前回、このブログでお知らせしましたように、私は日本文化チャンネル桜と同社のコンテンツである「沖縄の声」のキャスター栗秋琢磨氏ら3人に対して、訴えを提起しました。
 それに対して日本文化チャンネル桜からの提案書が、同社の「真相はこうだ!桜便り」で公開されました(URL https://youtu.be/A8-OcTDeckU)。その提案とは、このたびの訴訟をきっかけに「より多くの人々に当該事件のきっかけともなった沖縄問題、平和問題等を理解していただくために、お互いに言論人として、公開の言論の場で、議論してみませんか」というものでした。

 以下は、それに対する回答です。


「日本文化チャンネル桜」御中 

 私は、株式会社日本文化チャンネル桜より公開討論の呼びかけを受けていることを、本日YouTube動画を見て知りました。私宛に送られたという内容証明郵便は現時点では落手しておらず、拝読もしておりませんので、YouTube動画で知った範囲内でお答えをいたします。

 私が日本文化チャンネル桜等を被告として提訴した訴訟において問題にしているのは、以下の3点です。

  • 私が医師法上の対面診療義務に違反したとの虚偽の事実を摘示した点
  • 私が患者のプライバシー権を侵害したり患者の秘密を違法に漏洩したりしたとの虚偽の事実を摘示した点
  • 私が医師法に違反したと疑われて私の勤め先に千代田の保健所が監査に入ったとの虚偽の事実を摘示した点

 私と日本文化チャンネル桜とは思想的な背景がまったく異なりますし、沖縄の米軍基地移転問題等に関するスタンスも異なるものではありますが、そのことは日本文化チャンネル桜等を被告とする訴訟においてとくに問題としておりません。したがって、この訴訟のきっかけとなったのが「沖縄問題」だと決めつけられ、その「沖縄問題」についての公開討論を唐突に求められましても、そこには何の必然性もなく違和感しかありません(注・「沖縄問題」という表記は、いかにも沖縄じたいに問題あるような印象を与えるので好ましくありませんが、御社にならってあえて使用いたします)。
 つきましては、今回の公開討論の申し出につきましては、ご遠慮させていただく所存です。

 なお、私の方から逆に提案したいことがあります。
 今回の公開提案書には、私に対して「同じ日本人として、日本国と日本国民の平和と安寧を願っていることにかわりないだろうと信じたいと思っております」と呼びかけられている部分があります。
 これはもちろん日本文化チャンネル桜も同様だと思うのですが、そうであれば、愛すべき日本国民に間違った情報を提供することは許せない、という気持ちをお持ちであるはずです。そのお気持ちを実践するためにも、まず必要なのは今回のような間違いを繰り返さない体制を構築することであり、それこそが愛すべき国民に対するメディアとしての責務ではないでしょうか。
 そのためにも、あえて日本文化チャンネル桜とは思想傾向を同じくしない弁護士やメディア研究者、ジャーナリストなどを招いて、今回の提訴でも問題としている以下の点について調査を行い、その結果を番組を通じて公開されては如何でしょうか。

  • 私の勤め先に保健所の監査が入ったとの情報はどこから入手したのか。
  • その情報が真実かどうかを確かめるためにどのような取材をしたのか。
  • 番組内で栗秋氏は「結構ね、担当者の方によると、あのね、ノリノリ。この人、問題多いから」と述べているが、この担当者は、どのような地位にあるなんという人なのか。番組として、その担当者が実在するかどうかをいつ、どのようにして確認したのか。
  • 番組内で栗秋氏は「僕の親しいお医者さん、知り合いにいますから。で、友人がいますんで、その人に聞いたら、『アウト』と」と述べているが、この「医師」は、どこで勤務ないし開業する、なんという人なのか。番組として、その「医師」が実在するかどうかをいつ、どのようにして確認したのか。
  • 番組内で栗秋氏は「この方、産業医もやっていて、あの、産業医もやってて、やってて、そのこの、とりあえず、どこどこの診察に行きますよとか、どこどこの診察に行きましたとか」と述べていたが、私がどこどこの診察に行きますよとかどこどこの診察に行きましたとか述べていたかどうかを確認したのか。
  • 番組内では、私が医師法に違反したと報じていますが、番組が前提とする医師法の解釈が実務的に受け容れられているものかどうかを、どのようにして確認したのか。

 どうぞ、愛する日本国民に本当の意味での「真実」を伝えるメディアとなるためにも、以上をよろしくご検討ください。 
2017年4月6日 香山リカ