集中するというと、その時々に取り組んでいる課題にどれくらい脳内資源を振り向けるかという時間による状態関数の問題だと考えられがちだ。それも大切だが、さらに重要なのは、人格的な一種の「統合力」である。

人生の中でさまざまな経験をする。その経験をばらばらにするのではなく、自分自身の本質的課題へと戻していく。そのような統合力が、瞬間瞬間の集中力と同様に、あるいはそれ以上に重要である。

スティーヴ・ジョブズがリード・カレッジで学んだカリグラフィーを、コンピュータつくりと無関係のものとして放置しておいたら、マックのGUIは生まれなかった。自分のライフワークの方にカリグラフィーを戻していったから、マックは誕生したのである。

小説家ならば、人生のさまざまな経験を、作品という本質的課題に「戻して」いくという視点はわかりやすい。しかし、一般の職業、仕事でも同じことは言えるのであって、自分の本質的課題に常に引き戻していくことが肝心なのである。

ダックワースのグリットは、本質的課題に継続的に取り組むことの大切さに着眼した心理指標であるが、人生におけるさまざまな経験をすることが悪いわけではなく、それらの経験を本質的課題に戻してあげれば、結局はグリットに貢献する。

人生という経験のスペクトラムを、一つの視点から束ねて、まとめあげていくこと。このような人格の統合力が、とりわけ現代のような情報のジャングル時代においては必要な心がけ、スキルの一つとなる。

 連続ツイート