歌手・女優として活躍中の前田敦子さんが、ファーストアルバム『Selfish』 をリリースされます。過去5年間のシングルも収録され、歌手・前田敦子の歴史を感じることができる1枚となっています。歌手活動5周年への思いから、AKB48メンバーへの気持ちなど、あっちゃんの今がわかるスペシャルインタビューをお届けします。

IMG_0031


――ファーストアルバムがいよいよ発売になりますが、5年前にリリースされたシングルから最新曲まで入っている盛りだくさんのアルバムですね。ご自身ではどんなアルバムに仕上がったと思いますか?

曲順が過去のものから順番にたどっていけるようになっているので、頭から聴いていってほしいです。素直な私の5年間がつまっています。



――過去のシングルの表題曲が4曲収録されていますね。『君は僕だ』 は私も大好きです!

ありがとうございます! ファンの方からも人気が高いんです。あと『タイムマシンなんていらない』 も人気です!



――先日のリリースイベントでも歌われていましたよね。人気投票をされて。

そうなんです。Twitterで投げかけてみたら、すごくたくさんの人が投票してくれて、うれしかったです。



――新曲についてうかがっていきたいのですが、『Selfish』 は今までの前田さんのイメージを打ち破る曲だなと思いました。

この曲は、ドラマ『毒島ゆり子のせきらら日記』 からスタートしています。ドラマで主題歌を歌わせていただくことになって、秋元さんが書いてくださると。上がってきた曲の中から秋元さんが何曲か選んで、そこから最終的にドラマのプロデューサーと監督が『Selfish』 に決めてくれました。歌詞は秋元さんがドラマの脚本に沿って書いてくださったので、ドラマの内容にぴったりの曲になりました。



――ゆり子はエキセントリックなキャラクターで、前田さんにとっては女優としても新しい挑戦だったのでは?

そうですね。今回のような役をやらせていただけることって、なかなかないなと思います。この年齢で、ひとりの女の子の人生をあそこまで必死に演じることができたのは、自分の中でも大事なポイントになりそうな気がしますね。



――歌詞も本当、ゆり子そのものですよね。「キスしても深い意味はない」 とか。

そうなんですよ。『Selfish』 の歌詞は、人間の欲望の塊を表現していて、「女の子も実はこんなことをしたい!」「こんなことも思っているんだよ」 という歌かなと思うので、歌っていても気持ちいいです。



――女性の中にもこういう気持ちってあるなぁと思いました。

ありますよね、絶対(笑)



――もっと自由に恋愛したいなぁとか。

束縛をしちゃう女の子もいると思うんですけど、束縛するのだって辛いわけじゃないですか。本当はもっと自由に全てを解放して、自分勝手に恋愛したいですよね。



――したいです、本当は! それを隠して、みんな良い子でいようとしているところ、あると思います。


ありますよね。まさにそういう気持ちを歌っている歌だなと思います。

IMG_0084


自分の声はあまり好きではないんです

――そして新曲が『絶望の入り口』『やさしいサヨナラ』『わがままなバカンス』 と入っています。特に気に入っている曲はありますか?

『やさしいサヨナラ』 が好きです。バラードは歌うのも聴くのも好きなので。今回も秋元さんがこの曲を用意してくれたので、初めて聴いたときにはテンションがあがりました。



――歌っていて、感情をのせやすい曲ですよね。


そうですね。秋元さんって本当にすごいなと思います。秋元さんが書いてくれた歌詞の意味を考えながら歌うのがすごく楽しいですね。



――秋元さんが書かれた歌詞に前田さんが意見されることもあるのでしょうか?

それはないです。仮歌も入った状態の曲を送っていただいて、レコーディングするために聴きながら覚えるという感じですね。AKB48のときからそうです。



――『Selfish』 のアルバムにはいろいろな女の子の気持ちが書かれていると思うんですけど、歌うときは別人の女の子をイメージして歌われているんでしょうか?

誰かになりきって歌うというよりは、その歌をどういうニュアンスで歌うかという、声を考える作業はしますね。



――声の出し方だったり?

そうですね。その曲を無理なく歌える声を探すためには、レコーディングをしながら秋元さんに一緒に考えてもらって、最後に形になったものをもう一度歌う、というやりかたをしています。



――なるほど。今回、歌うのが難しかった曲はありますか?

『Selfish』 は1回歌い直したのですが、レコーディングが終わったあと聴いてみて、秋元さんに「もう1回歌い直したいです」とお願いしました。秋元さんも「それはいいと思う。やったらいいと思うよ」 と言ってくださいました。



――最初はどんな感じで歌われていたんですか?

もっとサラッと歌っていました。聴いてみて、メリハリがないかなと思って。でも変にクセをつけて歌うのもそれはそれで違うと思ったので、その中間くらいを狙って再度レコーディングしました。



――艶っぽい歌声だなと思いました。前田さんの声は透明感があって、かわいくて、他にない声だと思います。

いやいや、私は自分の声が好きじゃないんです。今はもう慣れましたけど、デビューしたてのころ、自分がしゃべっている映像を見たときの衝撃は忘れられないですね! 



――えええ。好きじゃないんですか、自分の声。


女の子っぽい声に憧れます。



――でも歌を聴いてもすぐわかりますよ、前田さんの声だって。

それ、街中で気付かれるポイントですね。ふつうに大きい声でしゃべっちゃうので。私、変装とかもせずにこのままでいるので。このあいだは、ひとりで街を歩いていたときに、サイン色紙を持ってきてくれた男の人がいました。信号待ちのときに見つけてくれたみたいで。タクシーを待っているときにも、サラリーマンのおじさんが「あ、あっちゃんだ! 握手してよ」 って言ってくれて、握手したりしています。


IMG_0057


安心できる場所を作ってくれるファンの存在

―― 『Selfish』 はアルバムタイトルにもされましたけど、どういうお気持ちでタイトルに選ばれたのでしょうか?


『Selfish』 の1曲からアルバムを作ることになったので、すごい存在だなと思って。違うタイトルも候補としてはたくさんあったんですけど、『Selfish』 って言葉は聞いたことがなくても、耳に残る言葉ですよね。意味も「自由奔放」 とか「自分らしく」 という意味もあるので、このアルバムにはぴったりかなと思ってつけました。



――「自由奔放に」「自分らしく」 現代の女の子が憧れる姿、って感じですよね。

いいですよね。秋元さんって本当にすごいなと思いますね。どこからこの言葉を見つけてきたんだろうって(笑)



――主演ドラマや映画も続々と公開されていますけど、歌手と女優のお仕事はご自身ではどうやってバランスを取っていらっしゃるのでしょうか?


歌手のほうは本当に無理なくやらせていただいていて、もしかしたら一番わがままにやらせてもらえている活動かもしれません。CDを発売するときには、ファンの方も待ってくださっていて、手にとってくれますし。「いつでもいいよ」 という環境をファンの方々が作ってくれているので、それに甘えさせてもらっている感じですね(笑)



――ファーストアルバムということで、ファンの方々にとっては待ち望んでいるアルバムですよね。

最後にシングルを出したのが2年前なので、そういう部分ではかなり申し訳ないなって思います。でも出したら、みんなウェルカムでいてくれるので、本当にみんな頼もしいです。私にとって安心できる場所になっています。



――ずっとデビュー当時からついてきてくれているファンの方々もいらっしゃるでしょうし。

いますね。先日もハイタッチ会を久しぶりにやったんですよ。AKB48の初期のころから応援してくださっている方たちがたくさん来てくれて、びっくりしました。たぶん、10年くらい前からいるんじゃないかなっていう方が来てくれて。みんな歳を重ねられて(笑) それが面白くて。友だち感覚になっちゃうんですよ。「あー! いる! やっほー!」 って言いたくなります。そんなふうになっちゃう自分も面白くって。AKB48って本当にファンの方々と近い存在で活動してきたので、そういう方たちがいまだに来てくれるというのが、AKB48の面白さであり、歴史なんだなと感じました。



――なんだか親戚のおじさんみたいですね(笑)


お父さんくらいの年齢の方もけっこういますしね。面白いです。



――ソロ活動も今年で5周年ですけど、振り返ってみていかがですか?

自分の芸能界人生としても5年というのはちょうど半分の節目なので、感慨深いですね。今年で芸能活動を始めて11年になり、年齢も今年で25歳になるので、すべてがキリがいい感じです。ここまでの自分の歴史をこのアルバムによってきれいに整理できた気がします。整理整頓して、「よし! 次に行こう!」 という気持ちになっています。



――AKB48に入る前やAKB48として活動している最中に思い描いていた、なりたい自分像に今、近づけている感じですか?

私はずっと、何になりたい、とかあまりなくて。ざっくりとした夢は、この仕事をずっと続けていきたいということだったので、夢がかなってうれしいですね。



――総監督だった高橋みなみさんもついにAKB48を卒業されましたけど、初期メンバーの卒業は外からご覧になられていかがですか?


初期の子はやっぱりすごいって尊敬しますね。にゃん(小嶋陽菜) とか、みーちゃん(峯岸みなみ) はいまだに現役のアイドルとしてがんばっていますしね。にゃんは今年28歳でしょ? すごいなって思います。(※小嶋さんは6月18日のAKB48総選挙で卒業を発表)



――小嶋さんも全然変わらないですよね。

かわいいんですよ。あとほぼ同時期に入ったメンバーで変わらないのは、ゆきりん(柏木由紀) とまゆ(渡辺麻友) ですね。ゆきりんは私と同い年ですし。アイドルというものを全うしていて、そのマイペースさがすてきだなと思います。それぞれの立ち位置が卒業メンバーを含めてできてきている気がして、うれしいです。一斉に「よーい、どん!」 で走ってきましたけど、今はそれぞれが、それぞれの場所にいる、という感じです。


IMG_0067


ソロになってから、野生の本能が働くようになった


――前田さんは『an・an』 のダイエット特集で美しい肢体を披露していたり、どんどん大人に、きれいになっていますね!

そうですかね。前髪もいまこんな感じですけど!(笑)



――その前髪もかわいいですよ(笑) 今年25歳ということで、ご自身で大人になったなぁと思うときはありますか?


人とのコミュニケーションができるようになったって思いますね。10年前の自分では考えられなかったので。今でも人見知りはしますけど、人といて楽しいって思えること自体が成長したなぁと思います。



――それはソロになってからなんでしょうか?


そうかもですね。



――やっぱり一人でやっていかなきゃ、という気持ちからなんでしょうか。


そうでしょうね。野生の本能が働いてるのかな(笑)



――お仕事に対しても、よりアグレッシブになりました?

そうですね。いろいろなことに欲も出てきました。あとコミュニケーションでいうと、人と話すことが一番、何かを吸収して生きてるなっていう感じがします。だから、いい方々とつながれているということが、すごく糧になっていますね。そういう人たちに成長させてもらっているなと感じます。



――美容面に関しても気にされていることはありますか?


健康オタクかもしれないです。運動はあまりしないので、運動しないでいかに元気で過ごせるかという方法を考えています(笑)



――そんなに運動したくないんですね(笑)


あはは! 動くのが嫌いなんですよ(笑)



――でも食べるのは好きっておっしゃってますもんね。


好きなんです! ずっと食べちゃうので、食べるものを選ぶようにはしています。食べることは制限したくなから、カロリーが低いものを一番好きになるようにしています。



――なるほど! では最後に『Selfish』 のアルバムについて、あらためて聴きどころを教えてください。

まず表題曲の『Selfish』 はサビの訴えかけている部分が聴きどころです。恋愛したことがある人なら、誰でも感情移入できる曲だと思うので、カラオケでみんなで盛り上がって歌ってほしいですし、ひとりで真剣に歌うのもよし、いろいろなシチュエーションで浸って、聴いてほしいです。アルバムについては、名曲がいっぱいで。何度でも聴いてほしい曲を自分で選ばせてもらっているので、歌詞を深く見ながら、聴いていただけたらうれしいです。



――ありがとうございました!


IMG_0055

IMG_0053


IMG_0036

IMG_0054

前田敦子ファーストアルバム『Selfish』 公式サイト

くるくると表情が変わり、楽しいときには本当に楽しそうな顏をする前田さん。天真らんまんな生き方が歌にも出ていると思いました!

会いたい “あのひと” を身近に ―― LINE BLOG。

「自分らしく」「自由奔放に」 生きていけたらいいですね!
それでは、また。

 
(撮影/奥田耕平、取材・文/Mikity)

バラエティーはもちろん、女優としてもひっぱりだこなグラビアアイドル・ 橋本マナミ さん。

1997年「第7回 全日本国民的美少女コンテスト」での入賞をきっかけに芸能界デビュー。
「愛人キャラ」が注目され、4月クールのドラマ『不機嫌な果実』ではベッドシーンを含む大胆な演技で話題をさらいました。

7月クールでも、引き続き恋愛ドラマ『せいせいするほど愛してる』(TBS系)に出演だそうで、楽しみですね。




そのフェロモンあふれるたたずまいは「国民の愛人」と称されるほど
ダイナマイトなボディだけじゃなく、ちょっと天然ボケが入ったユルかわいさが人気の秘密です。




モデルのこんどうようぢさんと、番組の企画で2泊3日の”おためし同居生活” を
”絶食系男子” と”肉食系女子” という、今どきだけど正反対のペアリングは話題になりました。




7月からは、NHK大河ドラマ『真田丸』にも細川ガラシャ役で出演
大河ドラマには13年前『武蔵 MUSASHI』に小さな役で出演したことがあり、とても感動したそう。
「いつかここに戻ってきたい! 」と決心して、日舞や着物の着付けを習うようになったとか。
念願の出演に期待もふくらみます




雑誌『smart』では、セクシーイメージと180度違うストリートファッションを披露。
自慢のボディラインをあえて封印して、新しい世界にチャレンジ!  




ブログにはオフショットがいっぱい
さすが「国民の愛人」!
さりげないしぐさまで色っぽいのがたまりません

ファンからの差し入れの豆大福を「いただきまーす」




椅子に座って台本を読んでいる橋本さん。
見えそう……で見えない絶妙な座り方




7月1日にはDVD付きフォトムック『タイムストリッパー』が発売されます
原始人や戦国時代のお姫様、宇宙タイムパトロールなど、時空を超えたセクシーヒロインというコンセプトの写真集なのだそう。
また、橋本さんの新しい面が見られそうですね



橋本マナミ 公式ブログ


友だち追加


会いたい “あのひと” を身近に ―― LINE BLOG。
フェロモンを出す簡単な方法は「恋をすること」だそうですよ

(文/オカヂマカオリ)

北海道警察を舞台に、実際に起こった“日本警察史上最大の不祥事”をベースに制作された『日本で一番悪い奴ら』(白石和彌監督) が、6月25日(土) に公開されます。破天荒な主人公・諸星要一の四半世紀を演じた綾野剛さんに、映画の見所や撮影エピソード、演技への熱い思いを語っていただきました! 

_02A0050


――本作品は、実際の事件をモチーフにした、かなり衝撃的な問題作です。初めて脚本を読んだとき、仕事を受けることについて葛藤はありましたか?

そもそもこの映画をやろうと思ったきっかけは、白石和彌監督の映画だったからです。プロットを読んでみたら、「拳銃200丁、覚せい剤130キロ、大麻2トン、『日本で一番悪い奴ら』」 って書いてあったのでこの仕事を受けようと思いました。



――ちょうど悪役がやりたいと、思っていたのでしょうか?


いえ、僕は役者の中でも、作品の中で400人くらいは殺してきているので、今更、そんな理由ではないです。ただ世の中、イケメンが学生服を着たら良し。みたいな映画が多いですよね? 



──そうですね、この映画とは真逆の内容ですね。


僕はそういう映画も見ますし、すごく好きなんですが。ただ、そういった映画は対比するものがなければ美しく見えない。だからこそこの映画に出たいと思いました。また同時に、今は劇中にもかかわらず犯罪者でもシートベルトをしなければいけない時代でそういうことをできるだけ排除していこうという志向が非常に強い作品なんです。「こういう映画に出るというお話をいただけるのは、今だけかもしれない」 と感じられたのも決め手のひとつです。



――実際の事件の当事者で、原作者でもある稲葉圭昭さんにもお会いしたそうですね。演じる主人公のモデルに会うという感覚は、いかがでしたか?


稲葉さん自身はすごく色気のある方で、相当モテていたと思います。すごく純粋で、まっとうな方だなというのが、僕の印象です。ただ、いろいろなことを素直に貫き通し過ぎたのかなと思いました。映画では実際に稲葉さんがやったことを、かなり細かいところまで再現しています。



――お会いしたことは、役作りの参考になりましたか?


役作りそのものに影響はありませんでした。お話しをしてみると稲葉さんが諸星みたいに怒ったこともあったらしいのですが、実際は声が低くて、とつとつとしゃべる方です。生きている方の人生を映画の中で僕が生きるというのは、ある種とても異常なことです。稲葉さんの経歴をお借りして、新しい人物を作って演じました。


_02A0021


犯罪を青春にするという発想のもとで演じた男たちの絆

――この映画は、不祥事の一部始終を描いてはいるのですが、浮き彫りになっていくのが男同士のつながりなのかなと思います。綾野さんが警察、中村獅童さんが暴力団、YOUNG DAISさんが元麻薬の運び屋、デニス 植野行雄さんがパキスタン人の盗難車のバイヤーを演じています。この4人が一丸となって悪事に手を染めるシーンでは、「なぜこんなに絆が深くなれるの?」 と不思議な気分になりました。


我々4人にとっては、青春の日々を過ごしていたワケです。今まで以上の悪事、つまりは覚せい剤の密売を始めると決意するシーンは、白石監督に「甲子園を目指すテンションで演じてください」 と言われました。だから4人で「密売やろうよ」「やろうよ!」「俺がんばるよ!」「お前たち……」 という、高校野球の監督と選手のようなテンションでした。 白石監督の“犯罪を青春にする”という発想は芝居とはいえ、犯罪を犯している罪悪感を取り除いてくれました。



――特にYOUNG DAISさん演じる元運び屋・山辺太郎とは、濃密で息のあった演技が光っていましたね。


DAISくんが、非常に舎弟感のある山辺太郎を演じてくれたので、やりやすかったです。彼とのシーンは即興も多く、結婚式のスピーチの時の「弟みたいな存在で」 というセリフも即興です。諸星が青春の中で親分肌的に仲間を守ろうとしたのは、太郎の存在がきっかけという気がします。諸星と弁護士が対峙するシーンでは、太郎のことを指して「相棒なんですよね」 って言うはずだったのを「家族みたいなやつなんですよね」 って、思わず言葉がでていました。



――それを監督はよしとしてくれたんですね。


はい。諸星と太郎の関係が、それだけ近かったということなんだと思います。青春を謳歌(おうか) し、同じ釜の飯を食った仲間。ホモセクシャルな関係ではないのですが、ただ一緒に飯を食いたいなという思いが実はすごく近しい距離感になるのかなと思います。

_02A0042


――この映画の舞台は昭和ですが、激動のイケイケの時代背景を意識して、演技を調整したということはありましたか?


時代背景を意識したことはないと思います。僕は基本的に役作りをほとんどせず、9割は現場で作ってもらうので、1割の心を持っていくだけなのです。現場が車の質感を変えたり、当時の衣装を用意したり、諸星の警察内での部署が変わるたびに髪型を変えたりするので、それに合わせるという感じでした。きっと時代を意識しながら生きている人間いませんしね。



――最初は大学を出たばかりの初々しい諸星が、どんどん変わっていく様は、劇的なはずなのにとても自然でした。


映画で、諸星の人生の26年間を生きることに対し、ふたつの方法で迷いました。ひとつは「何も変えない」 、もうひとつは「露骨に変えていく」 。僕はデビュー後から、“芝居をしない”ということを求められた環境にいたので、普通に話したり、ナチュラルな行動をとるのは簡単なんです。でも今回は逆に、トコトン誇張してやろうと決意し、後者を選びました。そうした選択をしないと「なんかこいつ憎めないな」 というところに行きつけないと思ったからです。



――諸星はひどい犯罪を犯しているのに、嫌味がないというか、どこか憎めない味が確かにありました。


諸星のモデルの稲葉さんが、憎めない人だからなんです。この人、本当に悪い人なのかなと思わせるというか……。とても魅力的な方だったのでそういった部分を表現したかったんです。



――“愛される諸星”を作る点で、特に意識したところはありますか?


僕はどんな役をいただいても髪型と服装を徹底的に変えるのですが、今回はそれに声を付け加えました。今、携帯が普及して電話をすることが増えたこともあって、声での表現が非常に発展した時代になっていると思います。若い役者はみんな、皆芝居がうまく、声のコントロールで相手に感情を伝える方法にたけています。その点を僕も意識して、暴力団相手のときは自分もその構成員みたいな低いトーンの声、加齢で体重が増えていった頃はおっさんじみた声、最後はほぼかすれた声と変化をつけました。


_02A0019


自分のイメージが固まることを恐れず、幅広い仕事をしたいです

――そして濡れ場や覚せい剤を使うシーンなど、ダーティーさを表現するときも全力でしたね。白石監督ばかりでなく、この映画を見たほかの監督たちにも、「ここまでやってくれる役者がいる」 と思わせたのでは?

どうでしょうか、正直分かりませんが、僕はゴールデンドラマから深夜ドラマ、アート系映画、メジャー映画、CMなど、幅広く仕事をさせていただいています。単純に映像全般を愛しているからです。単館映画出身だから、単館に足を運んでもらうためにテレビに出ている、という発想もなく、いただいたお仕事を単純にお受けしているんです。



――特にイメージを大切にする企業CMに出ていると、ダーティーな表現に躊躇(ちゅうちょ) することはありませんか?


各関係者の方はとても優しい方ばかりです。と言うのも「綾野さんは最低でも年に一度は、ハードな作品に出られますからね」 と言いながらオファーしてくださるんです。本当にハードな映画だけをやっていこうと思ったらきっと各関係者の方にご迷惑をかける可能性が高くなると思いますが、僕は幅広くお仕事をしていきたいです。そして、いただいたお仕事をそれぞれきちんとこなして貢献していきたいです。今後も「ここまでやる」 と限定するよりも、偏らず、固まらず、変化を恐れないで仕事をしていきたいです。



――ではご自身の演技を、改めて振り返っていかがですか? 綾野さんはご自身の演技に対して厳しいというのが評判ですが……。


撮影をしていたのは去年の5~6月です。1年後の今の僕は確実に成長しているので、今は作品を見てあら探ししかしないです。でも、ここまで監督を愛しいと思いながら見た映画は、園子温監督以来です。この映画の登場人物はみんながムチャクチャですが、どこかチャーミングなんです。それは白石監督が作品作りに愛情を持ち、チャーミングな方だからこそ、そこが表現されていて愛しく思えるというか。



――白石監督こそ、魅力的な方なんですね!


最終的には、自分のあら探しとかどうでもよくなってしまうほど白石監督が愛しくなりました。白石監督は、この映画の前に『凶悪』 という映画を作っていて、ぶっ飛んだ人だと思われがちですが、冷静に世の中を俯瞰(ふかん) していて、なにより穏やかな方です。今回も北海道警察を弾圧する内容ではなく、ある大きな組織で生きていく人間への賛歌だと思っています。衝撃的な汚職、暴力を全面的に出したいのではなく、その事実に関わった人間がどのように変わり、生きていくのかということを描きたいんだと解釈しています。演出の仕方も愛があって、劇中に出てくる全部の役を愛しているんだと感じます。



――綾野さんにとって、幸福な仕事だったのが伝わってきます。


ラストカットを撮ったとき、「はいカット、これにてクランクアップです! 綾野さんお疲れ様でした」 と言われて、すぐに白石監督と抱き合ったんです。そこで2人同時に出た第一声が、「次なにやります?」 と、もう次の話していたんです。自分たちを鼓舞するためにも、もう次を見据えないといけない……、思っていることは一緒だったんです。また必ず白石監督映画をやります。



――この『日本で一番悪い奴ら』 という映画は、綾野さんにとって大きな映画になったんですね。


僕にとっては、代表作になりえる作品です。米国で開催されるニューヨーク・アジア映画祭で、主演賞に値するライジング・スター賞をいただいたので良かったと思います。でも白石監督にとっても大きな意味のある映画じゃないと僕には意味がないんです。きちんとこの映画が評価をされて、白石監督自身も評価をされて、次回作以降で撮る作品のキャパシティがどんどん増えていけばいいなと思います。



――この映画は、ポスターのイメージやベースとなった事件の内容からしても、ダークなだけの内容かと誤解されてしまう気がします。特に女性の綾野剛ファンに向けて、アピールをいただいてもよろしいでしょうか?


痛快ポップエンターテインメントです。でも、ストーリーを追うだけでなく、役者って面白いんだなという見方もできる映画だと思います。僕は昔、イメージが定着することは役者にとってマイナスだと思っていたのですが、今は何百通りもあってもいいと考えが変わりました。ドラマ『コウノドリ』 が僕のすべてではないですし、もちろん、この映画も僕のすべてではないです。逆に『新宿スワン』 だって僕の一部です。役者って、いろんな表情を持った面白い生き物だなとこの作品を見て僕の新しい一面を発見してほしいです。



――女同士で見に行ったら、帰り道で盛り上がりそうですね。


そうですね、これ女子会で見たら面白いかもしれないですね。 カフェで「あのシーンのチャカが~」 とか、盛り上がってください。 あと、主婦の方々がもし読んでくれているのなら、「最近アクシデントないでしょ。ちょっと事件欲しくないですか? 何か悪いことしている感じ、欲しくないですか?」 とお聞きしたいです。育児や家事で大変ならば、お子さんが保育園や小学校に行っている間に、ぜひこの映画を見てスッキリしてください。ストレスたまった方にこそ、おすすめです。



――ありがとうございました!


_02A0064

_02A0039


『日本で一番悪い奴ら』 公式サイト

映画について、演技について、とても饒舌(じょうぜつ) に語ってくれた綾野さん。作品によって全く違う人物を演じ分ける力のある役者だとわかっていても驚いてしまう、綾野さんの体当たりな演技をこの映画で堪能できます。


会いたい “あのひと” を身近に ―― LINE BLOG。
才能とは情熱のことだと、綾野さんを見ていて思いました!
それでは、また。

(撮影/杉 映貴子、取材・文/中尾巴)

↑このページのトップへ