どういうワケか、ここに来て再び売れている『魔法のコンパス ~道なき道の歩き方~』。
昨年8月に発表し、10万部を突破したビジネス書だ。

感謝の意を込めて、『魔法のコンパス』から、に入る前の文章を抜粋。
【問いを持つ】ことについての頁を。

コチラです↓

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『問いを持つ』

箱根駅伝のランナーの皆さんは、時速20キロで走っているらしい。

時速20キロというのは50メートルを9秒。そのペースで、ずーっと、だ。超人すぎるぜ。

しかし、箱根駅伝のテレビ中継で語られるのは、どこの大学が勝っているのか、またはタスキが途絶えた途絶えないウンヌンカンヌンで、ランナーの超人的なスピードが語られることは、あまりない。

ときどき、「区間記録が出ました!」とアナウンサーが叫んでいるが、あくまで数字上での話で、画面から、そのスピードは伝わってこない。どうして、あのスピードが画面から伝わってこないのだろうか?

スピードが伝わった方が絶対にイイじゃん。なのに、なんで?

 

 まず、ランナーの表情を撮る為に、テレビカメラはランナーの真正面に構えている。そして、ランナーと同じスピードで後ろに下がるもんだから、どうしてもスピードが伝わりにくい。ときどき、横からのカットが入るので、その時に流れる後ろの景色で、ようやくスピードが伝わる。が、ほとんどは正面から。しかたないよね。ランナーの表情が見たいんだもん。

というわけで、カメラ位置を咎めてもしかたない。

 ダラダラと長くなりそうなので、結論を言っちゃう。

箱根駅伝のランナーのスピード感を殺し、箱根駅伝自体の面白さを殺している犯人は、カメラとランナーの間にいる白バイのオッサンだ。

 最高速度200キロ以上出る白バイからしてみれば、時速20キロなんてヨチヨチ歩きで、白バイのオッサンは常に余裕の表情である。汗ひとつ流さず、実に涼しそう。いや、むしろ、退屈そうだ。この期に及んで、退屈そうなのだ。

画面から伝わるはずのランナーのスピードを殺していた犯人はコイツ。

白バイのオッサンの表情である。ここを改善すれば、ランナーのスピードが画面から伝わり、箱根駅伝が、もっと面白くなるに違いない。では、どうすればいいか?

 答えは簡単。

白バイのオッサンには、白バイを降りていただき、代わりにママチャリ(お母さん専用自転車)に乗ってもらおうではないか。

 自転車といえど、時速20キロで走るのは至難の業だ。しかもそのペースを維持しなければならない。当然、白バイのオッサンあらため、ママチャリのオッサンは、汗をほとばしらせ、鬼の形相になる。それでいい。それがいい。

「あの鬼の形相で激走しているママチャリのオッサンに、ついていってるってことは、ランナーはとんでもねぇスピードなんじゃね?」という算段だ。

箱根駅伝を、より面白くするカギは「白バイのママチャリ化」だったのだ。

 

超人を、超人たらしめるには、基準となる凡人の存在が必要不可欠だ。

そんなことを考えながら、YouTubeの動画を漁っていたら、見つけてしまった『チェホンマンVSボブサップ』のモンスター対決。

チェホンマンの身長が2メートル118センチ、ボブサップの身長が2メートル。〝前代未聞、規格外の殴り合い〟が、この試合の見所である。

しかし、画面から、そのモンスターすぎるサイズ感がイマイチ伝わって来ない。「ていうか、あの二人、本当に大きいの?」と疑いたくなるほど。その原因は、すぐ近くにあった。

チェホンマンVSボブサップ戦のレフェリーの身長が、ボブサップぐらいあるのである。

ナンテコッタイ。レフェリーまでモンスターサイズなのだ。

これを、どう改善すればいいかは、説明するまでもないだろう。

こういった〝取りこぼし〟が、僕らの身の周りには間違いなくまだまだ残っていて、世の中はもっと白くなる。