マルコム・グラッドウェル氏が著書の中で紹介している「一万時間の法則」というのがある。どんな分野でも、だいたい一万時間程度継続してそれに取り組んだ人は、その分野のエクスパートになるという経験則である。

ある音楽学校で、コンサートを開けるプロレベルと、レッスンを与えるレベルの人などを比較すると、それまでどれくらい練習してきたかに有意の差があって、コンサートのプロレベルは1万時間だった、というのが「一万時間の法則」の一つの根拠としてしばしば挙げられる。

「一万時間」という時間に絶対的な意味があるわけではなく、それは一つの目安である。また、分野やそのひとの取組の質によっても違うけれども、一つの事実として、熟達や創造性の発揮が長い時間を必要とするということは知っておく価値があるだろう。

一万時間は、粗い計算をすれば一日3時間を10年続けなければならないから、かなりの継続である。しかし、人が通常「才能」などと片付けやすい差異が、実際には継続時間に起因しているという認識は目を開くきっかけ(eye-opener)だろう。

グラッドウェル氏は、ビートルズがハンブルク時代に酒場のオーナーの方針により延々と演奏させられたこと、ビル・ゲイツ氏が高校時代に当時としては例外的に長いプログラム経験を持つことができたことを、「一万時間の法則」の傍証として挙げている。

世間では「才能」は何の苦労もなしにできるという意味で捉えられがちだが、それは一種の「自然発生」説で、事実ではない。才能を云々するよりも、長い継続にかける方が、「一万時間の法則」としては正しい。

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