意識し、LINE BLOGにいつも書いています。


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“感謝”を力に変えて進んでいく

――7人兄弟の三男として育った浅野選手は、とてもご家族思いだと聞きます。支えてくれた人たちへの感謝が支えになっているのですね。


家族、特に両親に対しては感謝してもしきれないくらいですから。ただ、それを口で言うだけで終わらせたくない。両親をはじめ、サポートしてくれている人たちに恩返しできるようにサッカーを全力で頑張るという思い。これを力に変えてきました。そして自分のゴールで笑顔を届けることができれば、それがまた力になっていく。そういったことの繰り返しで、ここまで来たんじゃないかなと。だから感謝を力に変えた時に初めて夢へと向かっていけると思っています。そういう気持ちが大事だと、1年ほど前に母校の四日市工業高校を訪れた時にも後輩たちに伝えさせてもらいました。



――感謝を力に。それを示すことができた試合を挙げることはできますか。

そうですね…。AFC U-23選手権カタール 2016の決勝だと思います。



――1月26日の準決勝でリオデジャネイロ五輪出場を決めた後、30日に韓国を破って優勝した一戦ですね。(浅野選手は後半15分から出場し、2ゴールで勝利に大きく貢献)


あの大会では決勝まで何もできていなかった。でも結果を出せていない自分を信じて使ってくれた監督、一緒に戦ってくれたチーム、そしてスタッフにとても感謝していました。応援し続けてくれたすべての人たちにも…。そんな中、準決勝の日に祖父が亡くなったんです。そうしたこともあって決勝戦にかける思いは強かった。五輪出場は決まっていたけれど、幸いなことにもう1試合、アピールできるチャンスが残っているという意識で準備していました。「絶対みんなに笑顔を届けよう。俺がゴールを決めて優勝しよう」という気持ちがすごくあって。



――そして2点を追う後半途中からの出場。力が入りはしませんでしたか。それとも冷静に入ることができましたか。


あの時はだいぶ冷静でした。「俺が出て1点取れば全然違う試合になる。まず1点」と思ってピッチに入りました。その6分後に1点目を取った時、案の定、流れが完全に日本のものになりましたね。同点に追いついた時は明らかに「俺らがいけるだろう」という雰囲気になり、逆転できました。印象深い試合です。



――まさに感謝の気持ちを形にできた一戦だったのですね。あの時のように今後も大一番でゴールを奪い、ぜひお得意のジャガーポーズを見せてください。シュツットガルトではもう定着しましたか。

いえ、まだまだです。現地では虎だと思われている節があって、先日もスターバックスコーヒーの店員さんが僕のカップに“Tiger”と書いてくれました…。



――なんと! ジャガーのように疾走する姿をもっともっとシュツットガルトのファン、サポーターに見てもらわないといけないのですね。現地で「ジャガー」と呼ばれた暁には、ぜひLINE BLOGで教えてください。ありがとうございました。


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浅野拓磨 公式ブログ

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笑顔も人柄も爽快感あふれる浅野選手。時折視線を落とし、自分に確認するように言葉を選ぶ姿から誠実さがうかがえました。一方、LINEスタンプ用の写真撮影では意外にカワイイ一面(!?)も披露してくれたので、リリースをぜひお楽しみに。

会いたい "あのひと" を身近に ―― LINE BLOG。
支えてくれる人たちへの感謝を自分の力に変えた時、初めて夢への道が開けてくる!
それでは、また。

(撮影/木村直軌、取材・文/辻内圭)