『キンコン西野が語る、吉本興業の使い方』の後編である。
(※前編は→コチラ)

前回の内容をザックリとまとめると…

①吉本クリエイティブエージェンシーは芸能事務所ではなく、代理店。
②吉本興業と吉本芸人は所属契約していない。

といったところ。
詳しくは、前編を読み返してください。


後編はいよいよ本題『吉本興業の使い方』である。

今にも「タレント風情が『使い方』とは、またずいぶん偉そうな表現だな」という声が飛んできそうだが、事務所と個人の上下関係はスマホがブッ壊したということは前回お伝えしたばかりだ。

吉本興業とは条件が合致した場合のみ一緒に仕事をすればいいわけで、こういう表現をすると途端に冷たく聞こえてしまうが、"利用し合える関係"が理想の関係だと僕は考える。
なので『吉本興業の使い方』だ。

まずはじめに、「吉本興業をどう使うか?」を考えるには、「吉本興業がどんなカードを持ってるか?」を把握しておく必要がある。

デビュー当時はガッツリ吉本。
25歳で絵本制作&販売をスタートさせ、吉本半分、フリーランス半分。
中と外、両側から吉本興業を見てきたが、結論から言うと、世界中どこを探しても、こんなにタレントにとって都合の良い事務所はない。
もちろん「タレントが自立できている上で」というのが絶対条件だ。

16年間活動してきて、自分で動いて、自分のチームを作り、ある程度のことは会社に頼らずとも、自給自足できるようになったが、僕ら個人が一枚岩になって逆立ちしても手に入れられないカードを吉本興業は2枚持っている。

ちなみに言うと、テレビ枠に関しては、先輩方がたくさんおられて、ある程度の年功序列もあるので、僕ら世代はテレビ枠を吉本興業のスペックとして数えないほうが懸命だと思っているので、僕は数えていない。

さて、
僕らが逆立ちしたって手に入れることができない、吉本興業が持っている一つ目のカードは、大阪ミナミのど真ん中にドテーンと構える大劇場『なんばグランド花月』だ。
キャパ800で、一日3回転。365日毎日満員御礼のお笑い専用劇場。
世界中どこを探しても、こんな劇場はない。

なんばグランド花月の勝因は、クオリティーはもちろんのこと、それより何より『観光地になっている』という点だ。
「大阪に行ったら、なんばグランド花月でしょ」といった感じだ。
これは当然、大阪が『お笑いの街』として認知されているから起きる現象だが、そもそも一体誰が大阪を『お笑いの街』にしたのだろう?

いろいろ調べていくと《豊臣秀吉》の名前が出てきた。
あの出世猿ときたら、「面白い商人を城の中に入れる」というルールを作りやがったのだ。(※信じるか信じないかはあなた次第)

面白いことを言えば城の中に入れると聞いたもんだから、商人達はこぞって面白さを競ったのだという。
「儲かりまっか?」「ボチボチでんな」
お笑いの街の始まりだ。

しかし、お笑いの街とはいえ、街のど真中に、あれほどバカでかい劇場を作るのは至難の技。そもそも、あの広大な土地はどうやって手に入れた?

これに関しては憶測でしかないが、個人的には、1945年の大阪大空襲が絡んでいると思っている。
「あの都心部で、あの大劇場を作るには、何らかの力が働いて、持ち主不在の土地が大量発生しないと難しくね?」という名推理により、大阪大空襲に辿り着いた。

なんばグランド花月は、豊臣秀吉と大阪大空襲という二大インパクトより完成したわけだ。

この名推理が合っているかどうかは、今は問題ではない。
ここで大切なのは、大阪がお笑いの街で、僕らが一生をかけても手に入れることができない、お笑いの街『大阪ミナミ』の一等地を吉本興業が押さえ、そこに劇場を建てているということだ。
努力ではどうしようもない部分だ。
これを『才能』と呼ばずして、何と呼ぶ。

そして、吉本興業のもう一枚のスペシャルカードは『創業100年以上』という信用だ。
個人で動いてみると、この信用が、いかに凄まじい力を持っているかがよく分かる。
知名度があろうが、本が売れようが、個人の信用には限界があって、たとえばある日突然、国連から僕個人に仕事が舞い込んでくるということはない。

吉本興業はソフトを作ることや広告が上手いとは思えないが、「よく、そんなデケー仕事を引っ張ってこれたなっ!」と思わされることは多々ある。
社員の皆様のたゆまぬ営業努力と、そして、ナンダカンダ言っても最後の決め手は『吉本興業』という看板の信用だ。
これは個人ではどうしようもない。

『なんばグランド花月』と『創業100年以上の信用』、この2枚が吉本興業が持っている鬼カードといえる。

でもってだ、吉本芸人は所属契約もしていないのに、この鬼カードを使える権利があるのだ。
こんな夢のような話があろうか。
タレントにとって、こんな都合の良い事務所があろうか。

にも関わらず、この鬼カードを利用している芸人が少ないこと少ないこと。

吉本の愚痴をこぼす芸人の話を聞いていると、「他の芸能事務所のように吉本興業を捉えているからだよ」と思わされることが少なくない。
宝の持ち腐れ感がハンパない。
恨んだところで前に進まない。そんな時間があるならば、良いところを探して、利用する方向に持っていった方が、よっぽど建設的だ。

僕は吉本でも1~2を争う問題児であるので、これまで社長や社員の皆様にはすこぶる迷惑をかけて、その都度フォローをしてきてもらったので、さすがに「ちょっとは恩返ししなきゃな」という愛社精神みたいなものが芽生えてきたが、そんなものが1ミリも無かったとしても、この2枚の鬼カードを使える限りは吉本興業にとどまると思う。

皆が会社を利用した方が良い会社になるし、良い会社になった方が、自分にとって都合が良くね? 

吉本興業は、思っている以上に良い会社だと思う。
だからといって、社員さんがどれだけ言おうが、『吉本芸人大集合』的なイベントには絶対に参加しねーんだけども。
「芸人は皆やってるんやから、お前もやれや!」とか怖いことを言わないでね。
皆がやっていることをやりたくなくて芸人になったので(*^^*)
そういうヤツもいていいじゃん。チャオ。



…おそらく今回の内容は切り取られて、ネガティブな編集をされて、ネガティブキャンペーン的なニュースになると思います。
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